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9.冒険者と樹海へ
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僕達はギルドマスターが部屋に戻って来るまで待つことになった。
その間にエミリア姉上と受付のお姉さんが仲良くなり、冒険者ギルドについて色々と教えてもらった。
受付嬢の名前はリンメイさん、冒険者ギルドに就職して五年のベテラン職員らしい。
ギルドマスターの名はベルドさん、元々はA級冒険者だったが大怪我をして三年前に引退、その後にギルド職員となり、一年前にギルドマスターになったとか。
だからリンメイさんとベルドさんは元は職場の同僚で、リンメイさんのほうが先輩なので、ギルドマスターになってからも、ベルドさんはリンメイさんに頭が上がらないらしい。
しばらくすると扉が開き、ベルドさんが見知らぬ女子二人を連れて現れた。
一人は胸と腰回りを革鎧で包んだ双剣の戦士風で、もう一人は身の丈ほどの杖を持ち、ローブを羽織っているところから、たぶん魔法士だろう。
ベルドさんは僕達の目の前に立つと、二人の女子を指差す。
「こいつ等はランクはC級だが、腕のほうは立つ。『プリミチブの樹海』の奥についても詳しい。それに樹海の奥でドワーフ達を見たそうだ。道案内にはピッタリだろ」
「それホント?」
「あぁ、『プリミチブの樹海』の奥で大勢のドワーフ達が魔獣を狩っているのを見たぜ。報酬さえよければ、案内してやる」
戦士風の女子が大きく頷く。
僕とエミリア姉上は相談し、女子二人を雇うことに決めた。
やはり二人は双剣士と魔法士で、名はリアムとルーネ、年齢はアデル兄上と同じ十五歳だという。
どちらもひいき目に見て美少女だ。
エミリア姉上には負けるけどね。
僕達は話し合いの結果、明日の早朝に『プリミチブの樹海』へ出発することになった。
翌日、約束の時間に冒険者ギルドの建物の前までいくと、リアムとルーネの二人が既に待っていた。
無事に合流した僕達一行は二人の案内で、街の大門を通り抜けて『プリミチブの樹海』へ向かう。
一時間ほど街道を歩くと、段々と道が険しくなり、目の前に鬱蒼と茂った真っ黒な森が見えてきた。
「ここが『プリミチブの樹海』への入口だ。森の浅い所までは冒険者がよく入るから獣道があるけど、奥へ向かうほど獣道がなくなるから、アタシ等から離れるなよ。逸れたら守りきれないからな」
「イアン様、エミリア様は我らが命に変えてもお守りする。お前達は余計なことは考えず、ドワーフ達の所まで道案内をすればよいのだ」
「へいへい。せいぜい頑張んな。騎士様よ」
昨日、リアムとルーネには僕達の素性を明かしたんだけど、なぜかリアムとクライスが目が合えば口喧嘩をするようになった。
同じ目的を持つ仲間なんだから、騎士とか冒険者とか関係なく仲良くしてもらいたいんだけど。
森に入って二時間、その間にゴブリンやコボルト、ファングウルフなどの低級魔獣と遭遇し、その度に戦闘になったが、皆の活躍のおかげで無事に魔獣達を討伐することができた。
樹海を奥へと進んでいくと、リアム達の言ったとおり、獣道が段々と薄れ、今では痕跡が少し残っている程度となった。
先頭を歩くリアムが樹々に覆われている頭上を見上げる。
「もうそろそろ空が赤くなってきた。少し先に空地があるから、そこで野営しよう」
「僕達には樹海のことはわからない。リアム達に判断は任せるよ」
「いい子だ。坊ちゃん」
少し歩くとリアムが告げたとおり空地へと到着した。
クライス達は空地の真ん中に背嚢をおろし、中から野営の装備を出してテントを組みだした。
それを見てリアムがニヤリと笑う。
「さすが騎士様だ。いいマジックバックを持ってるじゃないか」
「うるさい。人のことを見ている暇があるなら、さっさと野営の準備を始めろ」
