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第四話:ぶっさんの買い出しと物々交換 (2/3)
しおりを挟む「よし、それじゃあ早速出発と行こうか!」
俺がそう言うと、グリフォンは黙って俺の前にその巨大な体を屈めた。その背中に乗れ、ということらしい。
「お、悪いな。それじゃあ、お言葉に甘えて……っと」
俺がグリフォンの背中にまたがり、プルンも俺の肩にぽよんと乗る。コッコ君は翼を広げ、準備万端だ。
《旦那、しっかり掴まってろよ!》
《行くぞ!》
グリフォンが力強く地面を蹴ると、俺たちの体はふわりと宙に浮いた。ぐんぐんと高度が上がり、あっという間に店が小さくなっていく。
「うおぉぉ……! こりゃすげえや!」
眼下に広がる雄大な森の景色に、俺は思わず感嘆の声を上げた。風が心地よく頬を撫でる。これはもはや、ただの買い出しではない。最高の遊覧飛行だ。
まず向かったのは、南向きの斜面。ジャムにぴったりの、甘酸っぱい山の実がなっている場所だ。
《旦那、あそこだ! あそこが一番、実が赤くて美味そうだぞ、コッコ!》
先導していたコッコ君が、旋回しながら教えてくれる。さすが鳥の目、最高の偵察役だ。
グリフォンが緩やかに斜面に着陸すると、そこにはコッコ君の言う通り、ルビーのように輝く山の実がたわわに実っていた。
「おお、こりゃすごい! 今年は豊作だな!」
俺たちは持参したカゴに、一つ一つ丁寧に実を摘んでいく。プルンも体を器用に伸ばして、高いところにある実を取ってくれる。みんなで和気あいあいと作業するのは、一人でやるのとは比べ物にならないくらい楽しかった。
カゴが山の実でいっぱいになると、俺たちは次の目的地へと向かった。岩塩が採れるという、切り立った崖だ。
グリフォンが崖の中腹にある、わずかな足場に降り立つ。目的の岩塩は、その岩壁に空いた、人が一人ようやく入れるかどうかという狭い裂け目の奥にあるらしい。
「さて、どうしたもんか……」
俺が腕を組んで唸っていると、肩の上でプルンが「ぼよん!」と跳ねた。
《旦那さん! 僕に任せて!》
そう言うと、プルンは俺の肩から飛び降り、その液体状の体で、いとも簡単に岩の裂け目の中へと「するり」と入っていった。
《うーん、しょっぱい……あったよ、旦那さん! キラキラした石がいっぱいだ!》
プルンの心の声が、裂け目の奥から聞こえてくる。
そして、次の瞬間。
**「ごろり」**
裂け目の入り口から、赤ん坊の頭ほどの大きさの、淡いピンク色に輝く綺麗な岩塩の塊が、ゆっくりと押し出されてきた。
《どうかな、旦那さん! これで足りる?》
「おお! 十分すぎるくらいだ! プルン、すごいぞ!」
俺が歓声を上げると、プルンは得意げに裂け目から出てきて、元のぷるぷるの体に戻った。
こうして、俺たちは二つの目的の素材を、いとも簡単に手に入れることができた。仲間たちの協力があれば、どんな買い出しも最高のピクニックになる。
俺は手に入れた岩塩と山の実を抱え、仲間たちの頼もしさに、心からの感謝を感じていた。
***
**【アルファポリス読者の皆様へ】**
いつも温かい応援、本当にありがとうございます!皆様の応援が、ぶっさんの次なる一皿、そして物語を生み出す何よりの力となっております。
物語を気に入っていただけましたら、ぜひ**【お気に入り登録】**や**【いいね(ハート)】**で応援していただけると、作者が厨房で小躍りして喜びます! これからも「気まぐれ食堂ねこまんま」を、どうぞよろしくお願いいたします!
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