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第49話 ゴブリンの里への道と、温もりのすいとん (49-1)
しおりを挟むゴブリンの少女ニビが俺たちの宿屋に駆け込んできた、翌朝。俺とレオ、そして「ニビちゃんの力になりたい」と強く志願したリリィア、最高の相棒モグモグの一行は、西の山脈に向けて旅立った。
「…死ぬんじゃないよ」
見送りに来たベアトリスが、ぶっきらぼうに、しかし、その瞳には隠しきれない心配の色を浮かべて、俺たちに最高の保存食と温かい毛布が詰まった袋を手渡してくれた。
旅は、想像以上に過酷だった。
活気ある港町から離れ、一行はゴツゴツとした岩肌が続く山岳地帯へと入っていく。そこは、人間がほとんど足を踏み入れない、未知の領域。吹き付ける風は刃物のように冷たく、足場は不安定で、一歩一歩が体力を容赦なく削っていく。
案内役のニビは、そんな厳しい環境で生まれ育っただけあって、岩から岩へと身軽に飛び移りながら、俺たちを導いてくれた。「あの尖った岩は、『竜の牙』。昔、竜が神様と戦って、牙が一本だけ折れて刺さったって、長老様が…」と、彼女が語る故郷の物語だけが、この殺風景な旅路の唯一の彩りだった。
だが、旅に出て二日目の夕暮れ。ついに、俺たちの足は止まった。
「はぁ…っ、はぁ……。ご、ごめんなさい…わたしの、せいで…」
リリィアが、真っ青な顔で、その場に座り込んでしまったのだ。港町の穏やかな気候で育った彼女にとって、この薄い空気と厳しい寒さは、あまりにも過酷だった。自分を責める彼女の瞳から、ぽろぽろと涙がこぼれ落ちる。
レオが慌てて駆け寄り、自分の水筒を差し出すが、リリィアは首を横に振るだけ。仲間たちの間に、焦りと、どうしようもない無力感、そして、旅の厳しさが突きつける疲労の空気が、重く、重く、漂い始めていた。
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