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私に考えがあります(マリルノ視点)
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馬車は、目的地に到着しました。
私は御者の方にお礼を言って、到着した建物の方に向かいました。
「あら、マリルノ様」
顔見知りの方が気付いてくださり、私を出迎えてくださいました。
「本日、こちらに来られるご予定が……」
「いえ。すみません、事前の連絡なく来てしまったのです。
タラレッダさんはいらっしゃいますか?」
「そうでしたか。すぐにお呼びいたします」
「すみません、よろしくお願いいたします」
私が訪れたのは、元婚約者であるペドロル様が住まれていたお屋敷。
今もまだ主人不在のまま、タラレッダさんをはじめとして以前から働かれている方が、管理・維持されているお屋敷です。
「マリルノ様! ようこそいらっしゃいました」
タラレッダさんは、いつもと変わらぬ快活な様子で私を出迎えてくださいました。
「ごきげんよう、タラレッダさん」
「さぁ、中へお入りください。本日はどうなさったのですか?」
「いえ、ここでも構いませんか?少しお話させていただきたいのですが」
私はお屋敷の前庭で、タラレッダさんに言いました。
「はい。構いませんよ。どうなさったのです?」
「実は……アルダタさんとの手紙のやりとりが、急に途切れてしまったのです」
タラレッダさんは、眉を顰めました。
「それはそれは、申し訳ございません。アルダタが、マリルノ様に大変失礼なことを……」
「違うんです、これを見てください」
私は持ってきた手紙を、タラレッダさんに見せました。
「これは……」
「私がナテナに送った手紙です。
いつも向こうにある配達屋さんで渡してもらっていたのですが、どうやら受け取り期限が過ぎてしまったらしく、こちらに戻ってきたのです」
タラレッダさんの顔が深刻なものに変わりました。
「じゃあアルダタは、しばらく手紙の受け取り場所に寄れていなかったということでしょうか」
「そうなんです」
私は頷いて、彼女に説明しました。
「もしかしたら私の送った手紙が、こちらの国に帰って来ている彼と入れ違いになったのかなと思って。それでこのお屋敷に伺わせていただいたのです。
アルダタさんから、何かご帰国に関する連絡などはありましたか?」
タラレッダさんは首を振りました。
「いいえ。
事前の話では、帰国の目途が立ち次第こちらに一報入れるとのことでしたが……今のところ、何の連絡も来ておりません」
「そうでしたか……」
ただ手紙のやり取りが途絶えただけ。
しかし私は、妙な胸騒ぎを覚えていました。
誠実なアルダタさんが、私との文通を大切なものだと考えてくださっていたことは、これまでに受け取った手紙からひしひしと感じていました。
ですから、そのやり取りが何の前触れもなくぷつりと切れてしまうというのは……
何らかの不可抗力があったとしか、私には思えませんでした。
「そうだ。
マリルノ様、私、良い考えを思いつきました」
「えっ?」
顔を上げると、タラレッダさんは自信のある表情をされていました。
「ちょっと来ていただいてもよろしいですか?」
「は、はい!」
タラレッダさんはどっしりとした歩幅で、ずんずん歩き始めました。
私は置いていかれないよう、小走りで彼女の後を追いかけました。
私は御者の方にお礼を言って、到着した建物の方に向かいました。
「あら、マリルノ様」
顔見知りの方が気付いてくださり、私を出迎えてくださいました。
「本日、こちらに来られるご予定が……」
「いえ。すみません、事前の連絡なく来てしまったのです。
タラレッダさんはいらっしゃいますか?」
「そうでしたか。すぐにお呼びいたします」
「すみません、よろしくお願いいたします」
私が訪れたのは、元婚約者であるペドロル様が住まれていたお屋敷。
今もまだ主人不在のまま、タラレッダさんをはじめとして以前から働かれている方が、管理・維持されているお屋敷です。
「マリルノ様! ようこそいらっしゃいました」
タラレッダさんは、いつもと変わらぬ快活な様子で私を出迎えてくださいました。
「ごきげんよう、タラレッダさん」
「さぁ、中へお入りください。本日はどうなさったのですか?」
「いえ、ここでも構いませんか?少しお話させていただきたいのですが」
私はお屋敷の前庭で、タラレッダさんに言いました。
「はい。構いませんよ。どうなさったのです?」
「実は……アルダタさんとの手紙のやりとりが、急に途切れてしまったのです」
タラレッダさんは、眉を顰めました。
「それはそれは、申し訳ございません。アルダタが、マリルノ様に大変失礼なことを……」
「違うんです、これを見てください」
私は持ってきた手紙を、タラレッダさんに見せました。
「これは……」
「私がナテナに送った手紙です。
いつも向こうにある配達屋さんで渡してもらっていたのですが、どうやら受け取り期限が過ぎてしまったらしく、こちらに戻ってきたのです」
タラレッダさんの顔が深刻なものに変わりました。
「じゃあアルダタは、しばらく手紙の受け取り場所に寄れていなかったということでしょうか」
「そうなんです」
私は頷いて、彼女に説明しました。
「もしかしたら私の送った手紙が、こちらの国に帰って来ている彼と入れ違いになったのかなと思って。それでこのお屋敷に伺わせていただいたのです。
アルダタさんから、何かご帰国に関する連絡などはありましたか?」
タラレッダさんは首を振りました。
「いいえ。
事前の話では、帰国の目途が立ち次第こちらに一報入れるとのことでしたが……今のところ、何の連絡も来ておりません」
「そうでしたか……」
ただ手紙のやり取りが途絶えただけ。
しかし私は、妙な胸騒ぎを覚えていました。
誠実なアルダタさんが、私との文通を大切なものだと考えてくださっていたことは、これまでに受け取った手紙からひしひしと感じていました。
ですから、そのやり取りが何の前触れもなくぷつりと切れてしまうというのは……
何らかの不可抗力があったとしか、私には思えませんでした。
「そうだ。
マリルノ様、私、良い考えを思いつきました」
「えっ?」
顔を上げると、タラレッダさんは自信のある表情をされていました。
「ちょっと来ていただいてもよろしいですか?」
「は、はい!」
タラレッダさんはどっしりとした歩幅で、ずんずん歩き始めました。
私は置いていかれないよう、小走りで彼女の後を追いかけました。
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