悪役令嬢の腰巾着で婚約者に捨てられ断罪される役柄だと聞いたのですが、覚悟していた状況と随分違います。

夏笆(なつは)

文字の大きさ
29 / 136

29.焼却炉事件勃発、のようです。

しおりを挟む
 

 

 

 色々あったけれど、激烈桃色さんは改めてAクラスに在籍ということに正式に決まった。 

 『現時点の実力でAクラスは大変厳しいとは思うが、そう何度もひとりだけ特別に編入させるわけにはいかない』という学園の判断だったと言うことだけれど、激烈桃色さんはとても嬉しそうだった。 

 

 パトリックさまやアーサーさまと一緒にいられるから、よね。 

  

 思えば私は複雑で、何となく落ち着かない気持ちになる。 

 それでも、激烈桃色さんの現状を考えれば、誰かが一緒に勉強した方がいいのかな、なんて思い、だからと言ってパトリックさまが激烈桃色さんの勉強をみて、そのうち恋に落ちて、などということになったらどうしよう、と私はひとり悶々としてしまった。 

 パトリックさまは優しいし、教え方もうまい。 

 自分の知っていることを相手が知らなくても絶対馬鹿にしたりしないで、きちんと判るように説明してくれる。 

 だから、もしも激烈桃色さんがパトリックさまと一緒に勉強することになれば、もっとパトリックさまに惹かれてしまう、と案じていたら、激烈桃色さんは先生が特別補講をすることに決まった。 

 良かった、と思ってしまった私は、心が狭いと思う。 

 それでも、『絶対、私以外に夢中になんかさせない』と言えるほど自分に自信のない私は、思わずため息を吐きそうになりながら、今、放課後の図書室で返却された本を本棚に戻す作業をしている。 

「あら?ウィリアムから?何かあったのかしら」 

 すると、一匹の紅の蝶が真っすぐに私へと飛んで来るのが見え、私は首を傾げた。 

 きれいな紅のその蝶は、ウィリアムの連絡蝶。 

 連絡蝶は、風魔法を扱う人たちが使う連絡手段で、蝶に自分のメッセージを乗せて相手に伝えるというもの。 

 というよりは、蝶が自分のメッセージの形なのだ、と風を使うひとは言うけれど、残念ながら風魔法を扱えない私には感覚で理解することが出来ない。 

 他のひとに見られることなく、相手に真っすぐ届くのが特徴、と言われるその蝶が私の前まで到達して止まったので、私はそっと両手を上向けた。 

『緊急事態だ。すまないが、今すぐ教室まで戻って欲しい』 

 そして確認したメッセージに驚いて、急ぎ一緒に作業していた先輩を探して事情を話せば、幸い戻すべき本はすべて戻し終えていたし、既に閉館時間で後は戸締まりのみなので構わない、と快く許可してくれた。 

『いいから早く戻りなさい。何かあったら相談してね』 

『気を付けて行けよ』 

 ありがたくもそう言って送り出してくれた先輩方にお礼を言って、急ぎ教室へ戻った私は、放課後だというのにたくさんのひとが残っている教室の中央で、激烈桃色さんが何かを訴えている姿を見つけた。 

