いつか君に巡り逢える

原口源太郎

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第3章

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 授業が終わると、僕は大樹について教室を出た。
 朝のうちから、放課後になったらちょっと付き合えと言われていた。
 校舎の裏の人気のないところまで僕たちは歩いていった。
 そろそろ本格的な夏を迎えようとしている。空が眩しいくらいに青い。遠くで部活の様々な音や声が聞こえてくる。
 大樹は校舎の壁に背中を押し付けるようにして立ち、空を見上げた。
 僕も大樹の隣で同じようにする。
 大樹は黙ったままでいる。僕は大樹が話し出すまで待つつもりだった。
 そこに足音がして、見ると二人の女の子が歩いてくるところだった。沢口とその友達だ。
 沢口は仲のいい友達が二人いて、よく三人で一緒にいる。いつか学校の帰りに優菜と二人で歩いていて、ばったり出会った時もその三人だった。沢口の友人のうちの一人、野牧という子は口が軽くて、おしゃべりだから、その子には気を使っていると大樹が言っていた。
 僕は大樹を見た。どういうことなのだろう。
「小川さん」
 大樹がそっけなく沢口と一緒に来た子を紹介した。
 小川と紹介された子が、僕の目を見てぺこりと頭を下げた。
 僕も慌てて頭を下げる。
「内山にも相談に乗ってもらいたいと思って」
「相談?」
「沢口の友達の野牧って子についてなんだ。小川さんから話す?」
 小川は怯えたような目で大樹を見て、小さく頷いた。
「私達、よく三人で一緒にいるんですけど、最近、美咲ちゃんが一人でどこかに行ってしまうことが何度かあったんです。それで私、心配してて」
「美咲っていうのは、野牧の名前」
 僕が訊こうとしたことの答えを大樹が言った。
「そう、美咲ちゃんはどうしたのかと思って、一度後を付けていったんです。そうしたら、下駄箱の近くに立っていて、誰もいなくなったのを見て、綾の下駄箱のほうに歩いていったんです」
「綾っていうのは沢口の名前ね」
 もう一度大樹が補足を入れる。
「えっと、そうすると、野牧が例の手紙を?」
「多分そうだと思う。最初の手紙を見て、沢口は野牧と小川にもこんな手紙が下駄箱に入っていたと見せた。そうして先生に相談した方がいいんじゃないかと話した」
「小川さんが見たというのは、二通目の手紙を下駄箱に入れるところ?」
「私、美咲ちゃんが綾の下駄箱に手紙を入れるところまでは見ていません。その先のことを考えたら、怖くなって教室に戻りました。だから美咲ちゃんが本当にそんなことをしたのかわかりません。でも、その日の夕方に綾がまた下駄箱に手紙が入っていたと言うのを聞いて、私、どうしたらいいのかと・・・・」
「野牧にはそのことを訊いてみた?」
 僕は小川に尋ねた。
「いえ。誰にも言わないつもりでした。でも、他にも同じように手紙を受け取った人がいるらしいって聞いて、やっぱり黙っていてはいけないって思って」
「それで石井に相談した」
「まず沢口に相談して、沢口が俺に相談して、俺がお前に助けを求めたというわけ」
 大樹が言った。
「うーん」
 僕は考え込んだ。野牧はなぜそんなことをしたのだろう。
 『男と別れろ』
 僕の頭の中で何かが繋がっていく。
 野牧はもしかしたら。

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