リアムとクライスがまた言い合いを始めた。
クライス達が持っている背嚢は、王宮から支給した背嚢の形をしたマジックバックだ。
その内容量は部屋一室分ぐらいあるけど、時間遅延の機能があるが、時間停止の機能は付いていない。
それでも冒険者達にとっては高級品で、喉から手がでるほどの品だろう。
物欲しそうにルーネがチラチラと背嚢を見ている。
「今回の依頼が無事に終了したら、依頼完了の報酬とは別に背嚢をあげてもいいよ」
「それホント?」
「うん、王城に帰れば、予備の背嚢が沢山あるからね」
僕が大きく頷くと、ルーネが小さくガッツポーズをする。
それを見てリアムが「チッ」と小さく舌打ちした。
リアムはどこか貴族を嫌っているようだね。
樹海にいる間に、なるべく仲良くなれればいいな。
リアムとルーネが森の中へ焚き木用の枝を拾いに行っている間に、僕とエミリア姉上は石を集めて釜土を作り、その上に鉄板を置いて料理の準備を進める。
今日の夜食はステーキの予定だ。
テントの設営を終えたクライス達が、背嚢から食料を取り出して、料理の手伝いをしてくれる。
リアムとルーネの二人が焚き木を持って戻ってきたので、それを釜土の下に入れ、僕は火炎石に魔力を通して焚き火を起こす。
するとエミリア姉上が鉄板に油を敷き、スパイスをふりかけた大きく切った肉に鉄板の上に乗せる。
ジュージューという香ばしい音と共に、肉の焼ける美味しそうな匂いが漂い始めた。
「エミリア様、料理は私達がやりますので」
「いいえ大丈夫、私がやるわ。大自然の中でお料理をするのって楽しいわね」
クライスの申し出を断ってエミリア姉上はニッコリと笑う。
危険の多い『プリミチブの樹海』の中なのに、エミリア姉上は楽しそうだ。
みんなで地面に座ってワイワイと食事を楽しんでいると、周囲の樹々がザワザワとし始め、遠くでバキバキと樹が折れる音が聞こえてきた。
するとリアムがスクッと立ち上がり、周りを警戒する。
「近くから魔獣の気配がする。くるぞ」
リアムの号令で、皆は武器を持ち、身を低く構えて臨戦態勢に入った。
その間にエミリア姉上と受付のお姉さんが仲良くなり、冒険者ギルドについて色々と教えてもらった。
受付嬢の名前はリンメイさん、冒険者ギルドに就職して五年のベテラン職員らしい。
ギルドマスターの名はベルドさん、元々はA級冒険者だったが大怪我をして三年前に引退、その後にギルド職員となり、一年前にギルドマスターになったとか。
だからリンメイさんとベルドさんは元は職場の同僚で、リンメイさんのほうが先輩なので、ギルドマスターになってからも、ベルドさんはリンメイさんに頭が上がらないらしい。
しばらくすると扉が開き、ベルドさんが見知らぬ女子二人を連れて現れた。
一人は胸と腰回りを革鎧で包んだ双剣の戦士風で、もう一人は身の丈ほどの杖を持ち、ローブを羽織っているところから、たぶん魔法士だろう。
ベルドさんは僕達の目の前に立つと、二人の女子を指差す。
「こいつ等はランクはC級だが、腕のほうは立つ。『プリミチブの樹海』の奥についても詳しい。それに樹海の奥でドワーフ達を見たそうだ。道案内にはピッタリだろ」
「それホント?」
「あぁ、『プリミチブの樹海』の奥で大勢のドワーフ達が魔獣を狩っているのを見たぜ。報酬さえよければ、案内してやる」
戦士風の女子が大きく頷く。
僕とエミリア姉上は相談し、女子二人を雇うことに決めた。
やはり二人は双剣士と魔法士で、名はリアムとルーネ、年齢はアデル兄上と同じ十五歳だという。
どちらもひいき目に見て美少女だ。
エミリア姉上には負けるけどね。
僕達は話し合いの結果、明日の早朝に『プリミチブの樹海』へ出発することになった。
翌日、約束の時間に冒険者ギルドの建物の前までいくと、リアムとルーネの二人が既に待っていた。