「遅くなってすみません。何があったのですか?」 

 言いながら教室へ入れば、皆さんが困ったような顔で教室の中央へと視線を投げる。 

「それで、マークルさん。教科書がなくなったのは確かなのね?」 

 アイビィさんが尋ねると、激烈桃色さんは勢いよく頷いた。 

「確かよ!なんであたしを疑うの!?」 

「貴女を疑うわけではありません。ですが、それがどうしてローズマリー様とリリー様のせいになるのですか?」 

「だって、リリーとローズマリーが犯人だから!」 

 アイビィさんの言葉にぎょっとして思わず周りを見れば、皆さん呆れた様子で肩を竦める。 

「ローズマリー。ごめんなさいね、これはあの物語の一場面よ。だからマークルさんは、あのようなことを。でもわたくし、まだアーサー様に物語のことをお話ししていないの」 

 リリーさまが傍に来て、そっと私の手を握り、小さな声で呟いた。 

 ということは、今回のこれは恐らく、聞いていた物語の『焼却炉で教科書を燃やす』という場面で、アーサーさまはそのことをまだご存じない、ということ。 

「大丈夫です」 

 不安そうなリリーさまの手を握り返し、アーサーさまにお話しできていなくとも無理はない、と私はこくりと頷いた。 

「放課後、ジョージとふたりで楽しく掃除をしていたら突然『教科書がなくなった、ローズマリーとリリーが犯人だ』と、マークルさんがわめき始めたのですわ。でも安心してください。誰も信じていませんから」 

「そうですよ。いつもの虚言だと分かっています。僕らクラス全員、彼女の虚言の証言者のつもりでここにいるのです」 

 呆れたように言う、アイリスさんヘレフォードさまの美化委員コンビ。 

「お掃除、いつもありがとうございます」 

 その手にある掃除用具を見て、おふたりは放課後の掃除をしていてくださったのだ、と私は感謝の気持ちを伝える。 

「マークルさん。『だって』では、説明になりません。なぜ、おふたりが犯人だと言い切れるのです?」 

「そうでなくちゃならないからよ!あのね!あたしは嫉妬されて廊下で貶されたり、噴水に落とされたりするのよ!」 

 教室の中央では、代わらず激烈桃色さんが私とリリーさまが犯人だと言い募っているけれど、確かに誰も信じている様子はない。 

「貶された?いつですか?」 

「転入して来てすぐ!まだFクラスにいた時、中庭に面した回廊で!みんなも知ってるはずよ!」 

 激烈桃色さんの言葉に、ウィリアムが疲れたようなため息を吐いた。 

「あれは、君がローズマリーに一方的に絡んだって有名な話だ」 

 その言葉に、アイビィさんも力強く頷く。 

「ええ。わたくしもそう聞いています。突然貴女がローズマリー様の前に立ちはだかって暴言を吐いたのだと、多数の証言があったようですね」 

「それはだって!ローズマリーがさぼったから!」 

「え?わたくし、図書委員のお仕事、きちんとしましたけれど?」 

 思わず言えば、激烈桃色さんが、きっ、と私を見据えた。 

「そうじゃないわよ!ボケ!本当だったら、あんたがあたしに突っかかって来るはずなのに、いつまで待っても来ないから、あたしが行ったんじゃないの!馬鹿なの!?」 

  

 え? 

 本当だったら、私が激烈桃色さんに? 

 それはあの、物語ではそうなる、ということ? 

 

