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コウは体を固くして、アキ王子のされるがままになった。

しかしアキ王子は、だんだん焦れてきた。

コウの手を取り、そのコウの手の平にアキ王子の美しい項を何度も何度も撫でさせている動きが早くなる。

アキ王子の肌も、汗にかなりしめりしっとりとしている。

コウの心臓がドクドクドクドクと、異様な速さで音を立てる。

そして、コウの下半身も兆し始めていた。

このままだと、アルファとオメガのフェロモンに支配された激しいセックスはできなくとも…

コウとアキ王子は、普通に体を交える事は出来る。

しかしそれで、オメガとして正常なアキ王子が満足するのかは分らない。

それにこれが、コウのアキ王子へのどんな感情でそうなっているのか?…

それがコウ自身でも分らない。

ただ単に、男のさがでそうなってるだけなのかも知れないし。

そしてコウは、他人の肌がこんなに熱いと初めて知った。

コウが触れるアキ王子のうなじから、コウにその熱がジワジワと移っていくような感覚もする。

それが不思議で…

コウは思わず、アキ王子に手の甲を握られなからも、自分でも無意識に、自分からアキ王子のうなじの肌を上下に優しく撫でてしまった。

「んっ…あぁぁぁ…」

途端にアキ王子から、艶めかしい
、まるであたかも性交中のような
声が出た。

コウの方は、無意識に動いた自分の手に、自分自身が驚く。

そして…

「コっ…コウ…コウ…早く…早く…して……早くぅ…ここに、ここに欲しい…」

アキ王子がまだコウの手を掴んだまま、アキ王子のうなじに触れさせながら、息も絶え絶えコウを振り返り懇願した。

美しい額からも汗を滴らせ、潤んだ瞳、上気した頬の絶世の美貌のオメガに、コウの下半身は一気に勃ち上がってしまった。

しかし…体とはウラハラに…

コウの心の片隅には、どんな状況でも壊してはならない領域があった。

今から数年前…

コウの母の死の間際。

コウの母はもう意識が無いのに、ベッドの上で最後の最後まで、瞼を再び上げる事無く、コウと、ギルと呼ぶコウの知らない男に謝罪していた。

「ごめん…コウ…ごめん…ギル…許してくれ…許してくれ…」





















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