遥かなる故郷は宇宙

原口源太郎

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 スカイたちは相手のレーダーや視界に入らない距離を取って先へと急いだ。時間はある。できるだけいい位置から至近距離で仕掛けたい。
 ダブルドラゴンの進路は簡単に予測できた。目的地はこれから最大の激戦地になると予想されている東ヨーロッパだ。ダブルドラゴンはそこへ直線的に進路を取り、ゆっくりと北上している。
 ゆっくりと移動している理由はわからない。作戦まで時間があるためか、燃料効率の一番いい速度で進んでいるためか、それとも他に理由があるのか?
 スカイとユウはダブルドラゴンの進路上の小高い岩山が連なる場所に少し離れて身を潜めた。すでに夜は明けている。
 人々の暮らしから隔離されたような広大な砂漠の中だったが、そこでも妨害電波とそれを助長する微細粒子は存在している。レーダーが捕らえるよりも先にFマシーンの望遠レンズにより、スカイはダブルドラゴンの機影を認めていた。
 ダブルドラゴンに発見されないようにF105を岩場の陰に隠し、動力の出力を最小にして待った。
 空調されたコックピット内でも、手にじっとりと汗をかいていた。間違いなくこれからの戦闘は今までに経験したことのないほど激しいものになる。
 ユウと確認してあった地点にダブルドラゴンが達した時、スカイはF105の出力を全開にして岩場から飛び立った。背中のロケットエンジンからの僅かな白い煙が一直線に伸び、大きくジャンプしたF105は青い空を横切る。
 ダブルドラゴンの四方に伸びたプロペラが機内に吸い込まれるように格納されていくのが見えた。そうしながら下方へいくつものノズルから炎を出し、砂煙を上げて地面に着陸する。
 前方ではカタパルトのハッチが開いていく。
 スカイのF105は一度地面に着地し、再び空高くジャンプした。F105用に開発された四連装のミサイルランチャーを構え、カタパルトの排出口に照準を合わせる。射程距離に入るまでもう少し。
 カタパルトから一機のFマシーンが飛び出していく。そのままダブルドラゴンの向こう側へと姿を消した。
「ユウ! 敵のFマシーンが出撃した。気を付けろ!」
 スカイはそう無線で叫び、まだ射程距離外だったが、ハッチが閉まっていくカタパルトに向けてミサイルを発射した。

 スカイの放ったミサイルはカタパルトを覆うハッチを直撃したが、それほどの損害は与えられなかった。
「うわ!」
 ユウの叫びが聞こえた。
「ユウ! どうした!」
 スカイは進路を変え、ダブルドラゴンの後方へ向かう。
 そこで立て続けに大きな爆発と炎が上がるのが見えた。
「ユウ!」
 スカイは叫んだ。
「足をやられた! 動けない」
 無線から反応があった。
 スカイはミサイルランチャーに残っている三発を立て続けにダブルドラゴンめがけて発射すると、Fマシーンをフル加速させて爆発の続く後方へと向かった。ミサイルランチャーを捨ててマシンガンを装着する。

 地面に降りたダブルドラゴンは形態を変えていた。移動用の四つの巨大なプロペラは機体の中に納められ、ロケットエンジン排出口など開口部はハッチで閉じられている。
 上空に伸びていた二つの竜の頭に似た艦橋の一つも機体の中に納められ、もう一つの艦橋は首を引っ込めたカメのように頭だけが上部に見えている。その代わりに小型の砲塔がにょきにょきとキノコが生えたようにあちこちに現れていた。
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