「暴言はやめろ。ローズマリーが突っかかる筈だった?君は一体、何を言っているんだ」 

 混乱していると、激烈桃色さんを不快そうに見ていたウィリアムが、強い口調でそう言った。 

「何って。ローズマリーが、ちゃんと役目を果たさない、ってことよ。意地悪な性格してるんだから、もっとちゃんとしてもらわないと」 

「ローズマリーは、意地悪な性格などしていない」 

「あたしの方が詳しいの」 

 言い切った激烈桃色さんに、ウィリアムが拳を握る。 

「馬鹿も休み休み言ってもらおうか。君の方が詳しい?ローズマリーと僕は、子どもの頃からの付き合いだ。君よりずっと付き合いは長く、深い」 

「だとしてもその知識は間違いよ。ローズマリーはあたしが気に食わなくて、とにかく色々意地悪するの。リリーと一緒に」 

「どうしてそうなるのですか」 

 アイビィさんが大きなため息を吐き、眼鏡の縁を摘んで持ち上げた。 

「さきほど君は、噴水に落とされる、と言っていたな。それはあの、正門近くにある噴水のことか?」 

「そうよ!なんだ、ちゃんと判ってるじゃないの」 

 冷静さを取り戻したウィリアムの問いに、激烈桃色さんが大きく頷く。 

「でもあの噴水、今改修工事中でしょう?わたくし達が入学する前から、ずっと」 

 アイビィさんが、不思議そうに不可能なのでは?と首を傾げた。 

「だから!今じゃないの!もう少し先の話よ!」 

「先の話?」 

「これからされるの!」 

 激烈桃色さんは、嬉々として答えるけれど、ウィリアムとアイビィさんは黙って顔を見合わせ、教室中に何とも言えない空気が漂う。 

「ローズマリー」 

 ぎゅ、と私の手を握るリリーさまの手を強く握り返し、その身を守るように私は肩を寄せた。 

「大丈夫です」 

「リリー様、ローズマリー様、わたくし達もお傍にいますわ」 

 そう言って微笑んでくれるみんなに、私は胸が熱くなる。 

「もう!信じてよ!ローズマリーは、自分の婚約者のアーサーがあたしに夢中になったのが許せないの!リリーも、婚約者のパトリックがあたしに夢中なうえ、甘くて優しいのを嫌がってるし!だからあたしをいじめるの!」 

「マークルさん。いつも言っていますが、呼び捨てはいけませんわ。それに、色々混乱もされているようです。リリー様のご婚約者がアーサー殿下、ローズマリー様のご婚約者がパトリック様、です」 

 王子殿下まで平気で呼び捨てにするうえ、婚約者を取り違えるとは、とアイビィさんのこめかみがぴくぴく動く。 

「混乱なんてしてないわよ!あのね、本当はもうそうなってるはずなのよ!それなのにローズマリーがちゃんとしないから、まだパトリックとリリーが婚約してないだけなの!」 

「なんですか、それは」 

 アイビィさんが、意味不明と脱力した。 

「だってそうなんだもの!だから本当なら、アーサーの婚約者はローズマリーなの。それで、ローズマリーがあたしの教科書を盗んだのよ!アーサーを取られて悔しいから!あ、リリーに命じたかもだけど!とにかく今回の主犯はローズマリーよ!」 

「ローズマリーは君にアーサー殿下を取られて、その報復に君の教科書を盗んだか、サウス嬢に盗むように命じた、と?君は、そう言っているのか?」 

「そうよ!ローズマリーとリリーは揃ってあたしに意地悪するの!なんでかってそれは、アーサーもパトリックもあたしのものになるから!」 

 私とリリー様が親友だと知っているし、私が身分的にそんなことはし得ないと分かっているウィリアムは、私が公爵令嬢であるリリーさまに命じるなんて有り得ないだろうと首を振るのに、激烈桃色さんは胸を張って言い切った。 

「君は、馬鹿なのか?」 

「ウィルトシャー級長。彼女の学力の低さは、あなたもご存じではありませんか」 

「確かにそうだけれど。何というかこれは、それ以前の問題だと思う」 

「ええ。わたくしもそう思います」 

 何とも辛辣な学級長と副級長の言葉に、周りも大きく頷いている。 

「もう!本当なんだってば!今は、本当ならローズマリーはアーサーと婚約してるの!それが本当なのに、ローズマリーがちゃんとしないからこんなことになってるんだってば!みんなもちゃんと理解して!」 

 そんななか、ひとり周りを見渡しながら叫んでいた激烈桃色さんの目がぱっと輝いた。 

 この目の輝きには、心当たりがありすぎるほどにある、と私が思っていると。 

「アーサー!パトリック!ローズマリーとリリーがあたしの教科書を盗んだの!っていうか、主犯はローズマリー!ふたりはグルなのよ!」 

 激烈桃色さんは、やっぱり、な名前を嬉しそうに呼んで走り出した。 

「リリー。こちらへおいで。僕の腕のなかへ」 

「ローズマリー。遅くなってすまない」 

 そしてまたも激烈桃色さんを鮮やかにスルーしたアーサーさまとパトリックさまは、真っすぐ私とリリーさまの傍へ来た。 

「パトリック!ローズマリーがあたしの教科書盗んだの!」 

 リリーさまをしっかり抱き寄せたアーサーさまは望みなし、とでも思ったのか、激烈桃色さんが私を背にしたパトリックさまににじり寄る。 

「ローズマリーが、君の教科書を盗んだ?」 

「そうなの!」 

 パトリックさまは、その場から動くことなく激烈桃色さんを真っすぐに見て尋ねた。 

 その視界に、私はいない。 

  

 パトリックさま。 

 もしかして、激烈桃色さんの言葉を信じていらっしゃる? 

