10 / 55
第一章
8.王太子の事情 -王太子視点-
しおりを挟む
_____________もう、うんざりだ。
どいつもこいつも、いい加減にして欲しい。
『アラン・ペトル・ド・フォン・パッフェルト』
これがパッフェルト王国王太子として生まれた私の名前。
8年前に現国王陛下の長男として生を受け、文句なしの容姿を持ち、必然的に王太子となった。
次期国王として相応しくなるために帝王学や剣術、魔術など日々精進し、努力して《神童》と呼ばれるまでになった。
ただその努力の結晶はいつも当たり前のように片付けられる。それは私の容姿が関係していた。
直系の王族にのみ受け継がれる金髪碧眼。
その中でも、髪色が金いわゆるプラチナブロンドに近いほど良いとされている。
私の髪色は鮮やかなプラチナブロンド。
建国以来の鮮やかさで、精霊王と同じ色。
どうやら私は精霊王の先祖返りらしい。
自分が秀でていることはなんとなくわかっていた。
桁外れの魔力量と体力。
どちらも国の平均を大きく上回る。
だが、私だってなんでもすぐにできた訳では無い。
できない魔術や剣術は何度も取り組んだ。
そして結果を残してきた。
そんな《神童》と名のついた王太子の周りに集まってくるのは、媚びを売りたい者、影から操ろうと企む者。先祖返りという理由から精霊からの加護を多く求めたりする者ばかりだった。
嫉妬し、妬む者もいた。
正直虫唾が走る。
王太子ではなく、私という存在を見てくれる者は何人いるのだろうか。
仕方ないことだと思ってはいるが、そういう人間は苦手だ。だから適当に追い払い、近づけさせないようにしてきた。
まぁ、愛想を振りまいていた私も悪いが。
けれどきちんと信頼出来る者は少なからずいるし、幼馴染の友人達もいる。
特に異性からのアプローチは鼻につく。
王太子妃になんて目論み近づいてくる人ばかりだった。自分の見てくればかり気にし、独り善がりの令嬢に靡く訳が無い。
城に務めている、大臣やらの「将来の王太子妃に自分の娘を」なんて声も聞こえてきてうんざりする。
婚約話を持ちかけられても、そんな親を持つ娘と結婚をしたいかと言われたらしたくはない。
我が物のように利用しようとしている奴らの所へ自ら利用されに行こうとするやつなんていないだろう。
大人たちの策略が歳を重ねる事に見えてきて、小さい頃から夢中だったものが好きになれなくなり、何かへの執着というものも次第に薄れていった。
______________________________
ある時、現宰相の息子アレクが私のもとに訪ねに来た。アレクとは小さい頃からの付き合いがあり、私の気持ちを汲んでくれるよき友である。
「アル。」
「なんだい?アレク。」
アルとは私の愛称である。
「んー、別に用はないんだけど、アルがこの部屋にいるのは珍しいね。」
「あぁ、確かに。今日やることを全て終えてしまったからね。それよりもアレクはどうしてここにいるんだ?」
この頃から私は少し父上の仕事に少しだけ干渉させて貰えるようにはなったが、まださせて貰えない部分も多くある。この日は父上は海外からの使者との謁見ということで、私はやることがなかった。
「今日剣術の稽古なんだよ。」
「あぁ、それでか。」
アレクの剣術の教師であるヴァランガ侯爵は魔法騎士団の団長である。その魔法騎士団の練習場は今私がいる場所を通らないと行けない。
「ねぇ、アル。一緒に来る?」
「私が行ったら迷惑がかかるからやめとくよ。」
「えー!いいじゃん!おいでよ。」
「おい、引っ張るな。」
アレクは強引な所がある。そんなアレクに腕を捕まれ、そのまま騎士団の練習場まで来てしまった。
「ヴァランガ卿!」
練習場は広い。私も何回か来たことがあるが、多分ここが王宮にある、訓練施設の中で1番広いのではないだろうか。そこにいた30代程の男性の方に駆け寄っていった。
太陽に透けると輝く様に色が変わる銀の髪に金色の目が印象的な美丈夫がヴァランガ卿である。アレクの剣術の先生だ。
「アレクか。今日は少し遅いようだが…。」
「すみません。でも、今日はちょっとしたゲストを連れてきたんです!」
アレクは私をヴァランガ卿の前に引っ張った。
