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グルドフ旅行記・4 怪しい奴らの正体を暴け!
悪い奴らを懲らしめる
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「ごめん下さいまし」
玄関のドアを少し開け、中を覗き込みながらグルドフは声をかけた。
「誰だ、あんた?」
小柄で痩せた男が出てきて、グルドフをじろじろ見ながら言った。
「旅をしている者であります。隣村であなたたちのことをお聞きしまして、ぜひ仲間に加えていただきたいと思い、参ったのでございます」
「仲間だ? それより俺たちのことを聞いた村って、どこの村だ?」
「ミナルテの村であなたたちのことをお聞きしました」
「ミナルテだと? ちょっと待ってろ」
小柄な男は奥に消えた。
しばらく待っていると、また男が現れた。
「よし、こっちに来い」
グルドフが男についていくと、大きな部屋に通された。
部屋に入るなり男が短剣を取り出し、グルドフに見せた。
「大人しくしろよ」
男が言った。
「ななな何をするのです」
グルドフはおびえた様子で両手をあげた。
すると、部屋の反対側からクマのように大きな二人の男が入ってきた。似たような顔つきをしているので、兄弟かもしれない。
「こいつか、仲間に入りてえってのは」
もじゃもじゃの長髪に、もじゃもじゃの髭を生やした男が言った。もう一人も、もじゃもじゃの髭を蓄えているが、頭には皮でできた兜を被っている。
「どうも怪しいです」
短剣を持つ小柄な男が言った。
「俺たちのことをミナルテの誰に聞いた?」
もじゃもじゃ頭の大男が訊いた。
「イナハという老人です」
グルドフは両手をあげたまま答えた。
「イナハだと? そいつのことを知っているのか?」
またもじゃもじゃ頭の大男が尋ねた。
「ミナルテで初めて会ったので、イナハという名前くらいしか知りません」
「嘘だ、知っているに違えねえ」
短剣男が言った。
「正直に言え」
もじゃもじゃ大男が手にしていた大槍をグルドフの鼻先に突き付けた。
「な、な、な、何も知りません」
グルドフはぶるぶる震えながら答えた。
「本当のことを言っているらしいな」
もじゃもじゃ頭男が言った。
「ならもう、殺っちまいましょう」
短剣男が言った。
「すぐにここを出るんだ。無駄な殺生をすることもあるまい。大人しく金を出せば命は助けてやる」
「あなたたちは、そのようなことをする人たちだったのですか」
グルドフが言った。
「は?」
「そのような悪党だとは・・・・思ってはいましたが。捨てては置けません」
「何だと?」
グルドフは素早く背中の木刀を抜くと、隣の短剣男のみぞおちを持ち手のほうで突いた。
男は気を失い、短剣を落として倒れた。
「この野郎」
もじゃもじゃ頭男が槍をグルドフに向けて構えた。
もう一人の皮兜の男は、ジャラジャラと鎖を手繰り寄せていたが、丸い鉄球のついた部分を先にしてぐるぐると振り回し始めた。
グルドフは二人を見ながら木刀を構えた。
槍を持つ男がスッスッとグルドフに近付き、いきなり槍を付き入れてきた。
グルドフは咄嗟に横に避けて槍をかわした。
そこへ鉄球が勢いよく飛んできた。
だが、グルドフはそちらにも注意を払っていたから、難なくかわした。
鉄球は部屋の壁に当たり、ドカンと大きな音をたてた。
槍の男は後ろに下がり、槍を構えて前後に動きながらもう一度槍を突くという仕草をしている。
皮兜の男は、鉄球のついた鎖をジャラジャラと引き寄せ、もう一度振り回す準備をしている。
槍男が突く構えを見せているのは、鉄球男の準備が整うまでの時間稼ぎだろう。
