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9.旅行準備③
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結局ケーキは買うのをやめたんだろうか。せっかく気を遣って連絡をくれたのに悪いことをしてしまった。
ほどなくしてドアチャイムが鳴り、玄関を開けて千颯くんを迎え入れる。
「いらっしゃい」
「お邪魔します」
「ごめんね、メッセージさっき気付いて」
「別にいいよ。なにが好きか分かんないから、何種類か買ってきた。これだと選ぶ楽しみもあって面白いでしょ」
「ありがとう」
ケーキの入った箱を受け取り、こういうさりげない気遣いにキュンとしてしまう。
「ビールも買ってきたけど、冷蔵庫に入るかな」
「多分大丈夫。旅行が近いから、なるべく買い置きは減らしてるし。それよりその荷物どうしたの」
よく見ると千颯くんは仰々しいバッグを持っている。まるで小旅行だ。
「スズも持っておいでよ。急に泊まることになった時、着替えがあると気分が違うだろ」
「それにしても、ここに住み着く気なの」
おかしくなって噴き出すと、千颯くんも同じように笑った。
玄関での立ち話もそこそこに部屋に招き入れると、千颯くんは部屋の端に置いたスーツケースを見て、部屋の中だと大きく見えると呟く。
「こんなに大きかったっけ」
「だよね。私もちょっとびっくりした。それよりなにか飲む? お昼が遅かったし、腹ペコって感じじゃないよね」
「ありがとう。ケーキ先に食べる?」
「そうだね。せっかくだしいただこうかな」
コーヒーを用意しにキッチンに向かうと、千颯くんがケーキを取りに冷蔵庫の前にやってきた。
「どのケーキにする? スズはチョコ系かなって思ったんだけど、苺のショートケーキにフルーツタルトとかもあるよ」
「うわぁ、どれも美味しそうだね。でも私、このオペラがいい。ちぃちゃんはどれにするの」
「やっぱりチョコ系か。じゃあ俺は抹茶ムースのタルトかな」
「じゃあ、そのお皿を取り皿に使って。コーヒーで良かったかな。紅茶もあるけど」
「コーヒーでいいよ。じゃあケーキは俺が運ぶね」
狭いキッチンで箱からケーキを取り出すと、千颯くんがお皿を持って先に部屋に行く。それを追いかけるように、今日お揃いで買ったマグカップにコーヒーを淹れて私も部屋に移動する。
「はい。熱いよ、気を付けてね」
「ありがとう。このカップ、やっぱり買って良かったね」
千颯くんが楽しそうにマグカップを眺めているのはなんとも可愛くて、こちらまで嬉しい気持ちになる。
「もうひと組も、ちぃちゃんの家で使うことにしたんだよね」
「俺、こういうお揃いって初めてだ」
「ああ。そう言われると、私も初めてかもしれない」
「この共通点は気分がいいな」
「なにそれ」
言われて気が付いたけれど、確かに慎次郎と付き合っていた頃にお揃いのものなんて買い揃えたことがなかった。
千颯くんにそういう経験がないのは少しびっくりだけど、まさか嘘は言わないだろうし、本当に初めてなんだろう。
美味しいケーキを食べながら、旅行の段取りを聞いたりしてゆっくりと夕食までの時間を過ごした。
ほどなくしてドアチャイムが鳴り、玄関を開けて千颯くんを迎え入れる。
「いらっしゃい」
「お邪魔します」
「ごめんね、メッセージさっき気付いて」
「別にいいよ。なにが好きか分かんないから、何種類か買ってきた。これだと選ぶ楽しみもあって面白いでしょ」
「ありがとう」
ケーキの入った箱を受け取り、こういうさりげない気遣いにキュンとしてしまう。
「ビールも買ってきたけど、冷蔵庫に入るかな」
「多分大丈夫。旅行が近いから、なるべく買い置きは減らしてるし。それよりその荷物どうしたの」
よく見ると千颯くんは仰々しいバッグを持っている。まるで小旅行だ。
「スズも持っておいでよ。急に泊まることになった時、着替えがあると気分が違うだろ」
「それにしても、ここに住み着く気なの」
おかしくなって噴き出すと、千颯くんも同じように笑った。
玄関での立ち話もそこそこに部屋に招き入れると、千颯くんは部屋の端に置いたスーツケースを見て、部屋の中だと大きく見えると呟く。
「こんなに大きかったっけ」
「だよね。私もちょっとびっくりした。それよりなにか飲む? お昼が遅かったし、腹ペコって感じじゃないよね」
「ありがとう。ケーキ先に食べる?」
「そうだね。せっかくだしいただこうかな」
コーヒーを用意しにキッチンに向かうと、千颯くんがケーキを取りに冷蔵庫の前にやってきた。
「どのケーキにする? スズはチョコ系かなって思ったんだけど、苺のショートケーキにフルーツタルトとかもあるよ」
「うわぁ、どれも美味しそうだね。でも私、このオペラがいい。ちぃちゃんはどれにするの」
「やっぱりチョコ系か。じゃあ俺は抹茶ムースのタルトかな」
「じゃあ、そのお皿を取り皿に使って。コーヒーで良かったかな。紅茶もあるけど」
「コーヒーでいいよ。じゃあケーキは俺が運ぶね」
狭いキッチンで箱からケーキを取り出すと、千颯くんがお皿を持って先に部屋に行く。それを追いかけるように、今日お揃いで買ったマグカップにコーヒーを淹れて私も部屋に移動する。
「はい。熱いよ、気を付けてね」
「ありがとう。このカップ、やっぱり買って良かったね」
千颯くんが楽しそうにマグカップを眺めているのはなんとも可愛くて、こちらまで嬉しい気持ちになる。
「もうひと組も、ちぃちゃんの家で使うことにしたんだよね」
「俺、こういうお揃いって初めてだ」
「ああ。そう言われると、私も初めてかもしれない」
「この共通点は気分がいいな」
「なにそれ」
言われて気が付いたけれど、確かに慎次郎と付き合っていた頃にお揃いのものなんて買い揃えたことがなかった。
千颯くんにそういう経験がないのは少しびっくりだけど、まさか嘘は言わないだろうし、本当に初めてなんだろう。
美味しいケーキを食べながら、旅行の段取りを聞いたりしてゆっくりと夕食までの時間を過ごした。
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