「すまん。アレクがどうしてもと言うから…」
「王太子殿下ではありませんか。いえ、大丈夫です。」
練習場には他の団員達もいた為、私が来たことにより周りが騒ぎ出す。
「それでなんですけど、今日はアルも一緒でお願いできませんか?」
「……あぁ、分かった。」
「ありがとうございます。」
アレクの唐突な提案にヴァランガ侯爵は顔色を変えず、私に向き直った。
「王太子殿下。私では不服かと思いますが、よろしく御願いします。」
「いきなり来たのは私の方だ。 こちらこそよろしく頼むよ。」
軽い笑みを向けた私にヴァランガ侯爵は丁寧に
お辞儀をした。
私はアレクの性格上何となく騎士団に向かうということで予感はしていたが、侯爵がここまであっさりと引き受けるとは思わなかった。
侯爵とはあまり関わりがなかった。
彼の騎士団長としての実績は確かだが、表情をあまり顔に出さないので、何を考えているのか分からない。
しかし、前に少しだけ顔色を変えたことがあった。丁度半年前、私の婚約者を決めるための見合いをするとなった時にヴァランガ侯爵の娘の名前が上がった。
その時は、他の令嬢達との見合いで疲れきっていたし、私を利用しようとする声を聞いたばかりで、父上にもう見合いはしないと断ったのだ。
その時に少しだけほっとしたような表情を浮かべていた。ヴァランガ侯爵の表情を崩したのはそれが最初で最後だ。
その日からちょくちょくアレクに連れられ、騎士団に行くようになり、ヴァランガ卿とは随分と親しくなった。
______________________________
それから1年程経ち、再び縁談やら見合いやらの話が持ち込まれた。だが私はあまり気が乗らなかった。
見え透いたお世辞や、顔色をうかがわれながら会話をしたりするのには耐えきれなかったからだ。
嘘で覆われた言葉など聞きたくはない。
「父上、以前にも見合いはお断りしたはずですが…」
「そう言うなアル。今回は見合いではない。茶会だ。」
「同じようなものだと思うのですが。」
「そうか…オリーが面白そうだと提案したんだが…」
オリーと言うのは母上の愛称である。
オリビアが名前だ。
父上と母上はお互いを子供の前でまで愛称で呼び合うほど仲がいい。そんな2人を少しだけ羨ましく思ってたこともある。
母上は面白いことが好きで、若い頃は結構やんちゃをしていたらしい。今はすっかり王妃が方についてきているが、やはり昔同様面白いことには首を突っ込みたがる。
そんな所が父上は好きだと胸をはって高らかに宣言するが子供の前でまで惚気はやめて欲しい。
そんな面白いこと好きの母上が提案したお茶会に父上も面白そうだと乗っかったのだ。
母上は1度言い出したら聞かない。
以前にも母上が提案してきた、自称《面白いこと》を私は嫌だと拒否していた所、私の部屋まで来て、やると言うまで物凄い勢いでの熱弁された。
「わかりました。母上が言うのでしたら。」
「そうか。ありがとうな、アル。」
相変わらず父上は母上には甘い。
そうしてお茶会ならぬ、母上が名付けた《一気にお見合い大作戦》が始まった。
母上のネーミングセンスだけは戴けないが…
______________________________
後書き
今回もお読み頂きありがとうございます(*´﹀`*)
本日から1週間に渡りまして連続更新致します。
1ヶ月お待たせ致しました。
どいつもこいつも、いい加減にして欲しい。
『アラン・ペトル・ド・フォン・パッフェルト』
これがパッフェルト王国王太子として生まれた私の名前。
8年前に現国王陛下の長男として生を受け、文句なしの容姿を持ち、必然的に王太子となった。
次期国王として相応しくなるために帝王学や剣術、魔術など日々精進し、努力して《神童》と呼ばれるまでになった。
ただその努力の結晶はいつも当たり前のように片付けられる。それは私の容姿が関係していた。
直系の王族にのみ受け継がれる金髪碧眼。
その中でも、髪色が金いわゆるプラチナブロンドに近いほど良いとされている。
私の髪色は鮮やかなプラチナブロンド。
建国以来の鮮やかさで、精霊王と同じ色。
どうやら私は精霊王の先祖返りらしい。
自分が秀でていることはなんとなくわかっていた。