グルドフはここでさっさとやっつけてしまった方がいいと思った。
グルドフは鉄球男の方へ跳んだ。
鉄球男は慌てて後ろへ下がろうとしたが、その首筋へグルドフが木刀を打ち込んだ。
鉄球男はそのまま後ろの壁に激突し、目を回して倒れた。
そこへもじゃもじゃ頭男が槍を振ってきたが、グルドフは身をかがめてかわし、男の近くに飛び込んで腹を突いた。
「うえ!」
もじゃもじゃ頭男も奇妙な悲鳴を上げて倒れた。
そこへ、家の中の大きな物音を聞きつけた村長たちが部屋に飛び込んできた。
「これは」
村長は床にのびている三人の男を見て驚きの声をあげた。
「丁度良い所に来てくださいました。少しお手伝いをお願いしたい」
そう言うと、グルドフは背負った鞄を降ろし、中から村長に借りたロープを取り出した。
悪党の手足を縛り、三人が部屋の中央を向くように柱にも縛りつけた。
三人とも意識を取り戻している。
「やいやい、てめー、こんなことして、只で済むと思うなよ!」
小柄な短剣男がわめきたてた。
グルドフは腰の剣を抜き、わめく男に刃を向けた。
男は口をつぐんだ。
「色々と訊きたいことがあります。こちらの質問に、嘘偽りなく答えていただきたい」
グルドフは剣を持ったまま言った。
「ケッ、誰がてめえなんかに」
もじゃもじゃ頭の大男が言った。
グルドフは剣先をもじゃもじゃ頭の男に向け、近づいていった。
そしていきなり男の頭の上で剣を振った。
男の頭上の毛が薄くなり、大量のもじゃもじゃの髪がはらはらと舞い落ちた。
「て、てめー、何しやがる!」
縛られた体を激しく左右に揺らしながら、男が怒鳴った。
「毎日手入れをしているので、この剣の切れ味は素晴らしいのです」
グルドフの目が異様な光を帯びた。
もじゃもじゃ頭男が青くなった。
グルドフはその頭上にもう一度剣を振った。
今度は短い髪の毛が空を舞い、男の頭は河童のように頭の頭頂部の毛がなくなった。
「話す気になりましたかな」
「ば、ば、ば、馬鹿言え、だ、だ、だ、誰がてめえ、な、な、な、なんかに」
強がっているが、男の声は震えている。
「今度はもう一ミリ毛を短くしましょう。しかし、もうてっぺんには一ミリも毛が残っていないようなので、少し頭の皮も切り取ってしまうかもしれませんな」
「ちょ、ちょ、ちょっと待て。話す、話す。何でも話す」
頭の周りに、もじゃもじゃの毛が残っている男が、哀れな声を出した。
「馬鹿! 話すな!」
皮兜の男が口を開いた。
グルドフはそちらを向き、皮兜の男の前に立った。そして剣先で兜をひょいと取った。
男の頭はつるつるだった。
「おや、切るべき毛がありませんな。では頭の皮を一ミリほど切り取りましょう」
グルドフが剣を構えた。
「待て待て待て。話す、俺が話す」
「あなたたちは話す気になったようですが、今は話さなくてもよろしい。話してもらうのはあなたです」
グルドフはそう言って、剣を小柄な男に向けた。
小柄な男はコクコクと首を何度も縦に振った。
グルドフは小柄な男の背後に回り、柱に縛りつけてあるロープを切った。
「それでは別の部屋で話を聞きましょう。どうぞ、村長さんもご一緒に」
グルドフは驚いて呆然と立ち尽くしている村長に声をかけた。
「は、はい」
「お役人さんは一人、ここに残って、この者たちの見張りを」
「はい」
若い男の一人が返事をした。
「よいか、後でこの者の話したことが正しいか、答え合わせをしますからな。もしこの者とおぬしらの話が食い違うようなら、どうなるかはご想像にお任せするが、只では済まされませんぞ」
グルドフは柱に縛りつけられたままの二人の大男に言い、そして小柄な男を見た。
小柄な男はまた、コクコクと首を振った。
グルドフは小柄な男の足を縛ったロープを切りほどき、別の部屋へと連れていった。
玄関のドアを少し開け、中を覗き込みながらグルドフは声をかけた。
「誰だ、あんた?」
小柄で痩せた男が出てきて、グルドフをじろじろ見ながら言った。
「旅をしている者であります。隣村であなたたちのことをお聞きしまして、ぜひ仲間に加えていただきたいと思い、参ったのでございます」
「仲間だ? それより俺たちのことを聞いた村って、どこの村だ?」
「ミナルテの村であなたたちのことをお聞きしました」
「ミナルテだと? ちょっと待ってろ」
小柄な男は奥に消えた。
しばらく待っていると、また男が現れた。
「よし、こっちに来い」
グルドフが男についていくと、大きな部屋に通された。
部屋に入るなり男が短剣を取り出し、グルドフに見せた。
「大人しくしろよ」
男が言った。
「ななな何をするのです」
グルドフはおびえた様子で両手をあげた。
すると、部屋の反対側からクマのように大きな二人の男が入ってきた。似たような顔つきをしているので、兄弟かもしれない。
「こいつか、仲間に入りてえってのは」
もじゃもじゃの長髪に、もじゃもじゃの髭を生やした男が言った。もう一人も、もじゃもじゃの髭を蓄えているが、頭には皮でできた兜を被っている。
「どうも怪しいです」
短剣を持つ小柄な男が言った。
「俺たちのことをミナルテの誰に聞いた?」
もじゃもじゃ頭の大男が訊いた。
「イナハという老人です」
グルドフは両手をあげたまま答えた。
「イナハだと? そいつのことを知っているのか?」
またもじゃもじゃ頭の大男が尋ねた。
「ミナルテで初めて会ったので、イナハという名前くらいしか知りません」
「嘘だ、知っているに違えねえ」
短剣男が言った。
「正直に言え」
もじゃもじゃ大男が手にしていた大槍をグルドフの鼻先に突き付けた。
「な、な、な、何も知りません」
グルドフはぶるぶる震えながら答えた。
「本当のことを言っているらしいな」
もじゃもじゃ頭男が言った。
「ならもう、殺っちまいましょう」
短剣男が言った。
「すぐにここを出るんだ。無駄な殺生をすることもあるまい。大人しく金を出せば命は助けてやる」
「あなたたちは、そのようなことをする人たちだったのですか」
グルドフが言った。
「は?」
「そのような悪党だとは・・・・思ってはいましたが。捨てては置けません」
「何だと?」
グルドフは素早く背中の木刀を抜くと、隣の短剣男のみぞおちを持ち手のほうで突いた。
男は気を失い、短剣を落として倒れた。
「この野郎」
もじゃもじゃ頭男が槍をグルドフに向けて構えた。
もう一人の皮兜の男は、ジャラジャラと鎖を手繰り寄せていたが、丸い鉄球のついた部分を先にしてぐるぐると振り回し始めた。
グルドフは二人を見ながら木刀を構えた。
槍を持つ男がスッスッとグルドフに近付き、いきなり槍を付き入れてきた。
グルドフは咄嗟に横に避けて槍をかわした。
そこへ鉄球が勢いよく飛んできた。
だが、グルドフはそちらにも注意を払っていたから、難なくかわした。
鉄球は部屋の壁に当たり、ドカンと大きな音をたてた。
槍の男は後ろに下がり、槍を構えて前後に動きながらもう一度槍を突くという仕草をしている。
皮兜の男は、鉄球のついた鎖をジャラジャラと引き寄せ、もう一度振り回す準備をしている。
槍男が突く構えを見せているのは、鉄球男の準備が整うまでの時間稼ぎだろう。
グルドフはここでさっさとやっつけてしまった方がいいと思った。
グルドフは鉄球男の方へ跳んだ。
鉄球男は慌てて後ろへ下がろうとしたが、その首筋へグルドフが木刀を打ち込んだ。
