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5.デート②
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強く言い返せなくて俯くと降りる駅に到着して、そのまま手を繋いで電車を降りた。
水族館は日曜日なだけあって混雑していたけれど、子どもの頃以来だったので充分に楽しかった。その余韻が残ったまま、夕飯までにはまだ時間があるからと、映画館へ移動して話題の映画を見て楽しんだ。
「想定外のエンディングだった」
「ね。ああいうラストになるとは思わなかった」
感想を語り合いながらネットで探した店に移動すると、広いフロアの中程の席に案内されてとりあえずビールで乾杯する。
「それで?」
「それでって、なに」
「デートはどうだった」
「楽しいよ。ちぃちゃんこそ、どうだったの」
「俺も楽しいよ。ちゃんと返事してもらってないけど、俺たち付き合うってことでいいんだよな」
「……うん」
次々と運ばれてくるメニューがテーブルに並び、千颯くんが手際よく小皿に全てを取り分けてくれる。
「ありがと」
「ん。それより次はいつデートしようか。平日ってどんな感じなの」
「仕事? 今はバタバタしてるかな。新年度で異動が多くてその手続きばっかり」
「総務とか人事系なの?」
「そう。ちぃちゃんはどうなの。弁護士の仕事ってどんな感じなのか見当がつかない」
「今は引き継ぎがメインなとこあるかな。ほら、俺先月まで関西にいたからさ。やっと個別の案件が回ってきたところかな」
「そうなんだ」
「そう。挨拶回りとか結構大変だった」
千颯くんの話によると、系列の関西事務所に出向したのは五年前で、環境の変化にはなかなか慣れないという話になる。
私の仕事は転勤がないから想像がつかないけれど、ふと慎次郎のことを思い出してしまって小さく首を振る。
「ねえ、ちぃちゃん」
「ん?」
「また関西に転勤になったりするの」
「さすがに東京に戻ってきたばっかりだし、もうないと思いたい」
「じゃあ可能性がない訳じゃないんだ?」
「どうかな。基本的にスキルアップのための期間だったからね。元々はこっちの事務所に就職してるから、もうないとは思う」
どうかしたのかと言われて、慎次郎の話をするかどうか迷う。でも本気で付き合うなら、前の恋人と別れた理由を伝えておいた方がいいかもしれない。
思い切って話を切り出すと、千颯くんは真剣な顔で私の話を聞いてくれた。
別れるつもりはなかったけれど、転勤について行く気もなかったし、結婚とか先のことを明確にイメージできていなかったのは事実だ。
「そっか。そんなことがあったんだ」
「ごめんね、こんな話して」
「実は俺も似たような経験があってさ。それこそ関西に転勤した頃だね」
「当時の彼女と結婚とか考えてたの?」
「いや全く。俺の場合は、着いてきたがるのを断ったらギクシャクして。今思えば向こうは結婚したかったのかな」
「そうなんだ……」
千颯くんぐらいの人なんだから、昔付き合ってた恋人の一人や二人、いやもっといたかもしれない。今付き合ってる人がいないことの方がおかしいくらいだ。
そう思うのに嫉妬で胸の奥がジリジリする。
「そんな顔するなよ」
「え?」
「怒ったような悲しいような顔してる。それって嫉妬だろ」
「ごめん、嫌だよね」
「嫌じゃないよ。それだけ俺に男として関心があるってことだろ。それに俺だってモヤモヤしてる。スズには結婚を考えるような相手がいたことにね」
「いやいや、考えてなかったから別れたんだってば」
「……分かってるよ」
千颯くんは呟いてハイボールを一気に飲み干す。変な空気になってしまった。
「ちぃちゃん、話題変えよう?」
「そうだな」
水族館は日曜日なだけあって混雑していたけれど、子どもの頃以来だったので充分に楽しかった。その余韻が残ったまま、夕飯までにはまだ時間があるからと、映画館へ移動して話題の映画を見て楽しんだ。
「想定外のエンディングだった」
「ね。ああいうラストになるとは思わなかった」
感想を語り合いながらネットで探した店に移動すると、広いフロアの中程の席に案内されてとりあえずビールで乾杯する。
「それで?」
「それでって、なに」
「デートはどうだった」
「楽しいよ。ちぃちゃんこそ、どうだったの」
「俺も楽しいよ。ちゃんと返事してもらってないけど、俺たち付き合うってことでいいんだよな」
「……うん」
次々と運ばれてくるメニューがテーブルに並び、千颯くんが手際よく小皿に全てを取り分けてくれる。
「ありがと」
「ん。それより次はいつデートしようか。平日ってどんな感じなの」
「仕事? 今はバタバタしてるかな。新年度で異動が多くてその手続きばっかり」
「総務とか人事系なの?」
「そう。ちぃちゃんはどうなの。弁護士の仕事ってどんな感じなのか見当がつかない」
「今は引き継ぎがメインなとこあるかな。ほら、俺先月まで関西にいたからさ。やっと個別の案件が回ってきたところかな」
「そうなんだ」
「そう。挨拶回りとか結構大変だった」
千颯くんの話によると、系列の関西事務所に出向したのは五年前で、環境の変化にはなかなか慣れないという話になる。
私の仕事は転勤がないから想像がつかないけれど、ふと慎次郎のことを思い出してしまって小さく首を振る。
「ねえ、ちぃちゃん」
「ん?」
「また関西に転勤になったりするの」
「さすがに東京に戻ってきたばっかりだし、もうないと思いたい」
「じゃあ可能性がない訳じゃないんだ?」
「どうかな。基本的にスキルアップのための期間だったからね。元々はこっちの事務所に就職してるから、もうないとは思う」
どうかしたのかと言われて、慎次郎の話をするかどうか迷う。でも本気で付き合うなら、前の恋人と別れた理由を伝えておいた方がいいかもしれない。
思い切って話を切り出すと、千颯くんは真剣な顔で私の話を聞いてくれた。
別れるつもりはなかったけれど、転勤について行く気もなかったし、結婚とか先のことを明確にイメージできていなかったのは事実だ。
「そっか。そんなことがあったんだ」
「ごめんね、こんな話して」
「実は俺も似たような経験があってさ。それこそ関西に転勤した頃だね」
「当時の彼女と結婚とか考えてたの?」
「いや全く。俺の場合は、着いてきたがるのを断ったらギクシャクして。今思えば向こうは結婚したかったのかな」
「そうなんだ……」
千颯くんぐらいの人なんだから、昔付き合ってた恋人の一人や二人、いやもっといたかもしれない。今付き合ってる人がいないことの方がおかしいくらいだ。
そう思うのに嫉妬で胸の奥がジリジリする。
「そんな顔するなよ」
「え?」
「怒ったような悲しいような顔してる。それって嫉妬だろ」
「ごめん、嫌だよね」
「嫌じゃないよ。それだけ俺に男として関心があるってことだろ。それに俺だってモヤモヤしてる。スズには結婚を考えるような相手がいたことにね」
「いやいや、考えてなかったから別れたんだってば」
「……分かってるよ」
千颯くんは呟いてハイボールを一気に飲み干す。変な空気になってしまった。
「ちぃちゃん、話題変えよう?」
「そうだな」
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