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第二章
48. 精霊を頼りに -悪魔視点-
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『こっちーーー』
精霊が飛んでいく方へ一直線について行った。
主の命は自分の命より重いことを掟から学んでいたが、嘘だと信じはしなかった。
けれど、自身の主と契約を結び実感した。
それは驚くほどに心地の良いもので、宙に浮いていた足が地に着くような思いだった。
何よりも大切なもののため、全力で駆けていく。
『ここにいるのー』
精霊の1人が森を指すのと同時に青白い光が辺りを覆い尽くした。
それをきっかけに精霊たちが慌ただしくし始める。
大きく激しい風が光に巻き込まれるように吹いていた。
『きゃー』
『きゃー』
『たすけてーー』
近くにいた精霊たちは俺の裾にぎゅっと捕まり、風に吸い込まれないように必死に縋り付く。
その光の圧力は尋常ではなく、足を思い切り踏ん張らないと、俺自身も立っていられなかった。
「姫さんっ!!!!」
精霊が指したのは間違いなく青白い光の柱が立っている方面であった。
無事でいてくれ。
そう願うしか他なかった。
光の柱が小さくなっていき、収まるとあたりは何も無かったかのように静寂と化した。
姫さんの元に早く行くために木の枝を足場にし、道無き道を突き進む。
急いで向かうと、そこには姫さんを抱えた、姫さんよりも少し年齢を重ねた男の子が姫さんを大事そうに抱えていた。
音が出ないようその場に留まる。
枝の上でバランスを崩さないよう木の大元の幹に手を付き屈んだ。
遠目ではあるが、姫さんの腹部が上下しているところを見ると規則正しく息をしていることが分かる。
月の光に照らされ、姫さんを抱えている男の子は、見慣れた金髪であると認識した。
いつも姫さんを大切そうに見るのは嘘じゃないことをよく知っている。
ガサッ
森から来る人影に、身体が無意識に臨戦態勢を取る。
「遅い。」
王太子が何やらぶっきらぼうにその男に言った。
幸いにも声は聞こえる距離のようだ。
「申し訳ございません。ですが…いえ、こちらの不手際です。」
男は口を濁した。きっとあの光の柱のせいだろう。近づくと今にも吸い込まれそうだったしな。
あの光はきっと魔力で出来たものだろう。魔力の引力が凄まじく、あれ以上近づくのは、誰であろうと危険だ。最悪、命を落としかねないものだった。
腕1本ですめばいいほうだろうな…
「もういい。帰ろう。リリの治療がしたい。」
王太子がそう告げる。
行先は姫さんの家か、はたまた王宮か…
あの王太子のことだから、
きっと王宮だろうな____
そう踏み、一足先に王宮に向かうことにする。
「王宮か…忍び込むにはちと手間がかかりそうだな~」
音を立てないように別の枝に乗り移り、来た道を戻る。
「てかあの王太子、どうやって姫さん見つけたんだ?まぁ、いいか…主を守るのにも数が多い方がいいしな。」
枝から降り、街の方へと走り出す。
「さてと、王宮に向かいますか。」
その独り言に反応するのはさっきまで俺にすがりついていた精霊達であった。
『おーきゅー?』
『おーきゅーってなぁに?』
『ねぇ、しってる?』
後ろで王宮とはなにかを精霊同士で聞きあっている。そのざわめきが段々と大きくなるものだから、精霊達にもわかりやすいように答えてやる
「あー、まぁ、偉い人が住むところだな。」
『えらいひと?』
『おうさま?』
『えまさま、みたいなってこと?』
“えまさま”というものがなんだかわからないが、適当に受け流す。
「あぁ、そういうこと。」
『ふーん。』
全体に王宮とは何かが共有されたのか、周りは静かになる。
王宮には魔法の探知機が城を囲む城門に設置してある。それは城を守るようにドーム状になっており、上からだろうと下からだろうと、侵入者が入ると警報が響く。
「んじゃ、ちょっくら、よっと」
魔法の探知機と同じ魔力で自分の周りを囲む。
人が魔力の間に入ると魔力の繋がりが切断される。魔力探知機はそれの応用であるため、魔力探知機の魔力を自分のものとしてしまえば、切断もされないため作動しないと言うわけだ。
魔力をものとしてしまえば、意外と簡単であるため、警備大丈夫か?と心配になったりもする。
まぁ、空から落ちるように入ってくるやつは俺くらいしかいないだろうけど……
ちなみに精霊は無機物と判断されるのかなんなのかよく分からないが通れるらしい…
すいすいと楽しそうに結界の間を行ったり来たりする精霊を見るとなんとも言えない気持ちになる。
「んじゃ、まあ、姫さんを探しますか。」
呼吸には問題がなさそうであったし、目に見える傷は痛々しいものではあったが、命に関わるものはないように思えた。
