100 / 740
第一部 人質から始まる物語
第99話 続 勘違いお姫様
しおりを挟む
帝国歴519年4月中旬。
シルヴィアは、帝都の市場通りを歩いていた。
いつもの歩き方で背筋がスッと伸びてキビキビと歩くが、頭の中はモヤモヤと悩み中である。
「さて、どうしましょうか。フュンの誕生日が近いです・・・彼ももう19歳ですよ。何を買ってあげればいいのでしょう」
彼女は愛しき人への誕生日の贈り物を選びに、市場通りに来ていたのだ。
ちなみにフュンの誕生日は5月5日である。
「何が良いのでしょうか……彼は本当に物欲がありません。何が欲しいとか。そういうものがありませんからね」
そうなのだ。
フュンは物に執着しないが、物は大切に扱う。
だから何をあげても喜びはするだろうが、何か特別な感じを出せないのだ。
「はぁ。困りましたね。彼の事は大好きですが、そこだけはあまり好きなところではありませんね。ちょっとは我儘になって欲しいです。私に甘えてほしいものですね・・・ほんとうに・・・」
お姉さんの部分が少しだけ垣間見えるシルヴィアであった。
◇
通りを歩いていると、調味料店の店先でフュンを見かけた。
あ!
と思ったシルヴィアは声を掛けようと思ったが、躊躇する。
それは何故か。
彼がこうなっていたからだ。
「ああ。リリンさんじゃないですか。あれ、クランさんも一緒だったんですか。お二人が揃うなんて珍しいですね。お店違うのに……」
「あら、こんなところに若旦那だわ。偶然ね。ここで会ったのも何かの縁、一つ付き合ってくださる」
「あ、ずるい。リリンだけずるい。私もぉ」
「いいですよ。お茶しましょうよ」
「やったぁ。若旦那と一緒!」
「私もいるからね。リリン駄目よ。独り占めは」
「いや、僕。物じゃないですし。独り占めって・・」
「いいの。今日のあなたは私のものよぉ。若旦那ぁ」
「いやいや。ちょっと。あ、ちょっとちょっと」
フュンはリリンに腕を掴まれて、そのたわわな胸の隣でロックされた。
そして反対側の腕もクランにロックされて、こちらも大きな二つの山の中に納まった。
「足が速いですよぉ。お二人とも」
「いいの。若旦那とお茶なんて早々出来ないからね。早く行きましょ」
「そうよ。フュン様は乗客が来るよりもレアなんですから」
色香が漂う二人の女性に連れ去られるフュンを見たシルヴィアは・・・。
「な、なんですか。あの女どもは!? 私のフュンに。色目を!!!」
気配断ちを全力で行ない、フュンたちの後をつけたのである。
◇
カフェに到着した三人は、外のテラス席でお茶をする。
その遠めの位置でシルヴィアは怒気を帯びた気配断ちを実行していた。
これはすぐに見つかるだろう・・・。
普通に怒っていては気配断ちも意味がない。
「若旦那ぁ。どうしてあんなところに?」
「ああ。あれは偶然立ち寄ったんですよ。スープでも改良しようかなって」
「へぇ。フュン様。スープってどんなのを作る気だったの」
「僕って結構料理をするんですよ。それで何かアレンジをしたくてですね。お店に入ろうかなぁって」
「え、そうだったの。若旦那やるわね。料理男子はポイント高いのよ」
「そうなんですね。知らなかったぁ。いつも知らないことを教えてくれてありがとうございます」
彼女たちの目を見て話す彼はとても紳士だ。
それは何故か、ここのテラス席が見える場所を通る男どもが、彼女らの容姿を見て鼻の下を伸ばしているのだ。
大きく胸の開いた服に、綺麗な生足が見えている格好の二人は、明らかに男を誘っている。
これを見たら、ほいほいと釣られていきそうになるのが、男というものなのに、フュンにはまったくそれらが効かない。
普通の女性と会話するように話をしていた。
フュンは容姿をみない。相手の目と心を見る男だからである。
「フュン様。もうちょっと私のお店に来てくれないの。寂しいわよ。私たち」
「クランさんのお店ですか。あそこはちょっとね。派手ですからね。表だっては行けませんよね。サティ様がいないと」
「じゃあ、うちのお店は」
「いや、リリンさんのお店だって同じじゃないですか。あそこも落ち着かないですよ。僕、お客じゃないし。他の男の人とかに悪い気がしますしね。ああいう所で顔を合わせるのってなんか悪い気がしますからね」
「ええ。じゃあ、今度。私を買ってよ。私、サービスするよ。ほんと! いつものお礼もこめて。た~~ぷり」
「いえいえ。僕はああいう事はしませんから」
「ええ、なんで。フュン様・・まさか、男好きだったの」
「いえ! 僕は女性が好きですよ。ただああいうのは愛する人とがいいのです」
「・・・それじゃあ、私たちみたいなのは駄目って事ね。一夜の恋を楽しむ女なんてね」
「いや、あなたたちが魅力が無いとは言ってませんよ。僕は、あなたたちを否定してませんよ。お二人はとても魅力的なんです。それは間違いない。とっても綺麗ですもん。でも僕はもう好きな人がいますから、その人に悪いと思っているだけです」
