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第16話 占師は夢占いを信じない5

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「その結婚待ったぁ!」

「なに!?」

「なぜ貴方がここに!?」

扉を開けて、挙式に物申してきたのは副会長の川蝉蓮だった!

ーーまぁ、出てない三役は副会長だけだったので、正直わかっていたことなのだが。

「もちろん、この結婚式を壊しに来たのだ」

副会長は、メガネを掛け直しバージンロードを一人で闊歩する。

「僕たちになんか、何か文句でもあるのか!?」

花嫁?を庇うようにはじめが、前に出た。

「文句?お前らにはないさ」

「じゃあ、なんでよ!」

おそらく新郎の後ろから凪がほえる。

「ふん」

俺には関係ないと副会長は鼻を鳴らし、彼らを通り過ぎた。

そして、ついには私の前まできたのだ。

「俺が文句あるのはお前だ!」

そう言って、私に指を突き刺した。

「私になんの文句があるって……」

いま、この堅物副会長メガネが私にいちゃもつけるところなんて、こころあたりがありすぎる!

「神父……お前は女だろおおおおおおお」

「ですよねえええええー!」

そうだ、私は間違っていなかったんだ。やっぱり、神父を女の子がやるのはおかしいんだ!

夢にまできて、間違えを正してくれるなんて、やっぱり副会長はすごいね!

と、心の中で・・・・褒めていると、副会長は口を開いた。

「だから……」

「だから?いだっ」

副会長は私を押し退けて、祭壇に立った。

「俺が神父をやる!」

「なんで!?」

「やったわ!ダーリン本物の神父様よ!」

「そうだねハニー!さっきまでのパチモンとは大違いだ!」

さっきまで、あれだけ私を推してたくせに。

「さぁ!新たなる家族を志すものらよ」

「「はい!」」

今度は私抜きに式が進んでいる。なので、このままこの3人に任せて、私は後ろの方の席に行って寝るとするか。

「おい!環!」

おかしいな、気配を消して動いたはずなのに止められたぞ?

「な、なんでしょ?」

「お前は、BGMだ!」

「え?」

神父が袖からリコーダーを出して私に投げつけた。

「これをどうしろと?」

「なにを言ってるんだ?リコーダーは吹く以外に使い道があるとでも?」

「ないです」

神父の指示のもと、たどたどしく私はキラキラ星を吹く。

途中、神父に睨まれたが、

仕方ないだろこれしか吹けないんだから!

こうして、結婚式は進んだ。
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