おっさん転生、相棒はもふもふ白熊。100均キャンプでスローライフはじめました。

はぶさん

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第五十三話『初めてのチーズ作りと、錬金術の釜』

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俺は、搾りたてのヤギのミルクが入った桶を前に、少し芝居がかった口調で宣言した。
「さて、カルボナーナーラへの最後の関門。この鉄鍋を『錬金術の釜』に変えて、『チーズ作り』を始めましょう」
「液体を…固体の保存食に変えるのか?それはもはや、錬金術の領域だぞ…」
リディアは、その神秘的な作業に興味津々だ。

俺は、鉄の大鍋でミルクを温めながら、リディアにチーズ作りの基本を解説する。
「チーズ作りは、何よりも温度管理が命です」
ポンッ!
【創造力:95/150 → 90/150】
俺は100均の『料理用温度計』を召喚。プロのように、ミルクの温度を正確に40℃に保つ。
「本来なら『レンネット』という酵素が必要ですが、ありません。ですが、大丈夫」
俺は、以前作った『果実酢』を取り出し、「酢の『酸』の力で、ミルクをおぼろ豆腐のように固めることができるんです」と説明した。

ミルクが固まり、白い『凝乳(カード)』と、黄色く透き通った『乳清(ホエイ)』に分かれたら、次の工程だ。
俺はスキルで『だしこし袋』を召喚。カードを袋に移し、ホエイを濾し取っていく。
「リディアさん、ここをお願いします。パンの時と同じです!殺意を込めずに、愛情を込めて!チーズは敵じゃありません!」
「むっ…!任せろ!」
俺のコミカルな指示に、リディアは真剣な顔で応え、怪力で、しかし優しく、カードから水分を絞っていく。

濾したホエイを器に注ぎ、俺はリディアたちに差し出した。
「どうぞ。栄養満点の飲み物ですよ」
初めて飲む、ほんのり甘く爽やかな味に、二人は驚いている。
「美味しいでしょう?このホエイは、このまま飲んでも最高ですし、パン生地に水の代わりに混ぜ込むと、驚くほど風味豊かで、しっとりしたパンが焼けるんですよ」
食材の全てを活かしきる。それが俺の流儀だ。

次に、カードを固めるための「チーズの型」として、『ステンレス製のセルクル型』を召喚。
カードを型に詰め、木の板と石で重しをする、即席の『チーズプレス機』で、さらに水分を抜いていく。

数時間後。そこには、まだ柔らかい、真っ白なフレッシュチーズの塊があった。
俺はその一部を切り分け、岩塩とハーブを軽く振って、リディアたちに振る舞う。
「これが…ちーず…? 私の知っている、石のように硬い保存食とは全く違う…!」
リディアが衝撃を受けている。それもそのはずだ。舌の上でほろりと崩れる、繊細な食感。噛みしめると、驚くほどクリーミーで、新鮮なミルクの甘みが口いっぱいに広がる…!

そして、本命である残りのチーズの塊に、俺は丁寧に岩塩をすり込んだ。
「ここからが、本当の戦いです。毎日様子を見て、カビないように表面を拭いたり…。美味しいチーズ作りは、子育てみたいなものなんですよ」
俺は、その小さな塊を気化熱式冷蔵庫の中にそっとしまいながら、呟いた。
「ここから数週間、じっくりと『熟成』させます。そうすることで、旨味が凝縮され、『チーズの王様』に育っていくんです」

冷蔵庫の中には、静かに熟成の時を待つ、未来のチーズの王様。
リディアはその光景を眺め、「この小さな塊が…やがて、あの『かるぼなーら』になるのか…」と、未来の最高の味を想像して、ゴクリと喉を鳴らすのだった。
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