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四十七、
しおりを挟む「はあ・・おいしい・・・」
初めての読み合わせをした、その日の放課後。
薫は、将梧を誘って駅ビルのなかにある、とある店に来ていた。
「薫は、本当においしそうに食べるな」
「だって、おいしいから!将梧、付き合ってくれてありがとな。心から感謝」
長いスプーンを持ったまま、おどけてお辞儀をする薫を、将梧は蕩けるような目で見つめる。
ふたりが居るのは、パフェの専門店。
内装が、可愛らしくまとめられていることもあって、客層は女性が圧倒的に多いが、果物のパフェは絶品だと聞いて、果物好きの血が騒いだ薫は、どうしても行きたいと思ったものの、ひとりで女性客に混じる勇気は無かった。
「俺も、薫と来られてよかった。誘ってくれて、嬉しい。これも、食べるか?」
「うん!じゃあ、俺のも食べて。はい」
『あーん』とこそ、口に出しては言っていないが、やっていることはそのままの薫を見て、周りがぎょっと目を見開くも、将梧は気にも留めないし、薫は気づいてもいない。
「じゃあ、薫には、俺が食べさせてやる」
結果、薫は自分が食べている桃のパフェを、将梧は自分が食べているメロンのパフェを、それぞれ食べさせ合った。
「なあ、なあ、将梧。なんか、あっというまにハロウィンなんだな」
早くも店頭にハロウィングッズが並んでいるのを見て、薫が時間が経つのは早いと呟く。
「そうだな。そう言えば、昨日、母さんがリビングの棚を片付けていた。あれは、ハロウィンのためだったんだな」
季節の行事の度に、模様替えが成される自分の家のリビングを思い出し、将梧はそうだったかと頷いた。
「俺、部屋の飾りつけすんの好き。今年も一緒にやろうな」
「もちろん」
互いの家を行き来して、互いの家をハロウィン仕様にし、当日も一緒に過ごす。
それが、秋庭家と舞岡家の年間行事。
そしてそれは、ハロウィンに限ったことではなく、クリスマスもお正月も、と、やはり親戚のような付き合いをしている両家だった。
「母さんはさ。今でも言うんだよ。『初めての妊娠で、不安しかないときに、小百合ちゃんは、ずっと寄り添ってくれた』って」
「うちの母さんも言っているよ。『大人になってからも、親友って出来るのね』って」
将梧の母と、薫の母は同い年ということもあって、より一層気が合うのだろうと薫や将梧は思っている。
ただ、小百合は、薫が二番目の子なのに対し、紗枝にとっては、将梧が初めての子ということで、経験者の小百合が、色々と紗枝の力になったらしい。
「なんか、うちの母さん、ほわほわしてるから、紗枝ママの力になったとか、信じられない」
「確かに、ほんわかしてるけど。薫と同じで、割としっかりしていると思う」
「割と、なんだ」
『やっぱ、そうだろ?』と、笑いながら突っ込む薫に、将梧は真顔になった。
「薫。薫は、風子さんと結構、歳が離れているだろ?二番目を授からなくて、焦ったこともあるって、小百合母さん言ってた」
「それは、そうなんだけどさ。母さんは、しっかりしている、頼りになる、ってタイプじゃないような気がする」
もちろん、小百合が家を整え、食事を用意してくれるから、薫は何不自由なく、不安なく生活出来ているのだが、どうにも頼りになるタイプだとは思えない。
「彩人父さんが居るから、大丈夫だ」
「おお、なるほど」
そこで、父彩人の名を出され、薫は、それならば納得と手を打った。
「だから、安心しろ。薫には、俺が居るから」
「うん、ありがと・・・って、え?」
将梧のことを、幼なじみとして頼りにはしているが、今の話の流れで、その言葉はどうだろうと、首を傾げる薫に、何も問題無いと、将梧は笑顔で言い切った。
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