【完結済み】「こんなことなら、婚約破棄させてもらう!」幼い頃からの婚約者に、浮気を疑われた私。しかし私の前に、事の真相を知る人物が現れて……

オコムラナオ

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「前から怪しいと思っていたんだ。

誰かに見られてるとか何とか言って。

それはつまり、お前が後ろめたいことをしていたから、そう感じていたんじゃないのか」

アルフレッドは激しい口調で、私をなじった。

天にも昇るような気持ちから一転、地獄へと突き落とされたような心地がした。


『どうしてあの男の誘いをはっきり断らなかったのだろう。そうすれば、彼が誤解するようなことには……』

しかし今さら嘆いても遅い。

今ここで、『誘いを断らなければ酷い目にあうと思った』などと主張しても、言い訳にしか聞こえないだろう。

「ごめんなさい……」

アルフレッドは、赤の他人を見るみたいな冷たい目で、私のことを眺めていた。

「表に馬車を呼んでくる」

「あっ、私も……」

「いい! ここで待て」

そう言って彼は、表通りの方に向かった。

私は社交場の裏で、一人ぽつりと残された。

するとしばらくして、肩がぞくっとした。

『この感覚……』

私は慌てて周りを見た。誰かに見られているという感覚、日常生活で感じていたあの感覚が蘇ってきたのだ。


「きゃっ!」

私は思わず声を上げた。

私のすぐ後ろに、男が立っていた。さっき私のことを踊りに誘った男。

視線の正体は、この男だったのか。もしかすると、日頃から私のことをストーキングしていて、ついに今日、私に接触してきたんじゃ……

男は妙に静かな目で、私に近づいてきた。

「わかっていますよ。あなたも本当は、私のことが欲しいのでしょう?」

「いやっ! 離して!」

私は、男につかまれた腕を振り払った。しかし男の力は尋常ではなかった。

男は私を地面に押し倒して言った。「痛い目をみなくちゃ、分かりませんか……?」

そして私の首に手をおいた。

私の頬を、涙が伝い落ちた。


ドン。

大きな音がして、私の上から男の姿が消えた。

「うぐっ」と情けない声を出して、地面に転がったのだ。

アルフレッドだ、彼が助けてに来てくれたと思い、私は顔を上げた。

しかしそこにいたのは、アルフレッドではなかった。
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