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28.オーランとの出会い
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王都の夜の街に出かけるようになって一ヵ月、僕は三日に一回の割合で、真夜中になると城を抜け出し、酒を持ってカーネルさんを訪ねた。
街のどこにいるか探すのに苦労したけど、カーネルさんは料理が美味いと言われる料理店の裏路地にいることが多かった。
はじめは僕の顔を見るとイヤそうな顔をしていたけど、酒をプレゼントするとカーネルさんは上機嫌になって、僕に色々と話をしてくれた。
どこの商会のどの品物がお買い得か、どこの料理店のどの料理が美味しいか、どこの酒場のお姉さんが一番美人か等、様々なことを教えてくれた。
カーネルさんの話しはどれも面白く、僕は朝方近くまで話しに付き合うこともあった。
この一ヵ月、ちょっと寝不足が続き、昼間に居眠りをしてエミリア姉上に見つかったけど、なんとか夜に街へ遊びに行っていることは誤魔化した。
エミリア姉上は勘が鋭いから、何かを察しているかもしれないけどね。
今夜も城を抜け出して街へ行き、一時間ほど街の中をうろうろすると、有名料理屋の裏路地にカーネルさんの姿を見つけた。
いつものように僕は酒の小樽を手を持ってカーネルさんの隣に座ると、それに気づいたカーネルさんがニヤリを微笑んだ。
「小僧、今日も来たのか。こんな浮浪者と話していても何の得もないぞ」
「カーネルさんの話しは面白いし、街のことが色々と知れて楽しいよ」
「ふん、小僧がいいなら、それでいいわい」
僕が差し出した酒の小樽を受け取り、カーネルさんはニヤニヤと頬を緩ませる。
しばらく二人で話し込んで、雰囲気が緩んだところで、僕は話しを切り出した。
「街では色々な犯罪があるようだけど、「蜘蛛」の組織は今も暗躍してるの?」
僕の問いを聞いて、カーネルさんは大きく息を吐いて目を伏せる。
「やはり小僧の目的はそれか? ただの小僧ではなさそうだのう」
「なぜ、そう思うの? ただ好奇心で興味を持ってるかもしれないよ」
「ふん、普通の悪ガキではあるまいよ。小僧からは言葉の端々や、ちょっとした仕草から貴族のような気品が感じられるからのう。ワシの目を節穴と思うな」
そう言って、カーネルさんは真剣な表情をみせる。
僕は一拍置いて、首を傾げた。
「僕の正体を知りたい?」
「それは止めておこう。子猫と思ったら虎が出てきたら敵わんからのう。それでワシに何を聞きたい?」
「「蜘蛛」の組織についてなら何でも」
「ふー、ワシも街の荒くれ者達と同じぐらいにしか「蜘蛛」についての情報は知らん。ただ知っているのは、「蜘蛛」にことを調べようとした者達は、全て行方知れずになるか、殺されているということだけじゃ」
そう言ってカーネルさんは立ち上がると、「ついて来い」と言って路地を歩き始めた。
どこに行くのかと思いつつ、カーネルさんの後ろを歩いていく。
すると貧民が住むスラム地区へと入り、一軒の廃墟の前でカーネルさんが立ち止まった。
「ここはワシのねぐらだ。ここにはワシ以外にも、行き場を持たぬ者が住みついておる。ワシよりも「蜘蛛」のことを知っている者を紹介しよう」
カーネルさんはそれだけ言うと、廃墟の玄関の扉を開けて、建物へと入っていった。
続けて入ると、外観はボロボロの廃墟だったのに、中は床がめくれていたり、天井が剥がれていたりしてるけど、意外とキレイに整っていた。
ギシギシと鳴る床を歩いて二人で二階へあがっていくと、ベッドが二つ置いてあり、片方のベッドの上が毛布でモッコリと盛り上がっている。
カーネルさんは無造作にベッドに近づくと、勢いよく毛布を剥ぎ取った。
すると薄着のシャツに短パン姿の猫耳女子が、体を丸めてスヤスヤと寝息を立てている。
どうやら、この少女がカーネルさんの同居人のようだね。
「おいオーラン、お前に客を連れてきたぞ。殺し屋が無防備に寝るな」
カーネルさんの言葉に、僕は驚いて猫耳女子を凝視する。
あんなに可愛い姿の女の子が殺し屋だって!?
カーネルさんの言葉を聞いて、少女はベッドからムクリと起き上がると、眠そうに目をこする。
「お前に客だと言っているだろう。早く目を覚ませ」
「うー、カーネルのイジワル。私は眠いの」
小さな声で呟くと、オーランはまたコテッとベッドに倒れて寝てしまった。
その様子にイラついたのか、カーネルさんは少女の体を起こすと、両肩を持ってガクガクと揺する。
「起きろと言ってるだろ!」
「頭がガクガクするー!」
しばらくカーネルさんとオーランの二人の格闘は続き、とうとうオーランが目を覚ました。
そして僕の顔をジーっと見て、可愛らしく首を傾げる。
「あんた誰?」
「だからお前に客だと言ってるだろ」
どうやらオーランは、マイペースな少女みたいだね。
僕は一歩前に踏みだし、ベッドに座っているオーランへ手を差し出す。
「僕の名はイアン。カーネルさんの友達だよ。よろしくね」
「あんた誰?」
あれ? まだ寝ぼけているのかな?