「あら。若旦那。思い人がいるのね・・・でも一夜ならいいでしょ」
「あははは。一夜も許したら、僕は殺されそうなので、ご勘弁を・・・僕の好きな人は嫉妬深いと思うので・・・ええ、許してください。あ、でも。こうしてお茶はしましょうよ。情報交換も兼ねて。たまにね」
「それは嬉しいけど・・・そうね残念ね・・・でもフュン様と一回だけでも」
「私だって負けないわよ。二回くらい」
「あれ。僕、断ってるのに諦めてない・・・あれぇ?!?」
「「うふふふふ」」
からかわれているフュンと話をしているのはリリンとクラン。
花街の娼婦である。
ローズベルというお店の看板娘のリリンとマリネルというお店の看板娘のクラン。
両方ともナンバーワンの嬢である。
彼女たちと知り合ったのは、サティからの紹介。
なぜサティが彼女らを紹介したのかというと、お肌に関してである。
客商売で忙しい彼女らのステータスの一つに、容姿があるが、その中でも肌は重要点。
かさつかないモチモチの綺麗な肌は男性にも受けが良いし、自分たちにとっても嬉しい事。
夜が主戦場となる娼婦は肌が荒れやすいのだが、フュンが開発したクリームのおかげでこの二つのお店の女の子たちは肌が荒れていないのだ。
肌が荒れやすい女性も良くするクリームなんて、売れ行きに拍車がかかるだろうとの魂胆がサティにはあったのだ。
サティは、ジークよりも商売上手な女性である。
「それじゃあ、手を見せてもらってもいいですか?」
「え。いいわよ。若旦那。どうぞ・・・・これでどう。私としたくなった」
冗談を言うリリンに、ほぼ聞いていないフュンは彼女の手を診断していた。
「綺麗ですね・・・もともとリリンさんが綺麗なのも相まって、かなり美しいですよ」
「あら、嬉しいわ。若旦那は口が上手いものね」
「え? いや、僕は正直に言っているだけで・・・」
「じゃあ、私もどう。フュン様ぁ」
「え。そうですね。はい・・・おお。そういえば、ここにあったシミ、消えてますね。お困りでしたものね。よかったですね」
クランの鎖骨の上にあった小さなシミが消えていた。
フュンは医学的に女性の体をよく診察するので、厭らしい眼では見ないし、治ってるかどうかを確認するのにも、典型的な症例はよく覚えているのである。
「まあ、覚えててくれたの。どう、ここ触ってよ。綺麗でしょ・・・・ね! フュン様。今晩どうですか」
「あ、諦めていないじゃないですか。ちょっとぉ」
「はいはい。ごめんなさいね。フュン様が可愛いからついついね。他の男どもとは違う反応だからね。面白いのよ。普通の彼氏ってこんな反応なのかしらね」
「わっかるわ~。それとてもよく分かる。男どもは皆。すぐに私たちの体をなめ回すように見るものね。つまらない反応よね」
「そうなの。その点、フュン様は色目に負けないし、言い返してくるし。でも褒めてくれるし。面白いわ。私、こういう人に身を捧げたいわ。一度でもいいからね」
「そうなんですかね。僕って面白いんですかね・・・よく分かりませんね。あ、でもお二人の肌が綺麗になって嬉しいですよ。お二人とも凄くお綺麗です」
「まあ、嬉しいわね」
「そうね。フュン様はいつも褒めてくれて・・・ありがとう」
二人が喜んでいるとフュンも喜ぶ。
誰かが喜んでくれるのが一番の喜びなのだ。
「ええ。僕もありがとうございます。お二人が笑顔ですからね…あ、そうだ。あとで皆さんにも新作改良版クリームをお渡しするので。量産出来たら後でお店に持って行きますね。今度は手が綺麗になるんですよ。お二人が教えてくれたから、作れましたよぉ」
「あら、ほんと。楽しみぃ」
「皆にも知らせなきゃ。フュン様が来るって・・・お店の子全員起きるわね」
「え。そんなことしなくても……ただお邪魔するだけですよ」
「ええ。だって若旦那。一番人気よ。指名してくれないけど」
「そうよ。私のお店でもそうよ。指名してくれないけど」
「はぁ。それって遠回しに指名しろって言ってますよね」
「「うん」」
美女二人に迫られるフュンは強引な勧誘に困ったのでした。
そこから半分冗談ばかりで攻められるフュンは二人と会話を楽しんでお茶をしたのでした。
◇
それが終わった後。
シルヴィアは……。
「はぁ。フュンはああやって色んな女性に迫られていたのですね……人気があったんですね……こ、これは。ま、負けていられません。私も誘惑しなければならないのですね・・・まずいです。私、口づけもされたことがありません・・・・これはあとで、サティ姉様と作戦を考えねば。どうすればいいのでしょう」
見当違いの考えに至っていた。
シルヴィアが別に色気づかなくても、フュンはシルヴィアに魅力を感じているのである。
それにフュンが彼女に口づけすらしていないのは、魅力がないからじゃない。
彼はまだ属国の王子だからだ。
辺境伯にもなれない自分では、彼女に悪いと思って、遠慮して手を出さないのだ。
