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5章
5-2
しおりを挟む「さて、情報を整理しましょうか」
新年会から数日後。
今日はサウス公爵家の晩餐会。
と言ってもごく身内だけで集まる気楽な会だ。
参加メンバーは五人。
主催はサウス公爵家当主、ロード・サウス公爵。
帝国軍のトップに君臨していて、隆々とした身体つきは衰えることを知らない。小さい頃はよくよじ登って遊んでいたわ。
言わずもがな、私の実の父親。
身体はでかいし顔は怖いから怯えられることも多いけれども、女子供には優しい。やんちゃなガキんちょ達にも人気があったりする。怒るとめちゃくちゃ怖いんだけどね。
その妻、セレスト・サウス公爵夫人。
現皇帝の同母妹であり、産まれたときからこの国の女性のトップとして微笑み続けている。
後継ぎ娘の私が仕事や勉強に追われているため、未だ社交界の第一線を走り続けてくれている。
最近は嫁であるマリーお姉様や私の妻候補ララ、四歳になった孫の指導も行っていて、一生かかっても越えられる気がしない偉大な存在。前世の感覚で言うと、「母親」っていうより「師匠」っていう感じが強いかも。
私の兄、トーノス・サウス侯爵。
私のおかげで離婚危機を乗り越えたということには未だに気づいていない、ちょっと鈍い新興侯爵。もっと感謝してほしい。
皇太子殿下の友人でもあり、近衛に属しており、見目もよく、頭も悪くなく、何人でも妻を持てる当主であるため、非常にモテる。
第一妃であるマリーお姉様がキツい性格の公爵令嬢じゃなかったら今頃六人くらい妻がいたんじゃないかな? って思う。夫人「候補」はたくさんいるみたいだけど。
そして私、ロゼア・サウス次期公爵。
今日は新年会で着られなかった深い青と爽やかな水色、二色遣いのフル・ドレスを着てみた。
夏になると暑くて着られなくなるから、季節が変わらないうちに袖を通しておくことにしたのよね。流行に合わせて仕立てているから来年には着られない。勿体ない。
今度ララとの練習っていう言い訳でまた着ようかしら。
最後は私の夫、シャイア・サウス次期公爵夫君。
輝く金髪にアメシストの瞳。相変わらずキラキラしている。身内しかいないんだからそのキラキラ引っ込めてくれないかな。眩しい。
「シャイア、ご令嬢たちから聞いたお話はいかがです?」
シャイアの眩しさなどに微塵もたじろがず、お母様が問いかける。
「第四皇子殿下、第五皇子殿下、第一皇子殿下、それぞれに魅力があるというお話でした。既に決意を固めている家もありましたが大半は様子見、主にライト家の意思表示待ちかと」
「うちの意向は問われていそう?」
「セレスト様に続いて私が婿入りしているため、中立の立ち位置ではないかと予想されています」
満足そうに頷くお母様。実は今この国は、水面下で争いの真っ最中なのだ。
おそらくどの国にもあるであろう「お世継ぎ問題」。
現在、我が国の皇帝陛下は48歳。そろそろ皇太子殿下に後を任せたいとのお考え。
次期皇帝には、皇太子殿下であるスザークス様が就任される。
それは間違いない。
では、その次は?
というのがこの国のお世継ぎ問題なのです。
皇太子スザークス様は現在25歳。
スザークス様の他に皇位継承権上位にいるのは、三人。
スザークス皇太子殿下の同母弟、第一妃殿下腹のハチルズ第四皇子17歳。
皇后陛下腹のレイジェーン第五皇子殿下3歳。
そしてスザークス皇太子殿下の第一皇子クロノライナス殿下1歳。
この三人のうち、誰が次の皇太子となるのか。水面下での探り合いが行われている。決定権を持つのは皇帝だけど、世論も無視できないからね。
正直、3歳とか1歳に皇太子が務まるのか? という気持ちはある。
皇帝に何かあれば即位しなければならない立場が皇太子。赤ちゃんにできるの? と思わなくもない。
ただ、数世代前に4歳で立太子した事例があるので、問題はないみたい。
とは言え、それは他に皇位継承者がいなかったという事でもあって。
年齢と家柄を考えると17歳で第一妃殿下を母に持つハチルズ第四皇子殿下一択では?
と思わなくはないんだけれど……。
「トーノス、皇太子殿下のお考えは?」
「レイジェーン第五皇子殿下に継いでいただきたいとお考えです」
「妃殿下方も?」
「皇太子殿下の判断に沿う、と」
「そうですか。あなた、皇帝陛下と宰相閣下のご意思は?」
「皇帝陛下はレイジェーン第五皇子殿下に、宰相殿はクロノライナス第一皇子殿下に、と期待されているようだ」
そう。
3歳の弟や1歳の甥を対抗馬にされちゃうくらい、なんというか「見込みがない」人なのよね、ハチルズ第四皇子殿下。
「あの方が即位するなら、まだ3歳児の方がいいのでは?」と言われてしまうような残念さ。なんだかネット小説で「ざまあ」されそうなタイプなのよねえ。って、序盤で呪い殺されるヒロインその一に言われたくはないか。
「ロゼア、あなたの見立ては?」
「シャイアやお兄様と同じです。宰相含むライト家がハチルズ第四皇子を推すのか、クロノライナス第一
皇子殿下を推すのか、測りかねているというところでしょうか。最も、今学園に通う世代がいる家はクロノライナス第一皇子殿下に傾いているように見受けました」
ハチルズ第四皇子殿下、学園でなんかやらかしてんだろうなってくらい人望がなかった。
スザークス皇太子殿下も、元第二皇子シャイアも元第三皇子ファイラ様も威張ったところがないしそれぞれに人望があるのに。何でかなあ。
「皇帝陛下と皇太子殿下、それに皇太子妃殿下が望むのであれば、レイジェーン第五皇子殿下が優勢でしょうか」
お兄様の言葉にお父様がうなる。
「宰相殿が手を引けばそうなるな。ただ気になるのは、宰相殿の末の妹だ。今学園に通っているだろう。あの娘を皇太子殿下に輿入れさせる意向を聞いている」
「となると、今後、よりライトの血が濃い皇子が生まれる可能性もありますね。その子に皇位をと考えるのであれば、今はレイジェーン第五皇子に譲るかあるいは」
「傀儡に皇太子の地位を与え、適当な理由で始末するか」
なんとも物騒な話になってきた。
皇帝の右腕として、建国当初から国を支え続けてきたライト公爵家。
現在その血が濃いのは、ハチルズ第四皇子殿下か、クロノライナス第一皇子殿下になる。
順当にいけばハチルズ第四皇子殿下だが人間性に問題がある。
ならばクロノライナス第一皇子を推すか、と思いきやこれから生まれる子供に期待している……?
もう訳が分からない。
誰か未来見せてください。
もしくは誰か権力持った人がスパッと決めてくれ。
とまで考えてふと思い出した。あれ、権力者と言えば。
「お母様。第一妃殿下や皇后陛下はどのようにお考えなのですか?」
後書き
ちょっと中途半端なところで切ってしまいました。あんまり長いのも読むの大変かなと…。
現時点では「次期皇太子を巡って三人が争っている」「ポンコツ17歳と、賢い3歳と、産まれたての赤子が候補に挙がっている」とだけ理解していただければ大丈夫です!!
登場人物多くて誠に申し訳ない…削ったんです!!これでも!!
しかも全員親戚だから家系図大変なことになってます!貴族あるある!なのかな!?
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