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図書館の前で三人はタクシーから降りた。
「どうする? ここで待ってる?」
博美が美菜に尋ねた。
「中で待っていよう。すぐに来るでしょ」
二人は建物の中に入っていった。壮大も三人分の荷物を持ったまま後に続く。
「図書館に入るなんて何年振りかな、久しぶりだ」
美菜が言った。
「私は小学校の図書館以来だと思う」
博美が言う。
「あら、それは本当に久しぶりだ」
「本読まないから」
図書館の中で大きな声で話しをしていた二人は、周りの人たちの視線に気がついて口をつぐんだ。
壮大は適当な雑誌を拾い上げ、椅子に座って読み始めた。
「こんにちわ」
声がして壮大は顔を上げた。
近くに座っていた美菜と博美の前で友加里が小声であいさつをしていた。
そしてちらりと壮大を見る。
壮大は慌てて視線をそらせた。
「パフェがすっごくおいしいお店があるんです」
友加里は美菜たちに向かって言った。
四人は店の前に植え込みのある洒落た喫茶店に入った。
テーブルに座り、パフェを四つ注文する。
「それで、いったいどうしたの?」
落ち着いたところで美菜が友加里に尋ねた。
「私、婚約することになっているのです」
友加里はそれまでと変わって沈んだ声で言った。
「婚約することになるって、なんだか変な言い方だね」
「父は会社を経営しています。私は一人っ子なので私の夫となる人に会社を継いでほしいのです」
「それで相手を連れてきたわけだ。こいつと結婚しろって」
「父は私に良かれと思ってしたことだと思います。去年のことでした。すぐに結婚しなさいというわけではないのです。私は大学に通っていましたから、大学を卒業したらということで話を進めたいようでした」
「友加里ちゃんの相手なら、イケメンで頭もよくて性格もよくて資産家の息子で、女装なんて絶対にしないような人だったんじゃない?」
美菜と友加里と博美がちらりと壮大を見る。
壮大は気がつかないふりをした。
「相手の方とは会ったことも、話しをしたこともありません。そんな人と結婚を前提としたお付き合いをしなさいと言われても」
「もったいない」
「私は父やこの家に縛られてしまい、苦しくなって家を飛び出してしまいました。父には力があり、顔もとても広いのです。私は父に見つからないようにしなければなりませんでした」
「それで男の名前でアパートを借りたんだ」
「昔から私をかわいがってくれた母方の叔父が両親に内緒で力になってくれて、アパートの保証人にもなってくれました。私はアパートにいる時は男性のふりをして暮らしていました」
「でも、見つかっちゃったんだ」
「多分携帯電話じゃないかと思います。東京に行ったばかりの頃はできるだけ携帯電話を使わないようにしていたのですが、最近は安心して何度も使ってしまいましたから」
「それじゃ、家に連れ戻されて、携帯も取り上げられたんだ」
「はい。最近まで外出もさせてもらえませんでした。やっと今日になって父がスマホを返してくれました。見たらみんなからの着信がいっぱいあって・・・・」
そう言って友加里はうつむいた。
「うわ」
ちょうどいいタイミングでパフェが運ばれてきた。フルーツてんこ盛りの巨大パフェだ。
「すごい」
「でしょ」
顔を上げた友加里が笑顔になって言った。
「どうする? ここで待ってる?」
博美が美菜に尋ねた。
「中で待っていよう。すぐに来るでしょ」
二人は建物の中に入っていった。壮大も三人分の荷物を持ったまま後に続く。
「図書館に入るなんて何年振りかな、久しぶりだ」
美菜が言った。
「私は小学校の図書館以来だと思う」
博美が言う。
「あら、それは本当に久しぶりだ」
「本読まないから」
図書館の中で大きな声で話しをしていた二人は、周りの人たちの視線に気がついて口をつぐんだ。
壮大は適当な雑誌を拾い上げ、椅子に座って読み始めた。
「こんにちわ」
声がして壮大は顔を上げた。
近くに座っていた美菜と博美の前で友加里が小声であいさつをしていた。
そしてちらりと壮大を見る。
壮大は慌てて視線をそらせた。
「パフェがすっごくおいしいお店があるんです」
友加里は美菜たちに向かって言った。
四人は店の前に植え込みのある洒落た喫茶店に入った。
テーブルに座り、パフェを四つ注文する。
「それで、いったいどうしたの?」
落ち着いたところで美菜が友加里に尋ねた。
「私、婚約することになっているのです」
友加里はそれまでと変わって沈んだ声で言った。
「婚約することになるって、なんだか変な言い方だね」
「父は会社を経営しています。私は一人っ子なので私の夫となる人に会社を継いでほしいのです」
「それで相手を連れてきたわけだ。こいつと結婚しろって」
「父は私に良かれと思ってしたことだと思います。去年のことでした。すぐに結婚しなさいというわけではないのです。私は大学に通っていましたから、大学を卒業したらということで話を進めたいようでした」
「友加里ちゃんの相手なら、イケメンで頭もよくて性格もよくて資産家の息子で、女装なんて絶対にしないような人だったんじゃない?」
美菜と友加里と博美がちらりと壮大を見る。
壮大は気がつかないふりをした。
「相手の方とは会ったことも、話しをしたこともありません。そんな人と結婚を前提としたお付き合いをしなさいと言われても」
「もったいない」
「私は父やこの家に縛られてしまい、苦しくなって家を飛び出してしまいました。父には力があり、顔もとても広いのです。私は父に見つからないようにしなければなりませんでした」
「それで男の名前でアパートを借りたんだ」
「昔から私をかわいがってくれた母方の叔父が両親に内緒で力になってくれて、アパートの保証人にもなってくれました。私はアパートにいる時は男性のふりをして暮らしていました」
「でも、見つかっちゃったんだ」
「多分携帯電話じゃないかと思います。東京に行ったばかりの頃はできるだけ携帯電話を使わないようにしていたのですが、最近は安心して何度も使ってしまいましたから」
「それじゃ、家に連れ戻されて、携帯も取り上げられたんだ」
「はい。最近まで外出もさせてもらえませんでした。やっと今日になって父がスマホを返してくれました。見たらみんなからの着信がいっぱいあって・・・・」
そう言って友加里はうつむいた。
「うわ」
ちょうどいいタイミングでパフェが運ばれてきた。フルーツてんこ盛りの巨大パフェだ。
「すごい」
「でしょ」
顔を上げた友加里が笑顔になって言った。
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