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お城にあるような立派な門の左右に塀が長く伸びている。
タクシーから降りた壮大と美菜と博美は驚いたように門を眺めた。
「ここって、個人の住宅だよね?」
美菜が友加里に尋ねる。
「私の自宅です。私の家は昔、お殿様がいた頃は色々な商いをしていてかなり裕福だったそうです」
「じゃ、その頃からの家なんだ」
「当時の敷地よりはかなり小さくなったそうですが」
「それでこれか」
そう言った美菜が、門の前で呆けたようにたたずむ女装した壮大を見た。
「おい、どうした、壮大、じゃなくて壮子。怯んでいる場合じゃないぞ。それとも突撃は諦めるのか?」
「い、いい、いや、行く」
壮大は何とか絞り出すように声を出した。
「愛しい友加里ちゃんのためだ、頑張れ!」
美菜の声を聞いた友加里がぽっと頬を赤く染めた。
壮大はキッと真剣な眼差しになる。
「よし! 行きますか」
「はいよ」
壮大の言葉に美菜が応えた。
壮大も美菜も博美も、今までに見たこともないような大きな居間に通された。部屋にある調度品は、全然そういった物の価値が分からない壮大でさえ、すごく高いのだろうと想像できる物ばかりだった。
「父を呼んできますか?」
深々としたソファに座る壮大たちの前に紅茶のカップを置きながら友加里が尋ねた。
「今、お父さんいるの?」
美菜が友加里に尋ねた。
「はい。ほとんど家にいない人だったのですが、私が帰ってきてからはいることが多いのです」
「壮子ちゃん、どうする?」
「うう、まだ心の準備が」
「よし分かった。友加里ちゃん、お父さんを呼んできて。お友達の壮子ちゃんがお父さんに話があるって」
「はい」
「ええ? ちょっとまだ心の準備が」
壮大は顔をゆがめ、落ち着こうと深呼吸をする。
「何情けない顔してるのよ。友加里ちゃんのことが好きなんでしょ? 今の見た目は女だけど、心は男なんだから、ガツンと言ってやりな」
「わかった。ガツーンと言わさせていただきますわ」
「あの、無理しないでください。かえってご迷惑をおかけしてしまって」
「ぜーんぜん迷惑じゃないから。勝手に押しかけてきて迷惑かけてるのはこっちの方だから。迷惑ついでにやりたいことやっちゃえって気なんだから」
「やるのは私です」
壮大が裏声でおしとやかに言った。
「それじゃ、友加里ちゃん、お父様を呼んできてくださる?」
「はい」
返事をして友加里は部屋を出ていった。
「おい、大丈夫か」
美菜は青い顔をしている壮大に声をかけた。
「わかってる。頑張るよ」
「何を話すかわかってる?」
「わ、分かってない。頭の中真っ白」
「え? 今更何よ!」
その時、居間の扉が開き、友加里に続いて恰幅のいい男が入ってきた。
タクシーから降りた壮大と美菜と博美は驚いたように門を眺めた。
「ここって、個人の住宅だよね?」
美菜が友加里に尋ねる。
「私の自宅です。私の家は昔、お殿様がいた頃は色々な商いをしていてかなり裕福だったそうです」
「じゃ、その頃からの家なんだ」
「当時の敷地よりはかなり小さくなったそうですが」
「それでこれか」
そう言った美菜が、門の前で呆けたようにたたずむ女装した壮大を見た。
「おい、どうした、壮大、じゃなくて壮子。怯んでいる場合じゃないぞ。それとも突撃は諦めるのか?」
「い、いい、いや、行く」
壮大は何とか絞り出すように声を出した。
「愛しい友加里ちゃんのためだ、頑張れ!」
美菜の声を聞いた友加里がぽっと頬を赤く染めた。
壮大はキッと真剣な眼差しになる。
「よし! 行きますか」
「はいよ」
壮大の言葉に美菜が応えた。
壮大も美菜も博美も、今までに見たこともないような大きな居間に通された。部屋にある調度品は、全然そういった物の価値が分からない壮大でさえ、すごく高いのだろうと想像できる物ばかりだった。
「父を呼んできますか?」
深々としたソファに座る壮大たちの前に紅茶のカップを置きながら友加里が尋ねた。
「今、お父さんいるの?」
美菜が友加里に尋ねた。
「はい。ほとんど家にいない人だったのですが、私が帰ってきてからはいることが多いのです」
「壮子ちゃん、どうする?」
「うう、まだ心の準備が」
「よし分かった。友加里ちゃん、お父さんを呼んできて。お友達の壮子ちゃんがお父さんに話があるって」
「はい」
「ええ? ちょっとまだ心の準備が」
壮大は顔をゆがめ、落ち着こうと深呼吸をする。
「何情けない顔してるのよ。友加里ちゃんのことが好きなんでしょ? 今の見た目は女だけど、心は男なんだから、ガツンと言ってやりな」
「わかった。ガツーンと言わさせていただきますわ」
「あの、無理しないでください。かえってご迷惑をおかけしてしまって」
「ぜーんぜん迷惑じゃないから。勝手に押しかけてきて迷惑かけてるのはこっちの方だから。迷惑ついでにやりたいことやっちゃえって気なんだから」
「やるのは私です」
壮大が裏声でおしとやかに言った。
「それじゃ、友加里ちゃん、お父様を呼んできてくださる?」
「はい」
返事をして友加里は部屋を出ていった。
「おい、大丈夫か」
美菜は青い顔をしている壮大に声をかけた。
「わかってる。頑張るよ」
「何を話すかわかってる?」
「わ、分かってない。頭の中真っ白」
「え? 今更何よ!」
その時、居間の扉が開き、友加里に続いて恰幅のいい男が入ってきた。
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