桁外れの魔力量と体力。
どちらも国の平均を大きく上回る。
だが、私だってなんでもすぐにできた訳では無い。
できない魔術や剣術は何度も取り組んだ。
そして結果を残してきた。
そんな《神童》と名のついた王太子の周りに集まってくるのは、媚びを売りたい者、影から操ろうと企む者。先祖返りという理由から精霊からの加護を多く求めたりする者ばかりだった。
嫉妬し、妬む者もいた。
正直虫唾が走る。
王太子ではなく、私という存在を見てくれる者は何人いるのだろうか。
仕方ないことだと思ってはいるが、そういう人間は苦手だ。だから適当に追い払い、近づけさせないようにしてきた。
まぁ、愛想を振りまいていた私も悪いが。
けれどきちんと信頼出来る者は少なからずいるし、幼馴染の友人達もいる。
特に異性からのアプローチは鼻につく。
王太子妃になんて目論み近づいてくる人ばかりだった。自分の見てくればかり気にし、独り善がりの令嬢に靡く訳が無い。
城に務めている、大臣やらの「将来の王太子妃に自分の娘を」なんて声も聞こえてきてうんざりする。
婚約話を持ちかけられても、そんな親を持つ娘と結婚をしたいかと言われたらしたくはない。
我が物のように利用しようとしている奴らの所へ自ら利用されに行こうとするやつなんていないだろう。
大人たちの策略が歳を重ねる事に見えてきて、小さい頃から夢中だったものが好きになれなくなり、何かへの執着というものも次第に薄れていった。
______________________________
ある時、現宰相の息子アレクが私のもとに訪ねに来た。アレクとは小さい頃からの付き合いがあり、私の気持ちを汲んでくれるよき友である。
「アル。」
「なんだい?アレク。」
アルとは私の愛称である。
「んー、別に用はないんだけど、アルがこの部屋にいるのは珍しいね。」
「あぁ、確かに。今日やることを全て終えてしまったからね。それよりもアレクはどうしてここにいるんだ?」
この頃から私は少し父上の仕事に少しだけ干渉させて貰えるようにはなったが、まださせて貰えない部分も多くある。この日は父上は海外からの使者との謁見ということで、私はやることがなかった。
「今日剣術の稽古なんだよ。」
「あぁ、それでか。」
アレクの剣術の教師であるヴァランガ侯爵は魔法騎士団の団長である。その魔法騎士団の練習場は今私がいる場所を通らないと行けない。
「ねぇ、アル。一緒に来る?」
「私が行ったら迷惑がかかるからやめとくよ。」
「えー!いいじゃん!おいでよ。」
「おい、引っ張るな。」
アレクは強引な所がある。そんなアレクに腕を捕まれ、そのまま騎士団の練習場まで来てしまった。
「ヴァランガ卿!」
練習場は広い。私も何回か来たことがあるが、多分ここが王宮にある、訓練施設の中で1番広いのではないだろうか。そこにいた30代程の男性の方に駆け寄っていった。
太陽に透けると輝く様に色が変わる銀の髪に金色の目が印象的な美丈夫がヴァランガ卿である。アレクの剣術の先生だ。
「アレクか。今日は少し遅いようだが…。」
「すみません。でも、今日はちょっとしたゲストを連れてきたんです!」
アレクは私をヴァランガ卿の前に引っ張った。
「すまん。アレクがどうしてもと言うから…」
「王太子殿下ではありませんか。いえ、大丈夫です。」
練習場には他の団員達もいた為、私が来たことにより周りが騒ぎ出す。
「それでなんですけど、今日はアルも一緒でお願いできませんか?」
「……あぁ、分かった。」
「ありがとうございます。」
アレクの唐突な提案にヴァランガ侯爵は顔色を変えず、私に向き直った。
「王太子殿下。私では不服かと思いますが、よろしく御願いします。」
「いきなり来たのは私の方だ。 こちらこそよろしく頼むよ。」
軽い笑みを向けた私にヴァランガ侯爵は丁寧に
お辞儀をした。
私はアレクの性格上何となく騎士団に向かうということで予感はしていたが、侯爵がここまであっさりと引き受けるとは思わなかった。
侯爵とはあまり関わりがなかった。
彼の騎士団長としての実績は確かだが、表情をあまり顔に出さないので、何を考えているのか分からない。
