チート御曹司と再会したら、初恋以上に全力で溺愛されてしまって困ってます

濘-NEI-

文字の大きさ
13 / 80

5-③

しおりを挟む
 さっきの会話でどれくらい伝わったのか分からないけど、久々に知り合いに再会出来て嬉しいとは伝わってないようで、気に掛けてくれる優しさが嬉しかった。
 前園さんに視線で大丈夫と返すと、そのまま改めて柳川事業部長に挨拶をして、浦野さんと一緒に部屋を出た。
 来た時同様に刺すような視線を感じながら、浦野さんの後ろに控えてフロアを抜けると、エレベーターホールに到着したところで、胃痛を堪えて声を掛ける。
「お疲れ様です。この後のご予定の確認がまだ出来ておりませんでした。着任のご挨拶以外に、社内でのご予定はございますか」
「なにもないよ」
「では、明日以降のスケジュール確認をさせてください。役員フロアのミーティングルームを押さえておりますので、そちらにご移動願います」
「分かった」
 どうしても目線を合わせることが出来ず、失礼なのは承知の上で、手帳を開いてさも何かを確認しながらのように対応して逃げ腰になってしまう。
 到着したエレベーターに乗り込んで、気まずい沈黙に耐えながら役員フロアに移動すると、ミーティングルームに浦野さんを案内してから、一度部屋を離れて秘書室に戻る。
「お疲れ様です。浦野事業部長の着任のご挨拶を終えましたので、明日以降のスケジュール確認のために、ミーティングルームにご移動いただいてます」
「お疲れ様。では倉本さん、念のために補佐でついてあげてください」
「承知しました。じゃあ行こっか槇村さん。浦野事業部長をお待たせしてもいけないから」
「はい。よろしくお願いします」
 ちょうどデスクの近くに居た青木室長と倉本さんに声を掛けると、室長の配慮で倉本さんがサポートに入ってくれることになって正直ホッとする。
 秘書室を出ると、前園さんと共有したデータをタブレットで確認して、社外への挨拶回りの調整について、倉本さんに色々とアドバイスをもらう。
 そしてペットボトルのお茶を用意すると、浦野さんが待つミーティングルームのドアをノックした。
「失礼します」
 部屋に入ると浦野さんは立ち上がって窓の外を眺めていて、倉本さんを引き連れて来たことに少し驚いているようにも見えたけど、それはほんの一瞬のことで、すぐに笑みを浮かべた。
「浦野さん、お疲れ様です。槇村さんには一通り業務の説明を行なっておりますが、指導担当として同席させていただきます」
 倉本さんが挨拶を済ませると、了承した浦野さんが席についてから私たちも腰を下ろす。
 スケジュールの大まかな流れについては、これといった問題もなく、柳川事業部長の秘書である前園さんと共有した内容を確認して、浦野さんに把握してもらうことがほとんどだ。
 だから時間はそう掛からず、倉本さんにサポートに付いてもらったけど、大きな問題も起こらずに打ち合わせは終わるはずだった。
「じゃあ今日はこのまま帰って構わないね」
「はい。明日からどうぞ宜しくお願いします」
 ようやくこの緊張状態から解放されたと油断した瞬間、少し良いかなと浦野さんが口を開いた。
「倉本さん、槇村さんはまだ業務が残っているのかな」
 浦野さんの突然の質問に、私の鼓動は急激に跳ね上がる。
 倉本さんは少しだけ不思議そうにしつつも、聞かれるままに浦野さんに返答する。
「いいえ。ご承知の通り浦野さんの担当となりましたので、お見えになる前に切り上げた業務も急ぎませんし、彼女も今日は定時で上がります」
「そうか。なら槇村さん、これからお世話になるんだから、少し話がしたい。時間を取ってもらって構わないだろうか」
 浦野さんの言葉の意図が分からずに、困惑して倉本さんに助けを求める視線を投げるけど、彼女はどこか面白そうに口角を静かに上げるだけで助けてくれない。
「駄目だろうか、槇村さん」
「いえ、こちらこそ、お時間を割いていただいてありがとうございます」
「良かった。この部屋はいつまで使えるんだろうか」
「以降に利用予定はありませんので、彼女の支度が済むまで、こちらでお待ちいただいて問題ありません」
「そうか。ありがとう」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end** ◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です! https://estar.jp/novels/26513389

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

魔性の大公の甘く淫らな執愛の檻に囚われて

アマイ
恋愛
優れた癒しの力を持つ家系に生まれながら、伯爵家当主であるクロエにはその力が発現しなかった。しかし血筋を絶やしたくない皇帝の意向により、クロエは早急に後継を作らねばならなくなった。相手を求め渋々参加した夜会で、クロエは謎めいた美貌の男・ルアと出会う。 二人は契約を交わし、割り切った体の関係を結ぶのだが――

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~

cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。 同棲はかれこれもう7年目。 お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。 合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。 焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。 何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。 美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。 私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな? そしてわたしの30歳の誕生日。 「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」 「なに言ってるの?」 優しかったはずの隼人が豹変。 「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」 彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。 「絶対に逃がさないよ?」

ハイスペック上司からのドSな溺愛

鳴宮鶉子
恋愛
ハイスペック上司からのドSな溺愛

処理中です...