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暴挙と涙
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「こんな馬鹿げたことをして、本当に足が付かないとでも思っているんですの?」
「その点は問題ないさ。なにせ、公爵家全体で隠ぺいを行っているのだから。まさか疑いだけで、殿下も公爵家を敵に回すことなんて出来ないだろう?」
やはり、公爵様も黒幕の一人だったんだ。
そして殿下がうかつなことでは公爵家を敵に回すことはないと分かった上で、こんな大胆な作戦に打って出た。
ある意味、正解と言えば正解だ。
確固たる証拠がなければいくらルドとはいえ、彼らに手出しできない。
もししてしまえば、自分の立場すら危うくなってしまうから。
「だから言っただろう? 帰ってこなくていいと。先にこちらからの忠告を無視したんだ」
「あまりにも言い回しが稚拙でしたので、ルド様を取られたくないためのわがままかと思ってしまいましたわ」
「貴様……。だいたい殿下があの後すぐに、おまえを抱えて牢屋になど放り込まなければ、やりようがあったものを」
「ルド様が私を牢屋に?」
「ああそうだ。計画では、どこかの部屋に隔離されたおまえを連れ出してそこで他の男をあてがう予定だったというのに」
そうなんだ……。
ルドの行動はずっと、一貫していた。
牢屋に入れたのも、すべては私に誰も近づけずに私を守るため。
牢屋からあの鳥籠の離宮に移したのも、そう。
ヤンデレなんかではなく、ルドにとっては今までの行動は全て溺愛だったのかもしれない。
それなのに私は……。
カツンとなにかが当たり、思わずよろけた。
倒れるかと思った瞬間、私は自分が座り込んだのがベッドの縁だということに気づく。
まずい。
考えながら逃げていたせいで、よりによってベッドに座り込むだなんて。
「なんだ。案外聞きわけがいいじゃないか」
「ふざけないで」
ベッドにそのまま押し倒そうとするユリティスに対し、蹴り飛ばす勢いで抵抗をする。
「大人しくしろ」
「いや、離してー」
ただ対格差があるため、あっという間に抑え込まれてしまう。
「どれだけ抵抗しても無駄だ。今後口答えなど出来ないように、しっかりと躾けてやるよ」
「私はルド様のモノなのです。その汚い手を離しなさい」
ユリティスの右手が私の両手を頭の上でまとめ上げられた。
そして左手がドレスをたくし上げ、太ももを撫でる。
快楽とは真逆のゾクゾクとした恐怖が駆け上がった。
ルドの時とは全く違う。
そうそこにあるのは、ただの嫌悪感と恐怖だけ。
触らないで。
嫌だ。
唇を噛みしめ、泣き出しそうになるのを堪える。
嫌だ。
ルド以外の人に触られるのが、こんなにも嫌なモノだとは思わなかった。
助けて……。
お願い……。
足をバタつかせどれだけ抵抗をしても、ユリティスの手は奥へと進んでいく。
「ルド様、助けてーーー」
届かないと分かっていても、私は助けを求めていた。
自分でもびっくりするような大きな声。
ああ、こんなに大きな声、出せるんだ。
ふと冷静になった瞬間、涙が溢れてきた。
「その点は問題ないさ。なにせ、公爵家全体で隠ぺいを行っているのだから。まさか疑いだけで、殿下も公爵家を敵に回すことなんて出来ないだろう?」
やはり、公爵様も黒幕の一人だったんだ。
そして殿下がうかつなことでは公爵家を敵に回すことはないと分かった上で、こんな大胆な作戦に打って出た。
ある意味、正解と言えば正解だ。
確固たる証拠がなければいくらルドとはいえ、彼らに手出しできない。
もししてしまえば、自分の立場すら危うくなってしまうから。
「だから言っただろう? 帰ってこなくていいと。先にこちらからの忠告を無視したんだ」
「あまりにも言い回しが稚拙でしたので、ルド様を取られたくないためのわがままかと思ってしまいましたわ」
「貴様……。だいたい殿下があの後すぐに、おまえを抱えて牢屋になど放り込まなければ、やりようがあったものを」
「ルド様が私を牢屋に?」
「ああそうだ。計画では、どこかの部屋に隔離されたおまえを連れ出してそこで他の男をあてがう予定だったというのに」
そうなんだ……。
ルドの行動はずっと、一貫していた。
牢屋に入れたのも、すべては私に誰も近づけずに私を守るため。
牢屋からあの鳥籠の離宮に移したのも、そう。
ヤンデレなんかではなく、ルドにとっては今までの行動は全て溺愛だったのかもしれない。
それなのに私は……。
カツンとなにかが当たり、思わずよろけた。
倒れるかと思った瞬間、私は自分が座り込んだのがベッドの縁だということに気づく。
まずい。
考えながら逃げていたせいで、よりによってベッドに座り込むだなんて。
「なんだ。案外聞きわけがいいじゃないか」
「ふざけないで」
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「大人しくしろ」
「いや、離してー」
ただ対格差があるため、あっという間に抑え込まれてしまう。
「どれだけ抵抗しても無駄だ。今後口答えなど出来ないように、しっかりと躾けてやるよ」
「私はルド様のモノなのです。その汚い手を離しなさい」
ユリティスの右手が私の両手を頭の上でまとめ上げられた。
そして左手がドレスをたくし上げ、太ももを撫でる。
快楽とは真逆のゾクゾクとした恐怖が駆け上がった。
ルドの時とは全く違う。
そうそこにあるのは、ただの嫌悪感と恐怖だけ。
触らないで。
嫌だ。
唇を噛みしめ、泣き出しそうになるのを堪える。
嫌だ。
ルド以外の人に触られるのが、こんなにも嫌なモノだとは思わなかった。
助けて……。
お願い……。
足をバタつかせどれだけ抵抗をしても、ユリティスの手は奥へと進んでいく。
「ルド様、助けてーーー」
届かないと分かっていても、私は助けを求めていた。
自分でもびっくりするような大きな声。
ああ、こんなに大きな声、出せるんだ。
ふと冷静になった瞬間、涙が溢れてきた。
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