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2018年 04月13日
しおりを挟む前回の流れで結局、遊人センセイの名作エロマンガの「Angel」を読み返しました。
いやぁ、「どこか淡白」なんて言っちゃいましたけど、今読んでも凄まじくエロいです。
80年代末から90年代前半に流行った絵柄の可愛いキャラクター、それでいて身体はリアルで肉感的と、およそ男性のリビドーを効率的に刺激することに最大限に特化された表現物であることは間違いありません。
その後も遊人センセイは絵柄のタッチの変遷を経ていくつものエロマンガを発表されますが、自分にとっては上記作品の頃がピークであったような気がします。
ストーリーや演出、性表現技法などを置いて単純な「絵」としては知る限り最もエロく感じるものかもしれません。
そんな感じで「自分にとってすごく官能を刺激される絵柄」というものについて改めて考えさせられたのですが。
逆に「全然どうやってもエロく認識できない」絵柄のマンガってなにかなぁというのも気になってきました。
そしてポンと思い浮かんだのが諸星大二郎センセイ。
所謂伝奇オカルト系と言われるジャンル作品で有名で、そっち系が好きな人ならまず知らない人はいないでしょう。
70年代にデビューして以来、古代神話や世界各地に伝わる超自然的存在の伝奇伝説などをベースに最新物理論などを取り混ぜた宇宙的スケールの壮大な世界観に魅了される人が絶えず、カルト的な人気を誇っています。
代表作品としては「妖怪ハンターシリーズ」に始まり、「暗黒神話」や「孔子暗黒伝」、「西遊妖猿伝」あたりでしょうか。
そして諸星センセイはそのストーリー性に限らず絵柄のタッチにおいても他の追随を許さない独自の境地に至っていることで有名です。
アシスタントに「どうアシすればいいかわからない」って匙を投げられたり、かの手塚治虫をして「諸星大二郎の絵は書けない」と言わしめたエピソードがあるくらい。
実際、作品を見ていただければすぐに「ああ、こりゃ他にはないわ」ってストンと納得いただけると思います。
そんな風にあまりにも主流のマンガ表現からかけ離れた画風であるためか、作中で描かれた女性についてもまず「エロい」という認識ができたことがありません。
諸星画としては「美人」で「可愛い」というキャラクターなのだと理解はできるのですが、彼女達をどう見ても「エロ」と結びつけることができないのです。
一応いくつかの作品でエロシチュめいたところがちらほらあったりもしているんです。
例えば上で挙げた「西遊妖猿伝」なんかは「男装した強気な美少女が悪いヤツに捕まって無理やり犯されちゃう」っていうシチュだけみればこれ以上ないものがあったりするんです。
でもやっぱりムリ。
リビドーが刺激されることはありません。
っていうか、この絵でエロさを感じる自分が想像もできないくらい。
寧ろ諸星作品でそっち方向の実用性を見出せた人がいたら是非教えて欲しいレベル。
他にも「どうしてもエロく見えない画風」のマンガとしてはいくつか思いつくものはありましたけど、諸星センセイは明らかに突出しています。
それもこれも他の作家先生方はなんだかんだ言いつつも伝統的マンガ表現に則ってたり、流行の絵柄の影響を完全に排することはできない、言うなれば個性の限界とでもいうものに囚われているからなのかもしれません。
その点、諸星センセイはあらゆる意味でオリジナリティを極めており、およそ「個性的」という点では現代のマンガ界において一つの到達点とでも言うべき存在……な気がします。
以上、遊人センセイから何故か諸星大二郎センセイが連想されて「エロいマンガ絵とは何か」について思いを馳せてみました。
およそサブカルマンガ論など世の中に星の数ほどあれど、この両人が同じ文章の中で語られることなどまずありえないと思います。
もしかしたら人類史上初めての試みだったかもしれません。
あれ、我ながら結構すごいことを言ってみたかもしれないって自画自賛しつつ、相変わらず小説の筆が進まないのを忘れるために今度は諸星作品でも読み直そうかと企んでいます。
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