 

 常になく激烈桃色さんと目を合わせているパトリックさまが不安で、私の心はぐらぐら揺れた。 

「なんのために盗んだんだ?」 

「焼却炉で燃やすためよ!」 

「焼却炉で燃やすため?君は、どうしてそれが判った?」 

「知ってるの!パトリック攻略の大切なイベントだから!それなのにアーサーの婚約者のローズマリーがメインでやるのってなんか変、って思ってたけど!」 

 パトリックさまをきらきらした瞳で見上げ、言い募る激烈桃色さんはとても可愛い。 

「ウェスト公子息。彼女の話を信じるのか?」 

 ウィリアムの苦い声に、パトリックさまが視線を向けたのが分かるけれど、その表情は私からは見えない。 

「精査する必要はあると思っている」 

 けれど、聞こえた言葉に私は眩暈がしそうになった。 

 

 パトリックさまは、私を疑っている。 

 

 思えば、自立しているのも難しく感じるほど。 

 周りも動揺して、パトリックさまと激烈桃色さん、そしてウィリアムをぐるぐると見ているのが分かる。 

「みんな信じてないでしょう!?ねえ、パトリック、本当だもんね」 

  

 あ! 

 

 喜悦満面の激烈桃色さんが身体ごとパトリックさまに手を伸ばし擦り寄って、ふたりが優しく抱き締め合う未来が見えた気がした私は、思わず心のなかで声をあげ、物理的に顔を逸らしてしまった。 

 それでも視線でふたりを追ってしまうのだから、どうしようもない。 

「じゃあ、確認しに行こうか」 

 けれど、激烈桃色さんをいつも通り華麗に躱し、パトリックさまは私に向かって鮮やかなウィンクをした。 

「っ!」 

 瞬間、私の思考は停止し、白くなる。 

 

 ええと、今から精査しに行くのですよね? 

 それなのに、そのウィンクは。 

 えっと、パトリックさま。 

 どういうこと、でしょうか? 

 

 

 

 
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

【完結】勤労令嬢、街へ行く〜令嬢なのに下働きさせられていた私を養女にしてくれた侯爵様が溺愛してくれるので、国いちばんのレディを目指します〜

鈴木 桜
恋愛
貧乏男爵の妾の子である8歳のジリアンは、使用人ゼロの家で勤労の日々を送っていた。 誰よりも早く起きて畑を耕し、家族の食事を準備し、屋敷を隅々まで掃除し……。 幸いジリアンは【魔法】が使えたので、一人でも仕事をこなすことができていた。 ある夏の日、彼女の運命を大きく変える出来事が起こる。 一人の客人をもてなしたのだ。 その客人は戦争の英雄クリフォード・マクリーン侯爵の使いであり、ジリアンが【魔法の天才】であることに気づくのだった。 【魔法】が『武器』ではなく『生活』のために使われるようになる時代の転換期に、ジリアンは戦争の英雄の養女として迎えられることになる。 彼女は「働かせてください」と訴え続けた。そうしなければ、追い出されると思ったから。 そんな彼女に、周囲の大人たちは目一杯の愛情を注ぎ続けた。 そして、ジリアンは少しずつ子供らしさを取り戻していく。 やがてジリアンは17歳に成長し、新しく設立された王立魔法学院に入学することに。 ところが、マクリーン侯爵は渋い顔で、 「男子生徒と目を合わせるな。微笑みかけるな」と言うのだった。 学院には幼馴染の謎の少年アレンや、かつてジリアンをこき使っていた腹違いの姉もいて──。 ☆第2部完結しました☆