しかし、前に少しだけ顔色を変えたことがあった。丁度半年前、私の婚約者を決めるための見合いをするとなった時にヴァランガ侯爵の娘の名前が上がった。
その時は、他の令嬢達との見合いで疲れきっていたし、私を利用しようとする声を聞いたばかりで、父上にもう見合いはしないと断ったのだ。
その時に少しだけほっとしたような表情を浮かべていた。ヴァランガ侯爵の表情を崩したのはそれが最初で最後だ。
その日からちょくちょくアレクに連れられ、騎士団に行くようになり、ヴァランガ卿とは随分と親しくなった。
______________________________
それから1年程経ち、再び縁談やら見合いやらの話が持ち込まれた。だが私はあまり気が乗らなかった。
見え透いたお世辞や、顔色をうかがわれながら会話をしたりするのには耐えきれなかったからだ。
嘘で覆われた言葉など聞きたくはない。
「父上、以前にも見合いはお断りしたはずですが…」
「そう言うなアル。今回は見合いではない。茶会だ。」
「同じようなものだと思うのですが。」
「そうか…オリーが面白そうだと提案したんだが…」
オリーと言うのは母上の愛称である。
オリビアが名前だ。
父上と母上はお互いを子供の前でまで愛称で呼び合うほど仲がいい。そんな2人を少しだけ羨ましく思ってたこともある。
母上は面白いことが好きで、若い頃は結構やんちゃをしていたらしい。今はすっかり王妃が方についてきているが、やはり昔同様面白いことには首を突っ込みたがる。
そんな所が父上は好きだと胸をはって高らかに宣言するが子供の前でまで惚気はやめて欲しい。
そんな面白いこと好きの母上が提案したお茶会に父上も面白そうだと乗っかったのだ。
母上は1度言い出したら聞かない。
以前にも母上が提案してきた、自称《面白いこと》を私は嫌だと拒否していた所、私の部屋まで来て、やると言うまで物凄い勢いでの熱弁された。
「わかりました。母上が言うのでしたら。」
「そうか。ありがとうな、アル。」
相変わらず父上は母上には甘い。
そうしてお茶会ならぬ、母上が名付けた《一気にお見合い大作戦》が始まった。
母上のネーミングセンスだけは戴けないが…
______________________________
後書き
今回もお読み頂きありがとうございます(*´﹀`*)
本日から1週間に渡りまして連続更新致します。
1ヶ月お待たせ致しました。
1
あなたにおすすめの小説
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
愛されない王妃は、お飾りでいたい
夕立悠理
恋愛
──私が君を愛することは、ない。
クロアには前世の記憶がある。前世の記憶によると、ここはロマンス小説の世界でクロアは悪役令嬢だった。けれど、クロアが敗戦国の王に嫁がされたことにより、物語は終わった。
そして迎えた初夜。夫はクロアを愛せず、抱くつもりもないといった。
「イエーイ、これで自由の身だわ!!!」
クロアが喜びながらスローライフを送っていると、なんだか、夫の態度が急変し──!?
「初夜にいった言葉を忘れたんですか!?」
私は貴方を許さない
白湯子
恋愛
甘やかされて育ってきたエリザベータは皇太子殿下を見た瞬間、前世の記憶を思い出す。無実の罪を着させられ、最期には断頭台で処刑されたことを。
前世の記憶に酷く混乱するも、優しい義弟に支えられ今世では自分のために生きようとするが…。
夫に顧みられない王妃は、人間をやめることにしました~もふもふ自由なセカンドライフを謳歌するつもりだったのに、何故かペットにされています!~
狭山ひびき
恋愛
もう耐えられない!
隣国から嫁いで五年。一度も国王である夫から関心を示されず白い結婚を続けていた王妃フィリエルはついに決断した。
わたし、もう王妃やめる!
政略結婚だから、ある程度の覚悟はしていた。けれども幼い日に淡い恋心を抱いて以来、ずっと片思いをしていた相手から冷たくされる日々に、フィリエルの心はもう限界に達していた。政略結婚である以上、王妃の意思で離婚はできない。しかしもうこれ以上、好きな人に無視される日々は送りたくないのだ。
離婚できないなら人間をやめるわ!
