Giftbiene【ギフトビーネ】

文字の大きさ
104 / 209
Nc3

104話

しおりを挟む
 アリカ・ラットヴァインにとって『なんとなく』という曖昧な印象は、非常に厄介なものだった。なんとなく、つまりは第一印象でもあるわけだが、彼女にはなんとなく、様々な事柄が読めてしまう。

 テレビで探偵ものやらミステリーがやっていて、完全犯罪だと思われる殺害現場であっても『なんとなく』こうすれば抜け道になるんじゃないかな? と思ったことがトリックだったり、基本的にミステリーは好きなのに楽しめないし、同じ年頃の子供達はあまりそのジャンルで話せない。

 最初は両親もすごいと褒めてくれていたが、あまりに幼少の子供とはかけ離れた理論で暴きつづけると、次第に気持ち悪さを感じ始める。手品を見てもすぐにタネがわかる。初等教育に入る頃には、完全に放置されていた。

 たまに外すこともあるが、その作者の作品を他に読み進めると、癖のようなものが見えてきてしまい、作品の数をこなすごとに的中率が上がる。娯楽も人間関係も読めてしまうので、普通に学校の勉強をひとりこなすだけ。

「アリカは天才なのか?」

 という自身への問いには『なんとなく』、そうだと断言できる。なんとなく断言。言葉としておかしいが、そう言うしかない。年相応な恋愛に興味を持つこともなく、白馬に乗った王子様など、追いかける気持ちもない。むしろ、白馬のほうが好きだ。どうせ皮を一枚剥げば、美人も醜い者も同じ。

 淡々とこなす日々に退屈しかない。不定期に行われる学校のテストも、教師の癖さえ読むことができれば、満点など容易い。そう言った意味では頭がいいのかもしれない。だが、そういうものは、えてして同学年の子供達からは得体の知れないものとして扱われる。

「カンニングをしているんじゃないか」

「教師から贔屓されているのでは?」

 といった疑いをかけられるのは、まだ一〇歳にも満たない子供だからか。当然のようにイジメにあう。それが発覚すると、教師がクラスの親全員にそれを伝える。そして子供、教師、親が一丸となって解決を考える。ドイツでは当然の行動。

 だが、最終的には当事者間で話し合うことを目標としている。そして和解。その後は一緒に遊ぶこともあったが、最終的にはまるで他人のように振る舞い、接点を持つこともない。きっと、こんな風につまらなく過ぎていくのが自分の人生だと、初等教育の時点で悟った。

「いわゆる《ギフテッド》。その2E型と呼ばれるものです。得意なことは異常なほどに得意ですが、苦手なことはその反動で、とことん苦手である可能性が高いです」

 医者にはそう診断された。得意なことは観察。苦手なことは、ありふれているが人付き合い。でいいのかな? こんな力なければ、もっと楽しんで生きることができた? ならばギフテッドなどいらない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

百合短編集

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

せんせいとおばさん

悠生ゆう
恋愛
創作百合 樹梨は小学校の教師をしている。今年になりはじめてクラス担任を持つことになった。毎日張り詰めている中、クラスの児童の流里が怪我をした。母親に連絡をしたところ、引き取りに現れたのは流里の叔母のすみ枝だった。樹梨は、飄々としたすみ枝に惹かれていく。 ※学校の先生のお仕事の実情は知りませんので、間違っている部分がっあたらすみません。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

義姉妹百合恋愛

沢谷 暖日
青春
姫川瑞樹はある日、母親を交通事故でなくした。 「再婚するから」 そう言った父親が1ヶ月後連れてきたのは、新しい母親と、美人で可愛らしい義理の妹、楓だった。 次の日から、唐突に楓が急に積極的になる。 それもそのはず、楓にとっての瑞樹は幼稚園の頃の初恋相手だったのだ。 ※他サイトにも掲載しております

放課後の約束と秘密 ~温もり重ねる二人の時間~

楠富 つかさ
恋愛
 中学二年生の佑奈は、母子家庭で家事をこなしながら日々を過ごしていた。友達はいるが、特別に誰かと深く関わることはなく、学校と家を行き来するだけの平凡な毎日。そんな佑奈に、同じクラスの大波多佳子が積極的に距離を縮めてくる。  佳子は華やかで、成績も良く、家は裕福。けれど両親は海外赴任中で、一人暮らしをしている。人懐っこい笑顔の裏で、彼女が抱えているのは、誰にも言えない「寂しさ」だった。  「ねぇ、明日から私の部屋で勉強しない?」  放課後、二人は図書室ではなく、佳子の部屋で過ごすようになる。最初は勉強のためだったはずが、いつの間にか、それはただ一緒にいる時間になり、互いにとってかけがえのないものになっていく。  ――けれど、佑奈は思う。 「私なんかが、佳子ちゃんの隣にいていいの?」  特別になりたい。でも、特別になるのが怖い。  放課後、少しずつ距離を縮める二人の、静かであたたかな日々の物語。 4/6以降、8/31の完結まで毎週日曜日更新です。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

月弥総合病院

御月様(旧名 僕君☽☽‪︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

処理中です...