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ヤンデレルートへの突入
しおりを挟む私が言い終えると、彼はうれしさを隠せないようだった。
その顔を見ると、どうやら私は本気で選択を間違えてしまった気がする。
最後まで違うと言い続け、罪を認めなかった方が良かったのではないかという不安が急に胸を締め付ける。
「ル……ド…………様?」
あまりの不安から、私は声を絞り出した。
「くっくっくっくっく」
するとルドは下を向き、空いた片方の手で口元を押さえながら盛大に笑い出した。
そして私の首にかけたままだった手を、そのまま私の頬に添える。
「アーシェ、君の泣き顔は最高だね。しかも、嫉妬に狂うほど僕を愛してくれていたんだね」
ん? なぜだろう。
バットエンド回避に走っていたはずなのに何かがおかしい。
明らかな、断罪シーンとしての違和感。
もしかしてこのシュチュエーションを断罪だと思い込んだところから、まず間違っていたのではないだろうか。
「牢屋はダメだね。他の者の瞳に君が映ると思うと、気になって仕事も手に付かないよ。君にはもっといい籠を用意してあげよう」
ルドは手を一度引き抜くと、手に持っていた鍵で牢屋を開けて、拘束されていた腕の鎖も外す。
私は恐る恐る彼を見上げると、その瞳にはほの暗い光を称えていた。
「ルド様、私……」
「いいんだよ、アーシェ。やっと僕を愛していると認めてくれたんだから。目一杯可愛がってあげるよ」
「あの、それは……」
「ん? なんだい?」
その言葉と瞳には、有無を言わせない圧力があった。
最初に、彼を見た目で判断した私がダメだったんだ。今ならそれがはっきりと分かる。
これは……メインルートというか、もしかしてヤンデレのルートではないの?
ある意味、断罪ルートと同じくらいに質の悪いルートに入ってしまった
その上、愛してると言わせるためにわざと追い込んで私が彼と同じ台詞を言った時点で、目標を達成してしまったパターンだ。
断罪を免れれば、ハッピーエンドだと思ったのに。
どうやら全てが全くの逆だったようだ。
この手のゲームをやり込んでいるわけではないが、もしこれがエロゲ―だったら……。
背筋に冷たいものが、走る。
この先の物語など、想像もしたくなかった。
「ルド様」
「怯えなくていいんだよ、アーシェ。誰も邪魔されないところに入れてあげよう。君の気が二度と他に向かないように。僕も愛しているよ、アーシェ」
ルドが私の体を抱き上げた。
冷えきった体はいうことを聞かず、身動き一つすることは出来ない。
ランプの明かりはゆらゆらと揺れ、心もとなく足元を照らすだけだった。
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