そんな気も知らないで彼女は別な勘違いをしていたのだった。
いい加減。彼は心を見る男なのだから安心しなさいと誰かが言ってあげた方が良いだろう。
ジークかサティが教えない限り、彼女は気付かないのであろう・・・。
シルヴィアは、帝都の市場通りを歩いていた。
いつもの歩き方で背筋がスッと伸びてキビキビと歩くが、頭の中はモヤモヤと悩み中である。
「さて、どうしましょうか。フュンの誕生日が近いです・・・彼ももう19歳ですよ。何を買ってあげればいいのでしょう」
彼女は愛しき人への誕生日の贈り物を選びに、市場通りに来ていたのだ。
ちなみにフュンの誕生日は5月5日である。
「何が良いのでしょうか……彼は本当に物欲がありません。何が欲しいとか。そういうものがありませんからね」
そうなのだ。
フュンは物に執着しないが、物は大切に扱う。
だから何をあげても喜びはするだろうが、何か特別な感じを出せないのだ。
「はぁ。困りましたね。彼の事は大好きですが、そこだけはあまり好きなところではありませんね。ちょっとは我儘になって欲しいです。私に甘えてほしいものですね・・・ほんとうに・・・」
お姉さんの部分が少しだけ垣間見えるシルヴィアであった。
◇
通りを歩いていると、調味料店の店先でフュンを見かけた。
あ!
と思ったシルヴィアは声を掛けようと思ったが、躊躇する。
それは何故か。
彼がこうなっていたからだ。
「ああ。リリンさんじゃないですか。あれ、クランさんも一緒だったんですか。お二人が揃うなんて珍しいですね。お店違うのに……」
「あら、こんなところに若旦那だわ。偶然ね。ここで会ったのも何かの縁、一つ付き合ってくださる」
「あ、ずるい。リリンだけずるい。私もぉ」
「いいですよ。お茶しましょうよ」
「やったぁ。若旦那と一緒!」
「私もいるからね。リリン駄目よ。独り占めは」
「いや、僕。物じゃないですし。独り占めって・・」
「いいの。今日のあなたは私のものよぉ。若旦那ぁ」
「いやいや。ちょっと。あ、ちょっとちょっと」
フュンはリリンに腕を掴まれて、そのたわわな胸の隣でロックされた。
そして反対側の腕もクランにロックされて、こちらも大きな二つの山の中に納まった。
「足が速いですよぉ。お二人とも」
「いいの。若旦那とお茶なんて早々出来ないからね。早く行きましょ」
「そうよ。フュン様は乗客が来るよりもレアなんですから」
色香が漂う二人の女性に連れ去られるフュンを見たシルヴィアは・・・。
「な、なんですか。あの女どもは!? 私のフュンに。色目を!!!」
気配断ちを全力で行ない、フュンたちの後をつけたのである。
◇
カフェに到着した三人は、外のテラス席でお茶をする。
その遠めの位置でシルヴィアは怒気を帯びた気配断ちを実行していた。
これはすぐに見つかるだろう・・・。
普通に怒っていては気配断ちも意味がない。
「若旦那ぁ。どうしてあんなところに?」
「ああ。あれは偶然立ち寄ったんですよ。スープでも改良しようかなって」
「へぇ。フュン様。スープってどんなのを作る気だったの」
「僕って結構料理をするんですよ。それで何かアレンジをしたくてですね。お店に入ろうかなぁって」
「え、そうだったの。若旦那やるわね。料理男子はポイント高いのよ」
「そうなんですね。知らなかったぁ。いつも知らないことを教えてくれてありがとうございます」
彼女たちの目を見て話す彼はとても紳士だ。
それは何故か、ここのテラス席が見える場所を通る男どもが、彼女らの容姿を見て鼻の下を伸ばしているのだ。
大きく胸の開いた服に、綺麗な生足が見えている格好の二人は、明らかに男を誘っている。
これを見たら、ほいほいと釣られていきそうになるのが、男というものなのに、フュンにはまったくそれらが効かない。
普通の女性と会話するように話をしていた。
フュンは容姿をみない。相手の目と心を見る男だからである。
「フュン様。もうちょっと私のお店に来てくれないの。寂しいわよ。私たち」
「クランさんのお店ですか。あそこはちょっとね。派手ですからね。表だっては行けませんよね。サティ様がいないと」
「じゃあ、うちのお店は」
「いや、リリンさんのお店だって同じじゃないですか。あそこも落ち着かないですよ。僕、お客じゃないし。他の男の人とかに悪い気がしますしね。ああいう所で顔を合わせるのってなんか悪い気がしますからね」
「ええ。じゃあ、今度。私を買ってよ。私、サービスするよ。ほんと! いつものお礼もこめて。た~~ぷり」
「いえいえ。僕はああいう事はしませんから」
「ええ、なんで。フュン様・・まさか、男好きだったの」
「いえ! 僕は女性が好きですよ。ただああいうのは愛する人とがいいのです」
「・・・それじゃあ、私たちみたいなのは駄目って事ね。一夜の恋を楽しむ女なんてね」
「いや、あなたたちが魅力が無いとは言ってませんよ。僕は、あなたたちを否定してませんよ。お二人はとても魅力的なんです。それは間違いない。とっても綺麗ですもん。でも僕はもう好きな人がいますから、その人に悪いと思っているだけです」
