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16.プロポーズ②
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部屋に入ると雨が降り出したらしく、大きな窓を雨粒が叩きつける。部屋の中は左手にはリビングがあり、右手に進むと広々としたベットルームが広がっている。
なんとなくじっとしていられなくて、部屋の中を探検して回ってしまう私を見て、千颯くんも同じように部屋の中を歩き回る。
「広すぎて落ち着かないかも」
「たまにはいいんじゃないかな」
ようやく落ち着いてリビングのソファーに腰を下ろすと、コーヒーでも飲もうかと千颯くんが準備をしてくれた。
ディナーの時間まで部屋でゆっくり過ごし、昼と同じく十七階に移動して天板焼きのお店に向かう。
コースでお料理をいただき、私はメインに神戸牛のロースステーキを頼み、千颯くんは特選和牛のフィレステーキを頼んで一口ずつ分け合ったり、なによりここでは美味しい日本酒を楽しみ、ゆったりした時間を過ごす。
結婚したら仕事はどうしていきたいかとか、子どもはどうするかなんて、気が早い話だけど、これからのことを話し合って時間を過ごした。
「ふう。お腹いっぱい」
部屋に戻るなりソファーに座り込むと、高級ホテルの緊張感から少し解放されてやっと肩の力が抜ける。
「涼葉。俺の思いを聞いてくれるかな」
ソファーに座る私の目の前で跪いた千颯くんが、ジュエリーケースを手に少し照れくさそうに微笑む。
「はい」
「あの出会いは偶然だったし、見合いで再会できて俺は涼葉とのことに運命を感じた」
「うん」
「涼葉からしたら、俺は急ぎ過ぎに見えるかもしれないし、これから想像もできない喧嘩だってするかもしれない」
千颯くんはそこまで言うと、でもねと私の手を握る。
「涼葉とだから、それを乗り越えていけると思ってる。俺は一生結婚なんてできないと思ってたけど、涼葉に会って、この子と、この人とずっと一緒にいたいって思えた」
「ちぃちゃん……」
「涼葉にちぃちゃんって呼ばれるだけで嬉しくなる。じいちゃんやばあちゃんたちみたいに、お互いシワシワになっても仲良く過ごしたい」
「うん」
「高橋涼葉さん、俺と結婚してください」
「……はい。よろしくお願いします」
二人で選んだ婚約指輪が左手の薬指にはめられると、このわずかな重みが、これから千颯くんと築く道のりの第一歩なんだと決意が固まった。
「南方千颯さん。これからも、ちぃちゃんって呼んでいいですか」
「仕方ないな。千颯って呼ばせたい時はおねだりするよ」
千颯くんは意味深に笑うと、私の手を取ってその手の甲にキスをする。
「おねだりって……」
「早速今夜かな」
「もう、ちぃちゃん」
「あはは。照れてる照れてる」
「すぐそうやって揶揄う」
抱き締めて誤魔化そうとする腕を叩くと、それでも丸め込まれるみたいに隣に座った千颯くんに優しく抱き留められる。
「スズと見合いだなんてって思ってたけど、俺たちはこうなる運命だったんだよ」
「同窓会って言ったくせに」
「でもスズだって、久しぶりだし顔だけ見て帰ろうと思ってただろ」
「それは否定できないけど」
口篭って答えると、千颯くんはそうだろと笑って私にキスをする。
「プロポーズ受けてくれてありがとう」
「こちらこそ」
「これから結婚式とか、色々調べないといけないね」
「そうだね。準備ってどれくらいかけるものなんだろう」
「今度雑誌買ってみようか」
「そうだね」
「でもまずはスズの実家に挨拶だな。おじさんには会ったことないし、秀悟くんも子どもの時以来だもんね」
「お兄ちゃんびっくりするだろうな」
母から話は聞いているようで、千颯くんとお見合いしたことは知っているはずだけど、結婚することになったのはかなり驚くと思う。
今でもまだ信じられないけれど、初恋の人と結婚することになるなんて、なんだか夢みたいだ。