街のどこにいるか探すのに苦労したけど、カーネルさんは料理が美味いと言われる料理店の裏路地にいることが多かった。
はじめは僕の顔を見るとイヤそうな顔をしていたけど、酒をプレゼントするとカーネルさんは上機嫌になって、僕に色々と話をしてくれた。
どこの商会のどの品物がお買い得か、どこの料理店のどの料理が美味しいか、どこの酒場のお姉さんが一番美人か等、様々なことを教えてくれた。
カーネルさんの話しはどれも面白く、僕は朝方近くまで話しに付き合うこともあった。
この一ヵ月、ちょっと寝不足が続き、昼間に居眠りをしてエミリア姉上に見つかったけど、なんとか夜に街へ遊びに行っていることは誤魔化した。
エミリア姉上は勘が鋭いから、何かを察しているかもしれないけどね。
今夜も城を抜け出して街へ行き、一時間ほど街の中をうろうろすると、有名料理屋の裏路地にカーネルさんの姿を見つけた。
いつものように僕は酒の小樽を手を持ってカーネルさんの隣に座ると、それに気づいたカーネルさんがニヤリを微笑んだ。
「小僧、今日も来たのか。こんな浮浪者と話していても何の得もないぞ」
「カーネルさんの話しは面白いし、街のことが色々と知れて楽しいよ」
「ふん、小僧がいいなら、それでいいわい」
僕が差し出した酒の小樽を受け取り、カーネルさんはニヤニヤと頬を緩ませる。
しばらく二人で話し込んで、雰囲気が緩んだところで、僕は話しを切り出した。
「街では色々な犯罪があるようだけど、「蜘蛛」の組織は今も暗躍してるの?」
僕の問いを聞いて、カーネルさんは大きく息を吐いて目を伏せる。
「やはり小僧の目的はそれか? ただの小僧ではなさそうだのう」
「なぜ、そう思うの? ただ好奇心で興味を持ってるかもしれないよ」
「ふん、普通の悪ガキではあるまいよ。小僧からは言葉の端々や、ちょっとした仕草から貴族のような気品が感じられるからのう。ワシの目を節穴と思うな」
そう言って、カーネルさんは真剣な表情をみせる。
僕は一拍置いて、首を傾げた。
「僕の正体を知りたい?」
「それは止めておこう。子猫と思ったら虎が出てきたら敵わんからのう。それでワシに何を聞きたい?」
「「蜘蛛」の組織についてなら何でも」
「ふー、ワシも街の荒くれ者達と同じぐらいにしか「蜘蛛」についての情報は知らん。ただ知っているのは、「蜘蛛」にことを調べようとした者達は、全て行方知れずになるか、殺されているということだけじゃ」
そう言ってカーネルさんは立ち上がると、「ついて来い」と言って路地を歩き始めた。
どこに行くのかと思いつつ、カーネルさんの後ろを歩いていく。
すると貧民が住むスラム地区へと入り、一軒の廃墟の前でカーネルさんが立ち止まった。
「ここはワシのねぐらだ。ここにはワシ以外にも、行き場を持たぬ者が住みついておる。ワシよりも「蜘蛛」のことを知っている者を紹介しよう」
カーネルさんはそれだけ言うと、廃墟の玄関の扉を開けて、建物へと入っていった。
続けて入ると、外観はボロボロの廃墟だったのに、中は床がめくれていたり、天井が剥がれていたりしてるけど、意外とキレイに整っていた。
ギシギシと鳴る床を歩いて二人で二階へあがっていくと、ベッドが二つ置いてあり、片方のベッドの上が毛布でモッコリと盛り上がっている。
カーネルさんは無造作にベッドに近づくと、勢いよく毛布を剥ぎ取った。
すると薄着のシャツに短パン姿の猫耳女子が、体を丸めてスヤスヤと寝息を立てている。
どうやら、この少女がカーネルさんの同居人のようだね。
「おいオーラン、お前に客を連れてきたぞ。殺し屋が無防備に寝るな」
カーネルさんの言葉に、僕は驚いて猫耳女子を凝視する。
あんなに可愛い姿の女の子が殺し屋だって!?
カーネルさんの言葉を聞いて、少女はベッドからムクリと起き上がると、眠そうに目をこする。
「お前に客だと言っているだろう。早く目を覚ませ」
「うー、カーネルのイジワル。私は眠いの」
小さな声で呟くと、オーランはまたコテッとベッドに倒れて寝てしまった。
その様子にイラついたのか、カーネルさんは少女の体を起こすと、両肩を持ってガクガクと揺する。
「起きろと言ってるだろ!」
「頭がガクガクするー!」
しばらくカーネルさんとオーランの二人の格闘は続き、とうとうオーランが目を覚ました。
そして僕の顔をジーっと見て、可愛らしく首を傾げる。
「あんた誰?」
「だからお前に客だと言ってるだろ」
どうやらオーランは、マイペースな少女みたいだね。
僕は一歩前に踏みだし、ベッドに座っているオーランへ手を差し出す。
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「あんた誰?」
あれ? まだ寝ぼけているのかな?
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