「あら。若旦那。思い人がいるのね・・・でも一夜ならいいでしょ」
「あははは。一夜も許したら、僕は殺されそうなので、ご勘弁を・・・僕の好きな人は嫉妬深いと思うので・・・ええ、許してください。あ、でも。こうしてお茶はしましょうよ。情報交換も兼ねて。たまにね」
「それは嬉しいけど・・・そうね残念ね・・・でもフュン様と一回だけでも」
「私だって負けないわよ。二回くらい」
「あれ。僕、断ってるのに諦めてない・・・あれぇ?!?」
「「うふふふふ」」
からかわれているフュンと話をしているのはリリンとクラン。
花街の娼婦である。
ローズベルというお店の看板娘のリリンとマリネルというお店の看板娘のクラン。
両方ともナンバーワンの嬢である。
彼女たちと知り合ったのは、サティからの紹介。
なぜサティが彼女らを紹介したのかというと、お肌に関してである。
客商売で忙しい彼女らのステータスの一つに、容姿があるが、その中でも肌は重要点。
かさつかないモチモチの綺麗な肌は男性にも受けが良いし、自分たちにとっても嬉しい事。
夜が主戦場となる娼婦は肌が荒れやすいのだが、フュンが開発したクリームのおかげでこの二つのお店の女の子たちは肌が荒れていないのだ。
肌が荒れやすい女性も良くするクリームなんて、売れ行きに拍車がかかるだろうとの魂胆がサティにはあったのだ。
サティは、ジークよりも商売上手な女性である。
「それじゃあ、手を見せてもらってもいいですか?」
「え。いいわよ。若旦那。どうぞ・・・・これでどう。私としたくなった」
冗談を言うリリンに、ほぼ聞いていないフュンは彼女の手を診断していた。
「綺麗ですね・・・もともとリリンさんが綺麗なのも相まって、かなり美しいですよ」
「あら、嬉しいわ。若旦那は口が上手いものね」
「え? いや、僕は正直に言っているだけで・・・」
「じゃあ、私もどう。フュン様ぁ」
「え。そうですね。はい・・・おお。そういえば、ここにあったシミ、消えてますね。お困りでしたものね。よかったですね」
クランの鎖骨の上にあった小さなシミが消えていた。
フュンは医学的に女性の体をよく診察するので、厭らしい眼では見ないし、治ってるかどうかを確認するのにも、典型的な症例はよく覚えているのである。
「まあ、覚えててくれたの。どう、ここ触ってよ。綺麗でしょ・・・・ね! フュン様。今晩どうですか」
「あ、諦めていないじゃないですか。ちょっとぉ」
「はいはい。ごめんなさいね。フュン様が可愛いからついついね。他の男どもとは違う反応だからね。面白いのよ。普通の彼氏ってこんな反応なのかしらね」
「わっかるわ~。それとてもよく分かる。男どもは皆。すぐに私たちの体をなめ回すように見るものね。つまらない反応よね」
「そうなの。その点、フュン様は色目に負けないし、言い返してくるし。でも褒めてくれるし。面白いわ。私、こういう人に身を捧げたいわ。一度でもいいからね」
「そうなんですかね。僕って面白いんですかね・・・よく分かりませんね。あ、でもお二人の肌が綺麗になって嬉しいですよ。お二人とも凄くお綺麗です」
「まあ、嬉しいわね」
「そうね。フュン様はいつも褒めてくれて・・・ありがとう」
二人が喜んでいるとフュンも喜ぶ。
誰かが喜んでくれるのが一番の喜びなのだ。
「ええ。僕もありがとうございます。お二人が笑顔ですからね…あ、そうだ。あとで皆さんにも新作改良版クリームをお渡しするので。量産出来たら後でお店に持って行きますね。今度は手が綺麗になるんですよ。お二人が教えてくれたから、作れましたよぉ」
「あら、ほんと。楽しみぃ」
「皆にも知らせなきゃ。フュン様が来るって・・・お店の子全員起きるわね」
「え。そんなことしなくても……ただお邪魔するだけですよ」
「ええ。だって若旦那。一番人気よ。指名してくれないけど」
「そうよ。私のお店でもそうよ。指名してくれないけど」
「はぁ。それって遠回しに指名しろって言ってますよね」
「「うん」」
美女二人に迫られるフュンは強引な勧誘に困ったのでした。
そこから半分冗談ばかりで攻められるフュンは二人と会話を楽しんでお茶をしたのでした。
◇
それが終わった後。
シルヴィアは……。
「はぁ。フュンはああやって色んな女性に迫られていたのですね……人気があったんですね……こ、これは。ま、負けていられません。私も誘惑しなければならないのですね・・・まずいです。私、口づけもされたことがありません・・・・これはあとで、サティ姉様と作戦を考えねば。どうすればいいのでしょう」
見当違いの考えに至っていた。
シルヴィアが別に色気づかなくても、フュンはシルヴィアに魅力を感じているのである。
それにフュンが彼女に口づけすらしていないのは、魅力がないからじゃない。
彼はまだ属国の王子だからだ。
