最強だけど世界一極悪非道な勇者が王になる

原口源太郎

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勇者ダバイン

城へ・2

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 街では札付きのワルだったから、人々が遠く離れてダバインを見ているのはいつもと変わらなかったが、その目つきはいつもと違っていた。
 それがダバインにも伝わり、無性にイライラした。
 畜生、みんな好奇の目で俺を見やがって。
「うわっ! 変な奴!」
 横で声がして、ダバインはそちらを見た。
「あっ! ダバインだ! ダバイン、気が狂った」
 子供たちがダバインを見て騒いだ。
「バカ野郎! てめえら、ぶっ飛ばしてやる」
「うわー、勇者が切れた。逃げろー」
 子供たちは去っていった。
 ますます城に行くのが嫌になった。
 勇者になれば、いっぱい稼いで金持ちになれるんだ。これしきの事でくじけていられるか。
 ダバインはなんとか自分を奮い立たせて城に向かった。

 城の門番は、ダバインを見ると、サッと敬礼をした。
「あ、どうも」
 昔は、よくからかって怒られた門番たちだ。
「ダバイン様、今日はようこそ」
 門番の兵士が言った。
 あれれ、小僧呼ばわりされていたのに、いつの間にかダバイン様になっちまった。これが勇者の特権か。
 ダバインは少しばかり嬉しくなった。
 門を入った所に、年配の堅そうな仕官が立っていた。
「ダバイン、よく来た。王様のもとに案内するから、付いてきなさい」
 そう言うと、仕官はくるりと向きを変え、歩き始めた。
 なんだ、こいつは呼び捨てかよ。
 ダバインはむっとした。
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