6 / 10
6
しおりを挟む空也とコートのイケメンを乗せたタクシーは、恵比寿のとある高層ビルの前で停まり、二人は降りた。
そして、イケメンは、空也をビルの18階にある洋食店に連れて来た。
落ち着いた照明の明るさと、白とブラウンを基調としたインテリアで、大人の雰囲気の店内。
空也とイケメンが通された席は窓側で、年末のきらびやかに輝く東京の夜景がよく見えた。
時間も遅かった事もあり客はまばらで、
店内は静か過ぎる程だった。
小さな頃から、身の安全の為に休日すらあまり外出を許されなかった空也は、周りをキョロキョロ見回し過ぎて、イケメンが真顔で不思議そうに空也を見詰めた。
「すいません……あんまり、普段外出出来ないんでつい珍しくて……それに、東京の夜景って、動画とかじゃ無く実物の方がやっぱりキレイだから」
空也がそう言うと、イケメンは、やはりしばらく空也をじっと見詰めてボソっと尋ねてきた。
「自分の意思も聞かれない。外出も出来ないって……お前、誰かに監禁でもされてたのか?」
「監……禁……?」
空也は、思わず目を見開いてしまった。
それは、小さな頃から自由の無い空也自身が、自分はずっとそれに近い事を天空神からされてるのではないかと感じ続けていた疑問だったから。
しかし、空也は、この場の空気を変えるように微笑んで誤魔化した。
「そんな事は無いです。それは、考え過ぎです」
そして、空也は、手元にあるメニューを見た。
タンシチューやステーキやハンバーグ、
カツサンド、色々あるが、単品価格帯は5000円から10000円位だった。
空也の家庭からしたら決して高くない価格だが、でもこれが一般的に安い価格で無い事位は空也も認知している。
「別に、オムライスじゃ無くてもいい。好きなもん食え。自分の思うようにしたらいい」
イケメンは、柔らかい革の椅子に足を組んでどっしり座り、空也を見詰めて言った。
イケメンは、態度もデカいし口調も愛想が無い。
しかし、空也がイケメンに視線をやると、イケメンのその瞳は静かに、だが、とても真剣に空也を見詰めていた。
思わず、空也の胸がドキっとした。
(この人、なんで僕をそんな目で見るんだろう?)
空也は、そう思うとその瞳を見ていられなくて、再びメニューを見ると、わざと明るく笑って尋ねた。
「でも……どうしてですか?どうして、僕と、食事するんですか?」
テーブルに片肘を付いていたイケメンは、しばらく無言でじっと空也を見た。
それから、ボソっと呟いた。
「なんだか、お前が……帰りたくなさそうだったからか……」
そのズバリと言われた言葉に空也は一瞬ショックを受けたが、その後少し笑った。
自分では我慢してたつもりなのに、バレバレだったのだと。
そして、あり得ないと思うが、このイケメンが、空也の事や空也の事情を知ってるんではないかとすら思った。
「ありがとうございます。でも、もう大丈夫です。食べたら、家に帰ります」
空也は冷静にそう返したが、内心焦ってもいた。
一刻も早く家に帰らないとと。
しかし、同時に、初めて自由のようなもの、初めて開放感のようなものも感じていて、もしかしたら、こんな開放的な自由な時間は、二度と空也には訪れないかもと思った。
4
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる