インフィニット ウィンター  

みゃー

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 空也とコートのイケメンを乗せたタクシーは、恵比寿のとある高層ビルの前で停まり、二人は降りた。

 そして、イケメンは、空也をビルの18階にある洋食店に連れて来た。

 落ち着いた照明の明るさと、白とブラウンを基調としたインテリアで、大人の雰囲気の店内。

 空也とイケメンが通された席は窓側で、年末のきらびやかに輝く東京の夜景がよく見えた。

 時間も遅かった事もあり客はまばらで、
店内は静か過ぎる程だった。

 小さな頃から、身の安全の為に休日すらあまり外出を許されなかった空也は、周りをキョロキョロ見回し過ぎて、イケメンが真顔で不思議そうに空也を見詰めた。

「すいません……あんまり、普段外出出来ないんでつい珍しくて……それに、東京の夜景って、動画とかじゃ無く実物の方がやっぱりキレイだから」

 空也がそう言うと、イケメンは、やはりしばらく空也をじっと見詰めてボソっと尋ねてきた。

「自分の意思も聞かれない。外出も出来ないって……お前、誰かに監禁でもされてたのか?」

「監……禁……?」

 空也は、思わず目を見開いてしまった。
 
 それは、小さな頃から自由の無い空也自身が、自分はずっとそれに近い事を天空神からされてるのではないかと感じ続けていた疑問だったから。

 しかし、空也は、この場の空気を変えるように微笑んで誤魔化した。

「そんな事は無いです。それは、考え過ぎです」

 そして、空也は、手元にあるメニューを見た。

 タンシチューやステーキやハンバーグ、
カツサンド、色々あるが、単品価格帯は5000円から10000円位だった。

 空也の家庭からしたら決して高くない価格だが、でもこれが一般的に安い価格で無い事位は空也も認知している。

「別に、オムライスじゃ無くてもいい。好きなもん食え。自分の思うようにしたらいい」

 イケメンは、柔らかい革の椅子に足を組んでどっしり座り、空也を見詰めて言った。

 イケメンは、態度もデカいし口調も愛想が無い。

 しかし、空也がイケメンに視線をやると、イケメンのその瞳は静かに、だが、とても真剣に空也を見詰めていた。

 思わず、空也の胸がドキっとした。

(この人、なんで僕をそんな目で見るんだろう?)

 空也は、そう思うとその瞳を見ていられなくて、再びメニューを見ると、わざと明るく笑って尋ねた。

「でも……どうしてですか?どうして、僕と、食事するんですか?」

 テーブルに片肘を付いていたイケメンは、しばらく無言でじっと空也を見た。

 それから、ボソっと呟いた。

「なんだか、お前が……帰りたくなさそうだったからか……」

 そのズバリと言われた言葉に空也は一瞬ショックを受けたが、その後少し笑った。
 
 自分では我慢してたつもりなのに、バレバレだったのだと。

 そして、あり得ないと思うが、このイケメンが、空也の事や空也の事情を知ってるんではないかとすら思った。

「ありがとうございます。でも、もう大丈夫です。食べたら、家に帰ります」

 空也は冷静にそう返したが、内心焦ってもいた。

 一刻も早く家に帰らないとと。

 しかし、同時に、初めて自由のようなもの、初めて開放感のようなものも感じていて、もしかしたら、こんな開放的な自由な時間は、二度と空也には訪れないかもと思った。
 



 
 











 

 
 







 



 






 




 

 



 

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