【R18】悪役令嬢の鳥籠~勘違い断罪からのヤンデレルートは、溺愛ルートへ移行しました~

あやめ。

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そして鳥籠の中へ

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 ルドに抱きかかえられたまま、王宮内を進んでいく。

 恥ずかしさのあまりルドの胸に顔を埋める。

 ただ廊下で何人かの人とすれ違ったが、誰も声をかけてはこない。

 そのように言いつかっているのか、身分的にも声をかけることができないのか。

 どちらにしても、異様な光景であることだけは間違いないだろう。


「ルド様、どうか……どうか、お放し下さい」

「ダメだよ? こんな人のいるところで声を出したら。その口を塞ぐか、聞いた者たちの耳を削ぎ落さなくてはいけなくなってしまうよ」

「ひっ」


 口調は柔らかくとも、言っている内容は常軌を逸している。

 さすがヤンデレルートなどと、プレイヤーだった頃なら、ただ『すごーい』と感心していたところだろう。

 しかし今、ここで実際に自分の身に起こるとなると話はまったく別だ。

 私は必死に、ヤンデレルートにはなにがあるか思い出すことにした。

 結ばれなかったヤンデレルートは悲惨だ。

 確実に、死者が出るようになっている。

 その点、これは辛うじて結ばれたと言えるだろう。

 しかし、本人が言ったように監禁とりかごから出ることは叶わないだろう。

 そして一番、今私が恐れているのはこれがエロゲだった場合だ。

 監禁の上に、一生そこで快楽を注がれ続ける。

 そんなこと、耐えられるのだろうか。

 むしろその結末が分かっていて、アーシエは……?


「少し寒いが、大丈夫かい、アーシエ?」

「え、あ、はい」


 ルドの言葉で顔を動かすと、風が顔をかすめていく。

 どうやら王宮内から外へ移動していたようだ。

 鳥籠というくらいなのだから、定番からいけば離宮か塔といったところだろう。

 ルドの足取りは軽やかで、初めから決まっていたかのようにどこかへと進んでいく。


「ここが、これからの君の僕の暮らす家になるんだよ。本当は王宮の部屋をと言われたんだけど、あそこだと他の者の目に付くからね。ここなら王宮からも離れているし、どんなに声を出しても大丈夫だからね」

「どんなに、声……を?」


 その言葉に背筋が凍る。

 ルドの脇から背後を覗き見ると、確かに王宮からはかなり離れていて、大声を出したとことで誰も助けになど来てはくれないだろう。

 そして目の前には、かなり立派な離宮が見えてくる。 

 しかし、そういう意味の声というわけではない気がするのが問題なのだ。


「今日のために、中はすべて君の好きな色やモノで揃えておたし」


 器用に私を抱えたまま、ルドは離宮へのドアを足で開けた。

 そしてそのまま二階の一番奥の部屋へ。


「さぁ、着いたよ」


 言うなり、ルドは私の体をベッドへと降ろした。

 周りを見渡せば、どこかで見たことがあるような既視感に襲われる。

 薄いピンクで統一された室内。

 カーテンやシーツには細やかな金の刺繍。

 そして女の子が好きそうなふわふわしたクッションや人形たち。

 どこかで。

 でも、前世でというわけではない。

 私が住んでいたのは、ただの六畳のワンルームだったから。


「これは……」

「気に入ってくれたかな? 君の部屋と全く同じものを用意したんだよ? 少しでも君の心が落ち着くようにと」


 ルドを見上げて、彼の言葉の意味を考えた。

 同じモノを用意した。

 それはつまり、アーシエが住んでいた部屋を再現しているということだろう。

 随分な念の入れようというか、ここまで来ると本当に恐怖でしかない。


「嬉しくて、声も出ないんだね」


 違うと否定したくても、声にならない。

 しかい否定すれば、もっとひどい結末が待っているのを私は知っていた。

 ゆっくりと、ルドが近づいてくる。

 ベッドが軋む音は、これから始まることを伝えているように思えた。
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