見えないところの傷はなんとも言えないが____
どうか、少しでも……
そう思いながら足を進めた。
精霊が飛んでいく方へ一直線について行った。
主の命は自分の命より重いことを掟から学んでいたが、嘘だと信じはしなかった。
けれど、自身の主と契約を結び実感した。
それは驚くほどに心地の良いもので、宙に浮いていた足が地に着くような思いだった。
何よりも大切なもののため、全力で駆けていく。
『ここにいるのー』
精霊の1人が森を指すのと同時に青白い光が辺りを覆い尽くした。
それをきっかけに精霊たちが慌ただしくし始める。
大きく激しい風が光に巻き込まれるように吹いていた。
『きゃー』
『きゃー』
『たすけてーー』
近くにいた精霊たちは俺の裾にぎゅっと捕まり、風に吸い込まれないように必死に縋り付く。
その光の圧力は尋常ではなく、足を思い切り踏ん張らないと、俺自身も立っていられなかった。
「姫さんっ!!!!」
精霊が指したのは間違いなく青白い光の柱が立っている方面であった。
無事でいてくれ。
そう願うしか他なかった。
光の柱が小さくなっていき、収まるとあたりは何も無かったかのように静寂と化した。
姫さんの元に早く行くために木の枝を足場にし、道無き道を突き進む。
急いで向かうと、そこには姫さんを抱えた、姫さんよりも少し年齢を重ねた男の子が姫さんを大事そうに抱えていた。
音が出ないようその場に留まる。
枝の上でバランスを崩さないよう木の大元の幹に手を付き屈んだ。
遠目ではあるが、姫さんの腹部が上下しているところを見ると規則正しく息をしていることが分かる。
月の光に照らされ、姫さんを抱えている男の子は、見慣れた金髪であると認識した。
いつも姫さんを大切そうに見るのは嘘じゃないことをよく知っている。
ガサッ
森から来る人影に、身体が無意識に臨戦態勢を取る。
「遅い。」
王太子が何やらぶっきらぼうにその男に言った。
幸いにも声は聞こえる距離のようだ。
「申し訳ございません。ですが…いえ、こちらの不手際です。」
男は口を濁した。きっとあの光の柱のせいだろう。近づくと今にも吸い込まれそうだったしな。
あの光はきっと魔力で出来たものだろう。魔力の引力が凄まじく、あれ以上近づくのは、誰であろうと危険だ。最悪、命を落としかねないものだった。
腕1本ですめばいいほうだろうな…
「もういい。帰ろう。リリの治療がしたい。」
王太子がそう告げる。
行先は姫さんの家か、はたまた王宮か…
あの王太子のことだから、
きっと王宮だろうな____
そう踏み、一足先に王宮に向かうことにする。
「王宮か…忍び込むにはちと手間がかかりそうだな~」
音を立てないように別の枝に乗り移り、来た道を戻る。
「てかあの王太子、どうやって姫さん見つけたんだ?まぁ、いいか…主を守るのにも数が多い方がいいしな。」
枝から降り、街の方へと走り出す。
「さてと、王宮に向かいますか。」
その独り言に反応するのはさっきまで俺にすがりついていた精霊達であった。
『おーきゅー?』
『おーきゅーってなぁに?』
『ねぇ、しってる?』
後ろで王宮とはなにかを精霊同士で聞きあっている。そのざわめきが段々と大きくなるものだから、精霊達にもわかりやすいように答えてやる
「あー、まぁ、偉い人が住むところだな。」
『えらいひと?』
『おうさま?』
『えまさま、みたいなってこと?』
“えまさま”というものがなんだかわからないが、適当に受け流す。
「あぁ、そういうこと。」
『ふーん。』
全体に王宮とは何かが共有されたのか、周りは静かになる。
王宮には魔法の探知機が城を囲む城門に設置してある。それは城を守るようにドーム状になっており、上からだろうと下からだろうと、侵入者が入ると警報が響く。
「んじゃ、ちょっくら、よっと」
魔法の探知機と同じ魔力で自分の周りを囲む。
人が魔力の間に入ると魔力の繋がりが切断される。魔力探知機はそれの応用であるため、魔力探知機の魔力を自分のものとしてしまえば、切断もされないため作動しないと言うわけだ。
魔力をものとしてしまえば、意外と簡単であるため、警備大丈夫か?と心配になったりもする。
まぁ、空から落ちるように入ってくるやつは俺くらいしかいないだろうけど……
ちなみに精霊は無機物と判断されるのかなんなのかよく分からないが通れるらしい…
すいすいと楽しそうに結界の間を行ったり来たりする精霊を見るとなんとも言えない気持ちになる。
「んじゃ、まあ、姫さんを探しますか。」
呼吸には問題がなさそうであったし、目に見える傷は痛々しいものではあったが、命に関わるものはないように思えた。
見えないところの傷はなんとも言えないが____
どうか、少しでも……
そう思いながら足を進めた。
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