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グルドフ旅行記・8 魔物の潜む町
恐ろしい姿の魔物
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街の外れに幾つもの明かりが灯り、大勢の人がいた。
グルドフたちは人混みの間を割って進み、一軒の家の前に行った。家の玄関前に二人の男が立ち、人々が遠巻きに彼らを囲んでいる。
「グルドフ様、夜分に申し訳ありません」
町長がグルドフを見つけ、すぐに近付いてきて言った。
「魔物というのは?」
グルドフが尋ねた。
「あの者の後ろにいます」
町長は家の前に立つ男を示した。
その男の後ろで縮こまるようにして隠れている大男は、確かに普通と違う。
グルドフはゆっくりと二人に近付いていった。
「私は以前、ゲルグ王国の勇者だったグルドフという者です。お話を伺いたい」
家の前に立つアレクサンダーが片手を挙げてグルドフを制した。
「こいつは悪い者ではない。手荒な真似はしないでいただきたい」
「私は色々な魔物を見てきました。中には心優しき魔物もいます。人間に悪さをしない魔物なら、安易に傷つけたりはしません。今のこの状況を知る必要がありますので、話しをしていただけませんかな?」
グルドフの言葉に、アレクサンダーは緊張を解いたようだった。
「もちろんお話しすることは構いません。このように多くの人の目に触れることになってしまいましたので、ぜひ真実を知ってほしいと思います」
「わかりました。家の中でお話を伺っても構いませんかな?」
「どうぞ。できれば他の方たちも」
「では町長さん、それにお役人さんたちに、この家の近所の方がいましたら、その方たちも」
グルドフの言葉を聞いて、数人の男たちが進み出た。
「ドアと窓を開けておきましょう。他にも話を聞きたい方がおりましたら、お近くにどうぞ」
そう言ってから、グルドフはアレクサンダーを促して家の中に入った。
アレクサンダーの後ろについて家に入っていく大男は、厚手の背広を着て、手袋をはめ、帽子にマスクに、夜中だというのにサングラスをして、どう見ても普通の人間ではなかった。しかも毛糸の帽子は、側頭部が異様な形に出っ張っている。
アレクサンダーは家の中の小さな部屋にある小さなテーブルの椅子を、町長とグルドフに勧めた。
「私はいりません。町長さんどうぞ」
「私も立っています」
「それでは」
アレクサンダーは小さなテーブルと椅子を部屋の隅にどけた。
「パクン、サングラスとマスクを取りなさい。それに帽子も」
アレクサンダーは大男に命じた。
「ハーイ」
パクンがアレクサンダーに言われたようにすると、現れたのはツギハギだらけの顔だった。頭には巨大なボルトが突き刺さっている。
「ごらんの通り、この子は魔物です」
アレクサンダーが言った。
「それではなぜパクンと呼ぶ魔物がここにいるのかを説明してください」
グルドフはこのフランケンシュタイン型と呼ばれる魔物を何度も見てきた。戦って倒したことも数え切れないほどある。しかし、このパクンほど凶暴性のかけらもない、純情に見えるこの種類の魔物を見たのは初めてだった。
グルドフたちは人混みの間を割って進み、一軒の家の前に行った。家の玄関前に二人の男が立ち、人々が遠巻きに彼らを囲んでいる。
「グルドフ様、夜分に申し訳ありません」
町長がグルドフを見つけ、すぐに近付いてきて言った。
「魔物というのは?」
グルドフが尋ねた。
「あの者の後ろにいます」
町長は家の前に立つ男を示した。
その男の後ろで縮こまるようにして隠れている大男は、確かに普通と違う。
グルドフはゆっくりと二人に近付いていった。
「私は以前、ゲルグ王国の勇者だったグルドフという者です。お話を伺いたい」
家の前に立つアレクサンダーが片手を挙げてグルドフを制した。
「こいつは悪い者ではない。手荒な真似はしないでいただきたい」
「私は色々な魔物を見てきました。中には心優しき魔物もいます。人間に悪さをしない魔物なら、安易に傷つけたりはしません。今のこの状況を知る必要がありますので、話しをしていただけませんかな?」
グルドフの言葉に、アレクサンダーは緊張を解いたようだった。
「もちろんお話しすることは構いません。このように多くの人の目に触れることになってしまいましたので、ぜひ真実を知ってほしいと思います」
「わかりました。家の中でお話を伺っても構いませんかな?」
「どうぞ。できれば他の方たちも」
「では町長さん、それにお役人さんたちに、この家の近所の方がいましたら、その方たちも」
グルドフの言葉を聞いて、数人の男たちが進み出た。
「ドアと窓を開けておきましょう。他にも話を聞きたい方がおりましたら、お近くにどうぞ」
そう言ってから、グルドフはアレクサンダーを促して家の中に入った。
アレクサンダーの後ろについて家に入っていく大男は、厚手の背広を着て、手袋をはめ、帽子にマスクに、夜中だというのにサングラスをして、どう見ても普通の人間ではなかった。しかも毛糸の帽子は、側頭部が異様な形に出っ張っている。
アレクサンダーは家の中の小さな部屋にある小さなテーブルの椅子を、町長とグルドフに勧めた。
「私はいりません。町長さんどうぞ」
「私も立っています」
「それでは」
アレクサンダーは小さなテーブルと椅子を部屋の隅にどけた。
「パクン、サングラスとマスクを取りなさい。それに帽子も」
アレクサンダーは大男に命じた。
「ハーイ」
パクンがアレクサンダーに言われたようにすると、現れたのはツギハギだらけの顔だった。頭には巨大なボルトが突き刺さっている。
「ごらんの通り、この子は魔物です」
アレクサンダーが言った。
「それではなぜパクンと呼ぶ魔物がここにいるのかを説明してください」
グルドフはこのフランケンシュタイン型と呼ばれる魔物を何度も見てきた。戦って倒したことも数え切れないほどある。しかし、このパクンほど凶暴性のかけらもない、純情に見えるこの種類の魔物を見たのは初めてだった。
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