上 下
19 / 20

新幹線から始まる異世界転生

しおりを挟む
俺の名前は東北進。
イケメン俳優に似ていると良く言われる。好感度も高いので悪い気はしない。

俺の仕事は内部監査。
身も心も疲れる日帰り出張の日々。
だけどそんな俺には密かな楽しみがあった。

発車ベルが鳴るまで、選りすぐりの酒とあてを探してまわる。

今日の出張は仙台だ。駅周辺は栄えているので、選ぶものに困る事がない。逆に選択肢が多すぎて困る位だ。

テレビで宣伝されていた、仙台味噌漬クリームチーズ。仙台味噌の濃厚さに甘味を足して、まるでデザートのようでもある。白ワインに合わせるか、日本酒に合わせるか迷うところだ。仙台のお酒ではないが開け閉ての醸し人九平次が合いそうだ。

宮城の日本酒と言えば伯楽星が美味しいのだが、残念ながら仙台駅の売店ではあまり扱っていない。東京駅にはあるのにね。

寿司屋で摘まみをやりながら、飲み比べをする。新幹線代を払ってももとが取れるくらい安い。東京が高過ぎるのだが。

名物の牛タンは、いろいろ食べ比べてみた。地元の人が好むお店は脂の香りに癖があってちょっと苦手だ。平日だと、美味しいお店もあまり並ばずに入れるので有難い。

仙台牛は駅ビルにも美味しいお店が入っている。しかし今日は持ち帰りなので、牛タン屋の仙台牛ステーキ丼にしよう。祭で売っている人気の肉弁当より遥かに美味しいのでお薦めだ。

眩しい光の中、新幹線の発車ベルがなる。

無限に広がる至福の時。
居酒屋新幹線、今宵の宴が始まる。

『宴ではありません。』


居酒屋新幹線、間もなく開店!

『人の話を聞いて下さい!』
しおりを挟む

処理中です...