王妃で、そして隣国の王女であるフィリエルは、この先生きていてもきっと幸せにはなれないだろう。生まれた時から政治の駒。それがフィリエルの人生だ。ならばそんな「人生」を捨てて、人間以外として生きたほうがましだと、フィリエルは思った。
これからは自由気ままな「猫生」を送るのよ!
フィリエルは少し前に知り合いになった、「廃墟の塔の魔女」に頼み込み、猫の姿に変えてもらう。
よし!楽しいセカンドラウフのはじまりよ!――のはずが、何故か夫(国王)に拾われ、ペットにされてしまって……。
「ふふ、君はふわふわで可愛いなぁ」
やめてえ!そんなところ撫でないで~!
夫(人間)妻(猫)の奇妙な共同生活がはじまる――
魅了魔法…?それで相思相愛ならいいんじゃないんですか。
iBuKi
恋愛
サフィリーン・ル・オルペウスである私がこの世界に誕生した瞬間から決まっていた既定路線。
クロード・レイ・インフェリア、大国インフェリア皇国の第一皇子といずれ婚約が結ばれること。
皇妃で将来の皇后でなんて、めっちゃくちゃ荷が重い。
こういう幼い頃に結ばれた物語にありがちなトラブル……ありそう。
私のこと気に入らないとか……ありそう?
ところが、完璧な皇子様に婚約者に決定した瞬間から溺愛され続け、蜂蜜漬けにされていたけれど――
絆されていたのに。
ミイラ取りはミイラなの? 気付いたら、皇子の隣には子爵令嬢が居て。
――魅了魔法ですか…。
国家転覆とか、王権強奪とか、大変な事は絡んでないんですよね?
いろいろ探ってましたけど、どうなったのでしょう。
――考えることに、何だか疲れちゃったサフィリーン。
第一皇子とその方が相思相愛なら、魅了でも何でもいいんじゃないんですか?
サクッと婚約解消のち、私はしばらく領地で静養しておきますね。
✂----------------------------
不定期更新です。
他サイトさまでも投稿しています。
10/09 あらすじを書き直し、付け足し?しました。
【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜
高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。
婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。
それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。
何故、そんな事に。
優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。
婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。
リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。
悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。
【完結】愛されないと知った時、私は
yanako
恋愛
私は聞いてしまった。
彼の本心を。
私は小さな、けれど豊かな領地を持つ、男爵家の娘。
父が私の結婚相手を見つけてきた。
隣の領地の次男の彼。
幼馴染というほど親しくは無いけれど、素敵な人だと思っていた。
そう、思っていたのだ。
偽聖女として私を処刑したこの世界を救おうと思うはずがなくて
奏千歌
恋愛
【とある大陸の話①:月と星の大陸】
※ヒロインがアンハッピーエンドです。
痛めつけられた足がもつれて、前には進まない。
爪を剥がされた足に、力など入るはずもなく、その足取りは重い。
執行官は、苛立たしげに私の首に繋がれた縄を引いた。
だから前のめりに倒れても、後ろ手に拘束されているから、手で庇うこともできずに、処刑台の床板に顔を打ち付けるだけだ。
ドッと、群衆が笑い声を上げ、それが地鳴りのように響いていた。
広場を埋め尽くす、人。
ギラギラとした視線をこちらに向けて、惨たらしく殺される私を待ち望んでいる。
この中には、誰も、私の死を嘆く者はいない。
そして、高みの見物を決め込むかのような、貴族達。
わずかに視線を上に向けると、城のテラスから私を見下ろす王太子。
国王夫妻もいるけど、王太子の隣には、王太子妃となったあの人はいない。
今日は、二人の婚姻の日だったはず。
婚姻の禍を祓う為に、私の処刑が今日になったと聞かされた。
王太子と彼女の最も幸せな日が、私が死ぬ日であり、この大陸に破滅が決定づけられる日だ。
『ごめんなさい』
歓声をあげたはずの群衆の声が掻き消え、誰かの声が聞こえた気がした。
無機質で無感情な斧が無慈悲に振り下ろされ、私の首が落とされた時、大きく地面が揺れた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる