プロレタリア

毒鼠STRUM

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出来損ないなりの生き方

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俺の親父は、俺がまだ小学校3年の時に蒸発した・・・お袋は、俺が小学校6年の時に多額の借金を抱えたまま首吊り自殺
それからというもの、毎日喧嘩に明け暮れて、親戚中たらい回しにされ胸クソが悪くなり高校を2年の時に中退した。
仕事も長続きせず、気がつけば路上で大道芸人みたいな事やって金を貰うようになっていた。
家賃の滞納、水道光熱費の滞納・・・4万5千円のアパートを追い出され、路上で生活をするようになった。

そう俺はホームレスになった。

でも路上のパフォーマンスは続けていた。

俺はガキの頃から音楽や芸術が好きだった。
今は、それに何とか生かせてもらってる・・・

それにしてもここは治安が悪すぎる・・・暴力、殺人、強姦、麻薬の売買、売春・・・
俺達ホームレスは殺されても文句は言えねぇ・・・

『やめてください!』

『お嬢ちゃんっダメじゃんっ1人でこんなトコ来ちゃぁへへっ』

高校生くらいの女の子・・・そしてイカツイ兄ちゃん達5人かぁ・・・

『お嬢ちゃん、もしかしてエッチな仕事探してんの?』

『違います!お母さんを探しにここに来ただけです!』

あの野郎共が考えている事はわかっていた。あの娘を脱がして弄ぶ事・・・

仕方ねぇなぁ・・・

『あのぅお兄さん方・・・もうその辺でいいでしょう?』

男達はナイフの先をいじりながら俺に近づいてくる・・・

『あぁ?ホームレスが誰にモノ言ってんだ?』

『ハハっお兄さん方ですよぉ』

コイツらは確かマッド・ソサエティとかいう暴力集団の連中だ。
でも片付けるまで時間はかからなかった。

そして、あの娘は俺をジっと見つめて動かなかった・・・

俺はゆっくり背を向けながら・・・

『ここは危険なトコだから、もう来ちゃ駄目ですよ・・・』

『わ・・・私は、川野晴香です!』

『俺は、出来損ないの大道芸人です・・・』

俺は、ゆっくりと立ち去りながら、同時に嫌な胸騒ぎがした・・・

『・・・マッド・ソサエティ・・・っかぁ』
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