いつか君に巡り逢える

原口源太郎

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第3章

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 僕は家に帰ってから優花に電話をした。やっぱりこういったことは優菜より優花のほうが話しやすい。
「私たちのところにも来たよ。誰にも言うなって書いてあったから、どうしたらいいのかと思っていたところ」
「やっぱり。もうそうなると俺たちの手には負えないな」
「どうするの?」
「先生に言うしかないだろ?」
「でもね」
 優花が口をつぐんだ。考えているようだ。
「どうした?」
「この手紙を書いたのも、同じ高校の人だよね?」
「うん、多分」
「実際に手紙に書いてあるようなひどいことをするわけじゃないと思うし、もう少し様子を見た方がいいと思うんだ」
「だけどこんなことをすること自体犯罪だぜ」
「そうだけど」
「お前はまだ別れる相手がいないからいいけど。優菜の様子はどうだ?」
「それは颯太のほうがわかってるんじゃない?」
「ラインの返事は大丈夫。元気だよ。そればっかり。でも実際は違うんじゃないかと思う」
「うん。最近、かなり落ち込んでる」
「やっぱり」
「このこと以外にも色々あったし」
「このこと以外にも? 全然そんな事、言ってなかったぞ」
「そうだよね」
「何があった?」
「同じクラスの子から告白されて、付き合ってほしいって言われたんだって。突然だったし、そんなこと、生まれて始めだったから、つい」
「俺のことを言ったのか?」
「颯太のことを言ったんじゃない。ただ、付き合っている人がいますって言って断った」
 僕は優菜に対してどうだっただろう。思い出してみる。そういえば、好きだとか、付き合ってくれとか言っていない。僕の気持ちを優菜に伝えてくれた人がいたとしたら、それは優花だ。だから確かに、優菜は男から直接告白されたのは初めての経験になるんだ。
「それで?」
「その後、クラス中で優菜の付き合っている相手は誰だって話になったけど、結局わからずじまい」
「それで収まったのか?」
「んーん。それらしい相手がいないから、告白した子に断る口実として、優菜は嘘を言ったんじゃないかってことになったらしい。それで告白した子が相手は誰だって優菜にしつこく訊いてくるの。相手がわかれば優菜のことはきっぱり諦めるって言って」
「ということは、相手のことを言わなければ、いつまでも諦めないということか?」
「そういうことになるかな」
 脅迫の手紙云々より、そっちのほうが厄介に思えた。
「そんな訳だから、優菜にも電話してやって」
「うん」
 僕は電話を切った。

 優菜は想像してたほど落ち込んではいないようだった。ただ、ラインの返事と同じで、無理に元気を装っているのかもしれない。
「いよいよとなったら隠しておく必要もないと思うんだ。大ぴらにして、堂々と付き合えばいい。かえってそのほうがいいかもしれない」
「うん」
 優菜のあどけない返事。
「相手の男がしつこいようだったら、俺の名前を出しても構わないから」
「うん」
 優菜の声が変わった。電話の向こうで優菜は涙ぐんでいるのかもしれない。
 僕は話題を変えた。
「手紙のほうはどう?」
「お姉ちゃんが、そんなの悪戯だって言ってたから、私も気にしないようにしてる」
「うん。それがいい。また手紙が来たら先生に相談するつもりだ。それまでもう少し様子見でいよう」
「うん」
「そうだ、今度の日曜日にどこかに遊びに行こうか」
「え、でも」
「何か用事でもある?」
「私はないけど」
「勉強の気晴らしに、どこかに出かけたいってのが本音。付き合ってくれる?」
「うん。分かった」
「どこに行くか、考えておくから。また連絡する。優菜ももし行きたいところがあれば付き合うから、考えておいて」
「はーい」
 最後はいつもの優菜の声に戻っていた。
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