(揶揄われるから、ちぃちゃんには絶対言わないけど)
左手の薬指に光る指輪を見つめて、なんとも言えない幸せな気持ちになった。
なんとなくじっとしていられなくて、部屋の中を探検して回ってしまう私を見て、千颯くんも同じように部屋の中を歩き回る。
「広すぎて落ち着かないかも」
「たまにはいいんじゃないかな」
ようやく落ち着いてリビングのソファーに腰を下ろすと、コーヒーでも飲もうかと千颯くんが準備をしてくれた。
ディナーの時間まで部屋でゆっくり過ごし、昼と同じく十七階に移動して天板焼きのお店に向かう。
コースでお料理をいただき、私はメインに神戸牛のロースステーキを頼み、千颯くんは特選和牛のフィレステーキを頼んで一口ずつ分け合ったり、なによりここでは美味しい日本酒を楽しみ、ゆったりした時間を過ごす。
結婚したら仕事はどうしていきたいかとか、子どもはどうするかなんて、気が早い話だけど、これからのことを話し合って時間を過ごした。
「ふう。お腹いっぱい」
部屋に戻るなりソファーに座り込むと、高級ホテルの緊張感から少し解放されてやっと肩の力が抜ける。
「涼葉。俺の思いを聞いてくれるかな」
ソファーに座る私の目の前で跪いた千颯くんが、ジュエリーケースを手に少し照れくさそうに微笑む。
「はい」
「あの出会いは偶然だったし、見合いで再会できて俺は涼葉とのことに運命を感じた」
「うん」
「涼葉からしたら、俺は急ぎ過ぎに見えるかもしれないし、これから想像もできない喧嘩だってするかもしれない」
千颯くんはそこまで言うと、でもねと私の手を握る。
「涼葉とだから、それを乗り越えていけると思ってる。俺は一生結婚なんてできないと思ってたけど、涼葉に会って、この子と、この人とずっと一緒にいたいって思えた」
「ちぃちゃん……」
「涼葉にちぃちゃんって呼ばれるだけで嬉しくなる。じいちゃんやばあちゃんたちみたいに、お互いシワシワになっても仲良く過ごしたい」
「うん」
「高橋涼葉さん、俺と結婚してください」
「……はい。よろしくお願いします」
二人で選んだ婚約指輪が左手の薬指にはめられると、このわずかな重みが、これから千颯くんと築く道のりの第一歩なんだと決意が固まった。
「南方千颯さん。これからも、ちぃちゃんって呼んでいいですか」
「仕方ないな。千颯って呼ばせたい時はおねだりするよ」
千颯くんは意味深に笑うと、私の手を取ってその手の甲にキスをする。
「おねだりって……」
「早速今夜かな」
「もう、ちぃちゃん」
「あはは。照れてる照れてる」
「すぐそうやって揶揄う」
抱き締めて誤魔化そうとする腕を叩くと、それでも丸め込まれるみたいに隣に座った千颯くんに優しく抱き留められる。
「スズと見合いだなんてって思ってたけど、俺たちはこうなる運命だったんだよ」
「同窓会って言ったくせに」
「でもスズだって、久しぶりだし顔だけ見て帰ろうと思ってただろ」
「それは否定できないけど」
口篭って答えると、千颯くんはそうだろと笑って私にキスをする。
「プロポーズ受けてくれてありがとう」
「こちらこそ」
「これから結婚式とか、色々調べないといけないね」
「そうだね。準備ってどれくらいかけるものなんだろう」
「今度雑誌買ってみようか」
「そうだね」
「でもまずはスズの実家に挨拶だな。おじさんには会ったことないし、秀悟くんも子どもの時以来だもんね」
「お兄ちゃんびっくりするだろうな」
母から話は聞いているようで、千颯くんとお見合いしたことは知っているはずだけど、結婚することになったのはかなり驚くと思う。
今でもまだ信じられないけれど、初恋の人と結婚することになるなんて、なんだか夢みたいだ。
(揶揄われるから、ちぃちゃんには絶対言わないけど)
左手の薬指に光る指輪を見つめて、なんとも言えない幸せな気持ちになった。
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