ぼっちの俺にはラブコメは訪れないんですか?

最東 シカル

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第2章 ぼちお君、奮闘

第29話 偏愛マン、完敗マン

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「うん?若山も来ていたのか。まぁいい、入れ」

「は、はい・・・」

 アポなしで若山さん連れてきたので少し心配だったのだが、大丈夫なようで一先ず安心した。門前払いとかされたら彼女に申し訳なさすぎる。

「こんにちわ、若山さん」

「こ、こんにちわ、古瀬さん」

 ?古瀬さん何かやけに落ち着いてるな。・・・いや違うか、恐らく装っているだけだろう。少し笑顔がぎこちない気がする。
 それより何故、那須先生は古瀬さんの恐怖の対象である槻谷と面会させたのか。面と向かって会わせるのは、ダメだろ・・・・。先生は古瀬さんが槻谷にストーカー行為をされたのを知っているはずだ、というか俺が伝えたしね。

「・・・さて、ここに呼んだ理由だが、もう分っていると思う。こいつの件だ」

 こいつ、と未だ俯いている槻谷に向かって指差す那須先生。

「朝、担任から聞いたと思うが、槻谷は高校を退学することになった」

 俺たち三人が、先生と槻谷と対面する形で座ったところで先生が話し始めた。

「・・・」

 槻谷は動じず、何も発しない。
 俯いてて顔が見えないから少し不気味なんですけど・・・

「・・・その仔細は既に知っていると思う。先日学校中央会議でこの件について話が進められたんだが、そこで正式に槻谷の処分が決まった」

 うーん。なぜそれを俺たちに報告するのかが、いまいち分からない。それを一々伝えるために呼んだ、という事はないだろうし・・・

「こいつのやった事は決して許されない。そして、許してはいけない。・・・そして古瀬、すまなかった」

「い、いえっ。那須先生に謝罪されるいわれはありません!」

「・・・いや、槻谷を指導した事のある身として、私の指導力が足りなかった事が今回の件に大きく関わっていると、私は思っている」

「そ、そんな事は・・・」

「いいや、あるんだ・・・私は生徒が過ちを犯す度、一生懸命に訴えかけ、指導したつもりだった。だが、それは私の自己満足であり、誤りだった・・・。初めてだったのだ。生徒を指導して、更生しなかった奴は・・・槻谷のような生徒は・・・」

 イケメンストーカー槻谷君。ボロクソな言われようである。先生が喋った時、槻谷の体がピクっと反応した気がした。

「・・・それは違うと思います。私は、那須先生がどれ程熱心に生徒をご指導されてらっしゃるか、よく知っています。あれ程のご指導を受けたならば、改心するはずです。なので私は、那須先生が間違えているとは全くもって思いません」

 那須先生から目を逸らさず、自分の本心を曝け出した古瀬さん。
 到頭古瀬さんにもボロクソ言われた槻谷。普通は改心する、って遠回しに槻谷の事馬鹿にしてますよね。まぁ、馬鹿だろうけど。そしてまた、槻谷の体がピクっと反応した。
 うーん、これはキレてるのかな・・・・・。さっきからずっと俯いていて顔の表情は分からないが、こういう奴にあんまり言い過ぎると、いきなり暴走とかしそうで怖いんだよな・・・。

「わ、私もっ、そう思います!那須先生と古瀬さんは、な、何一つ間違ってません!」

「っ・・・」

 ・・・どした?若山さん。いきなり声張り上げるからビビったんだけど。
 槻谷またピクってしたし、そろそろマズイ気がするぞ・・・

「古瀬、若山・・・ありがとう。お世辞でも嬉しいよ」

 古瀬さんと若山さんの言葉に、最初は驚いていた先生だが、最後には慈愛の表情をもって感謝を述べた。

 それより、まさか若山さんまで言うとは・・・これは流れ的に俺も言った方が良いのではかろうか。
 現在、俺以外の3人からボロクソ言われた槻谷。ダメージはかなり蓄積しているだろう・・・・いつ爆発するか分かったもんじゃない。

「・・・槻谷、お前からも言わなければいけない事があるんじゃないか?ほれ」

 槻谷の背中を軽く押すように叩いた先生。恐らく古瀬さんに謝れ、ということだろう。まぁ、至極当然な話ではあるが。

「・・・」

 先生に促されても尚、俯いたまま動こうとしない槻谷。

「槻谷・・・。お前が犯した事だぞ。最後くらい、謝ることもできんのか」

「・・・」

 まずいまずいっ、体がピクピクしてきてるよ!これヤバいんでないの?!

「おいっ槻谷。古瀬に謝れっ」

 ちょっと先生っ。今煽るとマズイですって!

 そして俺が、先生を止めようと慌てて口を開こうとした時。




「・・・・・・ぅう”っ・・う”ぅっ・・ぅーぐすっ・・ずぅみまぜんでじた・・・」


「「「・・・」」」

 えぇー・・・・・・・・泣くんかい・・・・。
 
 体がピクピクしてたのってそういうことでしたか・・・ボロクソ言われ過ぎてメンタル崩壊しちゃった感じですかね。
 少しだけ、ほんのちょびっとだけであるが、不憫である。

「・・・おい槻谷、お前は謝罪すら真面まともにできんのか。相手の目を見てハッキリと言わんかっ!」

 ちょ、ちょっと!あんた超ド級スパルタ教師かよ!

「っ、な、那須先生っ、私はそれで十分なので・・・」

 流石の古瀬さんも少し不憫に思えたご様子である。

「いやいかんっ。こういうのは一番最後が重要なんだっ。ほれっ槻谷!」

「う”ぅっ・・・は、はい・・・」

 そして、槻谷がずっと地面に向けていた顔を漸く上げた時、俺達3人に馬鹿でかい


「「「っ!!!!!」」」


「あ”の・・・ほんどに・・・ぐスっ・・・ずぅみませんでした・・・」

「「「・・・」」」

 まさに今、俺達3人の目線はにしか集中してないだろう。
 
「ぜぇんぶ・・・おでのせきにんです・・・ぐすっ・・・ほんどにすみまぜんでじた・・・」

「「「・・・」」」
 
 取り敢えず、謝罪の言葉が頭に入ってこない。

「よし、まぁ、いいだろう。すまんが古瀬、これで許してやってくれないか?見ての通りなんだが、ちょっとな・・・」

「え?あ、はい・・・」

 未だ困惑から帰って来ていない様子の古瀬さん。

 ・・・一体、何がどうしてこうなったんだ・・・?
 意を決して聞いてみる。

「あの先生・・・流石にこれはやり過ぎなのでは・・・」

「・・・誤解してるようだが、流石の私でもここまではしないぞ?」

 槻谷の顔面。例えるならば、、と言えば正確だろうか。
 腫れあがり充血した目、おたふく風邪が一段階進化のような赤黒く腫れた頬。見るだけでこちらが痛くなってきそうだ・・・

 槻谷君、たった一日でブサメンストーカー君への成り下がりである。
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