【完結】 悪役令嬢が死ぬまでにしたい10のこと

淡麗 マナ
恋愛
2022/04/07 小説ホットランキング女性向け1位に入ることができました。皆様の応援のおかげです。ありがとうございます。 第3回 一二三書房WEB小説大賞の最終選考作品です。(5,668作品のなかで45作品) ※コメント欄でネタバレしています。私のミスです。ネタバレしたくない方は読み終わったあとにコメントをご覧ください。 原因不明の病により、余命3ヶ月と診断された公爵令嬢のフェイト・アシュフォード。 よりによって今日は、王太子殿下とフェイトの婚約が発表されるパーティの日。 王太子殿下のことを考えれば、わたくしは身を引いたほうが良い。 どうやって婚約をお断りしようかと考えていると、王太子殿下の横には容姿端麗の女性が。逆に婚約破棄されて傷心するフェイト。 家に帰り、一冊の本をとりだす。それはフェイトが敬愛する、悪役令嬢とよばれた公爵令嬢ヴァイオレットが活躍する物語。そのなかに、【死ぬまでにしたい10のこと】を決める描写があり、フェイトはそれを真似してリストを作り、生きる指針とする。 1.余命のことは絶対にだれにも知られないこと。 2.悪役令嬢ヴァイオレットになりきる。あえて人から嫌われることで、自分が死んだ時の悲しみを減らす。(これは実行できなくて、後で変更することになる) 3.必ず病気の原因を突き止め、治療法を見つけだし、他の人が病気にならないようにする。 4.ノブレス・オブリージュ 公爵令嬢としての責務をいつもどおり果たす。 5.お父様と弟の問題を解決する。 それと、目に入れても痛くない、白蛇のイタムの新しい飼い主を探さねばなりませんし、恋……というものもしてみたいし、矛盾していますけれど、友達も欲しい。etc. リストに従い、持ち前の執務能力、するどい観察眼を持って、人々の問題や悩みを解決していくフェイト。 ただし、悪役令嬢の振りをして、人から嫌われることは上手くいかない。逆に好かれてしまう! では、リストを変更しよう。わたくしの身代わりを立て、遠くに嫁いでもらうのはどうでしょう? たとえ失敗しても10のリストを修正し、最善を尽くすフェイト。 これはフェイトが、余命3ヶ月で10のしたいことを実行する物語。皆を自らの死によって悲しませない為に足掻き、運命に立ち向かう、逆転劇。 【注意点】 恋愛要素は弱め。 設定はかなりゆるめに作っています。 1人か、2人、苛立つキャラクターが出てくると思いますが、爽快なざまぁはありません。 2章以降だいぶ殺伐として、不穏な感じになりますので、合わないと思ったら辞めることをお勧めします。

悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!

たぬきち25番
恋愛
 気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡ ※マルチエンディングです!! コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m 2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。 楽しんで頂けると幸いです。 ※他サイト様にも掲載中です

気配消し令嬢の失敗

かな
恋愛
ユリアは公爵家の次女として生まれ、獣人国に攫われた長女エーリアの代わりに第1王子の婚約者候補の筆頭にされてしまう。王妃なんて面倒臭いと思ったユリアは、自分自身に認識阻害と気配消しの魔法を掛け、居るかいないかわからないと言われるほどの地味な令嬢を装った。 15才になり学園に入学すると、編入してきた男爵令嬢が第1王子と有力貴族令息を複数侍らかせることとなり、ユリア以外の婚約者候補と男爵令嬢の揉める事が日常茶飯事に。ユリアは遠くからボーッとそれを眺めながら〘 いつになったら婚約者候補から外してくれるのかな? 〙と思っていた。そんなユリアが失敗する話。 ※王子は曾祖母コンです。 ※ユリアは悪役令嬢ではありません。 ※タグを少し修正しました。 初めての投稿なのでゆる〜く読んでください。ご都合主義はご愛嬌ということで見逃してください( *・ω・)*_ _))ペコリン

処理中です...