いつも近くに(短編集)

こまいまい

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とある廃墟ホテルへ行った時のお話です。
仕事の先輩と一緒に暇つぶしに行ったのですが、今では後悔しています。
私は昔から、何かの気配を“感じる”ことが多かったです。
しかし、実際に“見た”ことがなかったのです。自分に危機感がなかったのだなと痛感しました。

先輩は全く霊感などないとのことでした。
そのため、自分の前を歩いてくれていました。

ホテルの玄関につくとまず目留まったのは大量の献花とお米、お酒のお供えものです。
その時点で嫌な予感がしたのですが、先輩の手前なので強がっていました。
恐怖心を笑顔で隠しふざけて見せていました。

懐中電灯で照らしながら、ホテルへ入りました。
しんと静まり返った廊下には2人の足音がするだけです。

時折、外から虫の鳴き声が聞こえる暗闇のなか足を進めました。
一階を回り受付だった所の前を通過しようとした時、寒気を感じました。

先輩は何にも感じていない様子でした。

いろんな部屋の壁にはスプレーなどによるタチの悪い落書きが目立ちました。

2階に行き、先輩は客室の部屋のドアを開けました。
そこの部屋にはネクタイと革の靴がおちていました。

昔のものにしては状態が良い感じがしました。

「なんだ、つまんね~」
先輩が大きな声でいい、その声に驚いてしまいました。

思わず声をあげそうになったのですがなんとか隠し通せました。

3階に上がる階段の途中のことです。
知人かもらった数珠が千切れたのです。

階段には御守りの石が飛び散り、カツンと音を立てて落ちていきました。

本能的にそのことで危険なのだとわかったのです。

気がつくと先輩の手を掴み、私は階段を駆け降りていました。

「おい!?どうしたんだよ!」
先輩は少し怒ったように声をあげましたが、気にする余裕はなかったのです。

なぜなら、黒いが人の形をした何かが先輩の後ろからついてきていたのです。

急いで車に乗り込むと発進させその場を後にしました。

数珠が弾けたのは危険だと警告してくれていたのだと思っています。

のちに知ったことなのですが以前このホテルでサラリーマンの男性が首を吊って亡くなったそうです。

あの靴とネクタイは•••
その方のもので追ってきたのはー
自殺した男性なのではと思います。

あくまでこれは自分の推測でしかないのですが、皆さんはどう思いますか?

安易に言ってはいけない場所があると思い知った肝試しでした。
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