無事に合流した僕達一行は二人の案内で、街の大門を通り抜けて『プリミチブの樹海』へ向かう。
一時間ほど街道を歩くと、段々と道が険しくなり、目の前に鬱蒼と茂った真っ黒な森が見えてきた。
「ここが『プリミチブの樹海』への入口だ。森の浅い所までは冒険者がよく入るから獣道があるけど、奥へ向かうほど獣道がなくなるから、アタシ等から離れるなよ。逸れたら守りきれないからな」
「イアン様、エミリア様は我らが命に変えてもお守りする。お前達は余計なことは考えず、ドワーフ達の所まで道案内をすればよいのだ」
「へいへい。せいぜい頑張んな。騎士様よ」
昨日、リアムとルーネには僕達の素性を明かしたんだけど、なぜかリアムとクライスが目が合えば口喧嘩をするようになった。
同じ目的を持つ仲間なんだから、騎士とか冒険者とか関係なく仲良くしてもらいたいんだけど。
森に入って二時間、その間にゴブリンやコボルト、ファングウルフなどの低級魔獣と遭遇し、その度に戦闘になったが、皆の活躍のおかげで無事に魔獣達を討伐することができた。
樹海を奥へと進んでいくと、リアム達の言ったとおり、獣道が段々と薄れ、今では痕跡が少し残っている程度となった。
先頭を歩くリアムが樹々に覆われている頭上を見上げる。
「もうそろそろ空が赤くなってきた。少し先に空地があるから、そこで野営しよう」
「僕達には樹海のことはわからない。リアム達に判断は任せるよ」
「いい子だ。坊ちゃん」
少し歩くとリアムが告げたとおり空地へと到着した。
クライス達は空地の真ん中に背嚢をおろし、中から野営の装備を出してテントを組みだした。
それを見てリアムがニヤリと笑う。
「さすが騎士様だ。いいマジックバックを持ってるじゃないか」
「うるさい。人のことを見ている暇があるなら、さっさと野営の準備を始めろ」
リアムとクライスがまた言い合いを始めた。
クライス達が持っている背嚢は、王宮から支給した背嚢の形をしたマジックバックだ。
その内容量は部屋一室分ぐらいあるけど、時間遅延の機能があるが、時間停止の機能は付いていない。
それでも冒険者達にとっては高級品で、喉から手がでるほどの品だろう。
物欲しそうにルーネがチラチラと背嚢を見ている。
「今回の依頼が無事に終了したら、依頼完了の報酬とは別に背嚢をあげてもいいよ」
「それホント?」
「うん、王城に帰れば、予備の背嚢が沢山あるからね」
僕が大きく頷くと、ルーネが小さくガッツポーズをする。
それを見てリアムが「チッ」と小さく舌打ちした。
リアムはどこか貴族を嫌っているようだね。
樹海にいる間に、なるべく仲良くなれればいいな。
リアムとルーネが森の中へ焚き木用の枝を拾いに行っている間に、僕とエミリア姉上は石を集めて釜土を作り、その上に鉄板を置いて料理の準備を進める。
今日の夜食はステーキの予定だ。
テントの設営を終えたクライス達が、背嚢から食料を取り出して、料理の手伝いをしてくれる。
リアムとルーネの二人が焚き木を持って戻ってきたので、それを釜土の下に入れ、僕は火炎石に魔力を通して焚き火を起こす。
するとエミリア姉上が鉄板に油を敷き、スパイスをふりかけた大きく切った肉に鉄板の上に乗せる。
ジュージューという香ばしい音と共に、肉の焼ける美味しそうな匂いが漂い始めた。
「エミリア様、料理は私達がやりますので」
「いいえ大丈夫、私がやるわ。大自然の中でお料理をするのって楽しいわね」
クライスの申し出を断ってエミリア姉上はニッコリと笑う。
危険の多い『プリミチブの樹海』の中なのに、エミリア姉上は楽しそうだ。
みんなで地面に座ってワイワイと食事を楽しんでいると、周囲の樹々がザワザワとし始め、遠くでバキバキと樹が折れる音が聞こえてきた。
するとリアムがスクッと立ち上がり、周りを警戒する。
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