【R18】悪役令嬢の鳥籠~勘違い断罪からのヤンデレルートは、溺愛ルートへ移行しました~

あやめ。

文字の大きさ
35 / 41

暴挙と涙

しおりを挟む
「こんな馬鹿げたことをして、本当に足が付かないとでも思っているんですの?」

「その点は問題ないさ。なにせ、公爵家全体で隠ぺいを行っているのだから。まさか疑いだけで、殿下も公爵家を敵に回すことなんて出来ないだろう?」


 やはり、公爵様も黒幕の一人だったんだ。

 そして殿下がうかつなことでは公爵家を敵に回すことはないと分かった上で、こんな大胆な作戦に打って出た。

 ある意味、正解と言えば正解だ。

 確固たる証拠がなければいくらルドとはいえ、彼らに手出しできない。

 もししてしまえば、自分の立場すら危うくなってしまうから。


「だから言っただろう? 帰ってこなくていいと。先にこちらからの忠告を無視したんだ」

「あまりにも言い回しが稚拙でしたので、ルド様を取られたくないためのわがままかと思ってしまいましたわ」

「貴様……。だいたい殿下があの後すぐに、おまえを抱えて牢屋になど放り込まなければ、やりようがあったものを」

「ルド様が私を牢屋に?」

「ああそうだ。計画では、どこかの部屋に隔離されたおまえを連れ出してそこで他の男をあてがう予定だったというのに」


 そうなんだ……。

 ルドの行動はずっと、一貫していた。

 牢屋に入れたのも、すべては私に誰も近づけずに私を守るため。

 牢屋からあの鳥籠の離宮に移したのも、そう。

 ヤンデレなんかではなく、ルドにとっては今までの行動は全て溺愛だったのかもしれない。

 それなのに私は……。

 カツンとなにかが当たり、思わずよろけた。

 倒れるかと思った瞬間、私は自分が座り込んだのがベッドの縁だということに気づく。

 まずい。

 考えながら逃げていたせいで、よりによってベッドに座り込むだなんて。


「なんだ。案外聞きわけがいいじゃないか」

「ふざけないで」


 ベッドにそのまま押し倒そうとするユリティスに対し、蹴り飛ばす勢いで抵抗をする。


「大人しくしろ」

「いや、離してー」


 ただ対格差があるため、あっという間に抑え込まれてしまう。


「どれだけ抵抗しても無駄だ。今後口答えなど出来ないように、しっかりと躾けてやるよ」

「私はルド様のモノなのです。その汚い手を離しなさい」


 ユリティスの右手が私の両手を頭の上でまとめ上げられた。

 そして左手がドレスをたくし上げ、太ももを撫でる。

 快楽とは真逆のゾクゾクとした恐怖が駆け上がった。

 ルドの時とは全く違う。

 そうそこにあるのは、ただの嫌悪感と恐怖だけ。

 触らないで。

 嫌だ。

 唇を噛みしめ、泣き出しそうになるのを堪える。

 嫌だ。

 ルド以外の人に触られるのが、こんなにも嫌なモノだとは思わなかった。

 助けて……。

 お願い……。

 足をバタつかせどれだけ抵抗をしても、ユリティスの手は奥へと進んでいく。


「ルド様、助けてーーー」


 届かないと分かっていても、私は助けを求めていた。

 自分でもびっくりするような大きな声。

 ああ、こんなに大きな声、出せるんだ。

 ふと冷静になった瞬間、涙が溢れてきた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢の末路

ラプラス
恋愛
政略結婚ではあったけれど、夫を愛していたのは本当。でも、もう疲れてしまった。 だから…いいわよね、あなた?

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました

kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」 王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。

魔性の大公の甘く淫らな執愛の檻に囚われて

アマイ
恋愛
優れた癒しの力を持つ家系に生まれながら、伯爵家当主であるクロエにはその力が発現しなかった。しかし血筋を絶やしたくない皇帝の意向により、クロエは早急に後継を作らねばならなくなった。相手を求め渋々参加した夜会で、クロエは謎めいた美貌の男・ルアと出会う。 二人は契約を交わし、割り切った体の関係を結ぶのだが――

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

結婚式に結婚相手の不貞が発覚した花嫁は、義父になるはずだった公爵当主と結ばれる

狭山雪菜
恋愛
アリス・マーフィーは、社交界デビューの時にベネット公爵家から結婚の打診を受けた。 しかし、結婚相手は女にだらしないと有名な次期当主で……… こちらの作品は、「小説家になろう」にも掲載してます。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話

よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。 「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

処理中です...