辺境伯にもなれない自分では、彼女に悪いと思って、遠慮して手を出さないのだ。
そんな気も知らないで彼女は別な勘違いをしていたのだった。
いい加減。彼は心を見る男なのだから安心しなさいと誰かが言ってあげた方が良いだろう。
ジークかサティが教えない限り、彼女は気付かないのであろう・・・。
55
あなたにおすすめの小説
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
異世界をスキルブックと共に生きていく
大森 万丈
ファンタジー
神様に頼まれてユニークスキル「スキルブック」と「神の幸運」を持ち異世界に転移したのだが転移した先は海辺だった。見渡しても海と森しかない。「最初からサバイバルなんて難易度高すぎだろ・・今着てる服以外何も持ってないし絶対幸運働いてないよこれ、これからどうしよう・・・」これは地球で平凡に暮らしていた佐藤 健吾が死後神様の依頼により異世界に転生し神より授かったユニークスキル「スキルブック」を駆使し、仲間を増やしながら気ままに異世界で暮らしていく話です。神様に貰った幸運は相変わらず仕事をしません。のんびり書いていきます。読んで頂けると幸いです。
雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜
霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!!
「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」
回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。
フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。
しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを……
途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。
フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。
フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった……
これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である!
(160話で完結予定)
元タイトル
「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
《作者からのお知らせ!》
※2025/11月中旬、 辺境領主の3巻が刊行となります。
今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。
【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん!
※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。
この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。
ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。
少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。
更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。
そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。
少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。
どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。
少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。
冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。
すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く…
果たして、その可能性とは⁉
HOTランキングは、最高は2位でした。
皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°.
でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる