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グルドフ旅行記・4 怪しい奴らの正体を暴け!
悪だくみの全貌
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小柄な男の話から、その家に暮らしていた一味は窃盗団ということがわかった。
魔法使い崩れの男がこの一味を率いていて、年に一度か二度、大きな強盗を働く。そしてまさにここ二日、三日のうちに新たな強盗が行われようとしているところだった。
標的はポイの町の裕福な商人の家と銀行。
詳細はこうだ。
他国で大きな窃盗を働き、そのままこの国の村、ニタリキまで逃れてきて隠れ住んだのが一年前。盗品を少しずつ捌きながら、新たな盗み先を探す。一度、半年ほど前にこの村から遠く離れたマットアン王国の地方の町で盗みを行ったが、それ以外は大人しくしている。そしてこの国に来て約一年経った今、ポイの町に狙いを定め、強盗を働く。働いたその足で、他国に確保してある隠れ家に逃げるというものだ。
二日前に三人の留守番役を残し、一団はポイの町に行った。
ポイの町に着いたその日の晩はいつものように酒を飲んで騒ぐ。そうしながらも、次の日から三日間のうちで一番強盗に適した日を探り、決行する。決行すると決めた日はまず、ミナルテの村に行き、日が暮れてからイナハたちを殺害し、その足でポイの町に戻り、二手に分かれて夜更けに商家と銀行を襲う。そして逃げる途中でこの村の留守番役三人と落ち合い、アザム王国に設けた新たな隠れ家に向かうという手はずだった。
留守番役の三人は旅の荷物係で、イナハを襲ったのち、一人がニタリキへ連絡に来ることになっていた。
確かに家の中を探してみると、荷造りされた旅用のテントや食料などが見つかった。
「なぜイナハ殿たちをを狙うのだ?」
グルドフが、上半身を縛り上げてある小柄な男に訊いた。
「あいつは王様か誰かに命令されて、俺たちのことを調べに来た奴に違いねえからだ」
「お前らの狙いはシェイ殿でなく、イナハ殿だったのか」
「シェイ? 知らねえな」
「それで分かった。私をイナハ殿の手下と勘違いしたな」
「違うのか?」
「まあ、同じようなものだ。ではイナハ殿を殺してから盗みを働くというのは、イナハ殿に後をつけられたりしないためということか」
「そうだ。あたりめえじゃねえか」
「それで盗みを働くのは今日か、明日か、明後日か」
「さあ、それはわからねえ。かしらがその場で決める」
「ということは、今日、イナハ殿を襲うということもあるのだな?」
「そうだ」
グルドフは村長を見た。
「私はミナルテに戻らねばなりません。後の始末をお願いします」
「これからミナルテに行くのかね? 日が暮れるぞ」
「私は大丈夫です。村長は王様やポイの町、アザム王国にも連絡をつける用意をしてください」
「わかった。任せなされ」
グルドフは窃盗団一味が用意していた旅の荷物の中から明かりを取り出し、急いで家を出た。
お昼を食べた宿に行くと、先ほどした予約のキャンセルを伝え、走り去った。
魔法使い崩れの男がこの一味を率いていて、年に一度か二度、大きな強盗を働く。そしてまさにここ二日、三日のうちに新たな強盗が行われようとしているところだった。
標的はポイの町の裕福な商人の家と銀行。
詳細はこうだ。
他国で大きな窃盗を働き、そのままこの国の村、ニタリキまで逃れてきて隠れ住んだのが一年前。盗品を少しずつ捌きながら、新たな盗み先を探す。一度、半年ほど前にこの村から遠く離れたマットアン王国の地方の町で盗みを行ったが、それ以外は大人しくしている。そしてこの国に来て約一年経った今、ポイの町に狙いを定め、強盗を働く。働いたその足で、他国に確保してある隠れ家に逃げるというものだ。
二日前に三人の留守番役を残し、一団はポイの町に行った。
ポイの町に着いたその日の晩はいつものように酒を飲んで騒ぐ。そうしながらも、次の日から三日間のうちで一番強盗に適した日を探り、決行する。決行すると決めた日はまず、ミナルテの村に行き、日が暮れてからイナハたちを殺害し、その足でポイの町に戻り、二手に分かれて夜更けに商家と銀行を襲う。そして逃げる途中でこの村の留守番役三人と落ち合い、アザム王国に設けた新たな隠れ家に向かうという手はずだった。
留守番役の三人は旅の荷物係で、イナハを襲ったのち、一人がニタリキへ連絡に来ることになっていた。
確かに家の中を探してみると、荷造りされた旅用のテントや食料などが見つかった。
「なぜイナハ殿たちをを狙うのだ?」
グルドフが、上半身を縛り上げてある小柄な男に訊いた。
「あいつは王様か誰かに命令されて、俺たちのことを調べに来た奴に違いねえからだ」
「お前らの狙いはシェイ殿でなく、イナハ殿だったのか」
「シェイ? 知らねえな」
「それで分かった。私をイナハ殿の手下と勘違いしたな」
「違うのか?」
「まあ、同じようなものだ。ではイナハ殿を殺してから盗みを働くというのは、イナハ殿に後をつけられたりしないためということか」
「そうだ。あたりめえじゃねえか」
「それで盗みを働くのは今日か、明日か、明後日か」
「さあ、それはわからねえ。かしらがその場で決める」
「ということは、今日、イナハ殿を襲うということもあるのだな?」
「そうだ」
グルドフは村長を見た。
「私はミナルテに戻らねばなりません。後の始末をお願いします」
「これからミナルテに行くのかね? 日が暮れるぞ」
「私は大丈夫です。村長は王様やポイの町、アザム王国にも連絡をつける用意をしてください」
「わかった。任せなされ」
グルドフは窃盗団一味が用意していた旅の荷物の中から明かりを取り出し、急いで家を出た。
お昼を食べた宿に行くと、先ほどした予約のキャンセルを伝え、走り去った。
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