オッドアイズ

みるく*

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~世界の秩序~

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「───それで?
一から説明してくれるんでしょ?
…の前に、あなた名前は?」




部屋に謎の少年を招き入れた
あかりはコップにお茶を
注ぎながらに話す。


『…ほんとに何も覚えて
ないんだな。』

「えぇ、覚えてもないし
今日起きた事自体、まだ
夢を見てるみたいなんですけど。」


コト…と彼の前にコップを置き、
向かいに座るあかり。


『…レンだ。』

「そう、レン君ね。
で?今何がどうなってるの?」

『レンでいい。

…今、ここ人間界と
ある世界との秩序が乱れ
出している。』

「ある世界?」


『そう、妖魔界だ。』


「よ、ようま…?
妖魔って何よ…。」


『さっき目の前で見たろ。
あいつらが妖魔。』

「あいつが…。」


先程の恐怖が蘇り
ブルっと震える。

あんな化け物見たことがない。
というより、見るまでは
化け物がいるだなんて
信じたことすらなかった。

もしあの時、彼が助けて
くれなかったらどうなっていただろう。



『…妖魔達は普段人間界に
介入してくることはまずない。
逆もまた、そうだ。
人間達が他の世界に
介入しちゃいけない。

…それが世界の"秩序"だ。』

「秩序…。」

『そう、人間は知らないだろうが
人間界、妖魔界意外にも
沢山の世界がある。
だが、そこに住む者以外のやつが
介入することは昔から
禁じられている。
まぁ、行こうとしても
行けないように結界が
張られてるけどな。

だから、人間界に妖魔達が
現れることはめったにない。
たまに時空のねじれに迷い込んだ
奴らがこっちに来てしまう
ことがあるが…。
それでも人間に危害を
加えることなんてなかった…。』

「でも、じゃあ、さっきの
妖魔は…?」


『あぁ…。さっきのやつもそうだが、
今人間界で謎の殺害事件として
世に出てるニュースも全て、
妖魔たちの仕業だ。
…やつらは…ある人物を
探して殺し回ってる。』


「…ある人物?
無差別じゃなかったの?」

『違う。…やつらはただの駒。
黒幕から殺すように
操られているだけだ。
ターゲットが見つかるまで
やつらは似た人間を殺し続けた。
しかも操られてる妖魔たちは
見境がなくなっている。

けど、それも今日で終わりだ』


すっとこちらを見つめるレン。


「えっ…。」


『その"ターゲット"を見つけたからな。
あかり、お前だよ。』



「えっ……!?
…私!!?
な、何で…。」


『その説明は後だ。

とりあえず……おかわり。』


グッと目の前に差し出されたコップ。
綺麗に飲みきった彼は
再び飲み物を要求してきた。


「えっ…。
…このタイミングで?
私今殺されちゃうかもって
話してたんだよね…?」

『あぁ、そうだな…。』


それでも引っ込まないコップ。



「………。」

『………出来れば、
甘い飲みもんがいい…。』


「(こいつ……。)」



話は一旦中断、
コップを素早く受け取ると
あかりは飲み物を入れるため
席を立った。


この後レンはコップに並々入れられた、
砂糖入のお茶を出されることになるとは
思いもよらなかった。


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