鉄球男はそのまま後ろの壁に激突し、目を回して倒れた。
そこへもじゃもじゃ頭男が槍を振ってきたが、グルドフは身をかがめてかわし、男の近くに飛び込んで腹を突いた。
「うえ!」
もじゃもじゃ頭男も奇妙な悲鳴を上げて倒れた。
そこへ、家の中の大きな物音を聞きつけた村長たちが部屋に飛び込んできた。
「これは」
村長は床にのびている三人の男を見て驚きの声をあげた。
「丁度良い所に来てくださいました。少しお手伝いをお願いしたい」
そう言うと、グルドフは背負った鞄を降ろし、中から村長に借りたロープを取り出した。
悪党の手足を縛り、三人が部屋の中央を向くように柱にも縛りつけた。
三人とも意識を取り戻している。
「やいやい、てめー、こんなことして、只で済むと思うなよ!」
小柄な短剣男がわめきたてた。
グルドフは腰の剣を抜き、わめく男に刃を向けた。
男は口をつぐんだ。
「色々と訊きたいことがあります。こちらの質問に、嘘偽りなく答えていただきたい」
グルドフは剣を持ったまま言った。
「ケッ、誰がてめえなんかに」
もじゃもじゃ頭の大男が言った。
グルドフは剣先をもじゃもじゃ頭の男に向け、近づいていった。
そしていきなり男の頭の上で剣を振った。
男の頭上の毛が薄くなり、大量のもじゃもじゃの髪がはらはらと舞い落ちた。
「て、てめー、何しやがる!」
縛られた体を激しく左右に揺らしながら、男が怒鳴った。
「毎日手入れをしているので、この剣の切れ味は素晴らしいのです」
グルドフの目が異様な光を帯びた。
もじゃもじゃ頭男が青くなった。
グルドフはその頭上にもう一度剣を振った。
今度は短い髪の毛が空を舞い、男の頭は河童のように頭の頭頂部の毛がなくなった。
「話す気になりましたかな」
「ば、ば、ば、馬鹿言え、だ、だ、だ、誰がてめえ、な、な、な、なんかに」
強がっているが、男の声は震えている。
「今度はもう一ミリ毛を短くしましょう。しかし、もうてっぺんには一ミリも毛が残っていないようなので、少し頭の皮も切り取ってしまうかもしれませんな」
「ちょ、ちょ、ちょっと待て。話す、話す。何でも話す」
頭の周りに、もじゃもじゃの毛が残っている男が、哀れな声を出した。
「馬鹿! 話すな!」
皮兜の男が口を開いた。
グルドフはそちらを向き、皮兜の男の前に立った。そして剣先で兜をひょいと取った。
男の頭はつるつるだった。
「おや、切るべき毛がありませんな。では頭の皮を一ミリほど切り取りましょう」
グルドフが剣を構えた。
「待て待て待て。話す、俺が話す」
「あなたたちは話す気になったようですが、今は話さなくてもよろしい。話してもらうのはあなたです」
グルドフはそう言って、剣を小柄な男に向けた。
小柄な男はコクコクと首を何度も縦に振った。
グルドフは小柄な男の背後に回り、柱に縛りつけてあるロープを切った。
「それでは別の部屋で話を聞きましょう。どうぞ、村長さんもご一緒に」
グルドフは驚いて呆然と立ち尽くしている村長に声をかけた。
「は、はい」
「お役人さんは一人、ここに残って、この者たちの見張りを」
「はい」
若い男の一人が返事をした。
「よいか、後でこの者の話したことが正しいか、答え合わせをしますからな。もしこの者とおぬしらの話が食い違うようなら、どうなるかはご想像にお任せするが、只では済まされませんぞ」
グルドフは柱に縛りつけられたままの二人の大男に言い、そして小柄な男を見た。
小柄な男はまた、コクコクと首を振った。
グルドフは小柄な男の足を縛ったロープを切りほどき、別の部屋へと連れていった。
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