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40.アーリアの保護
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サイラス組長の説得?により、素直に少女は王宮へ来ることになった。
「黒鴉」のアジトを出てから、カーネルさんとオーランへ礼をいう。
「今回もありがとうございます。」
「よいよい。また廃墟へ顔を出してくれ」
カーネルさんは朗らかに笑って、夜の暗がりの中へ消えていった。
そして僕、エミリア姉上、少女の三人が歩きはじめると、なぜかオーランも一緒についてくる。
「あれ? オーランはどこへ行くの? 僕達は王城へ向かうけど?」
「私も一緒。行く」
「どうして一緒に来るのよ。限られた者以外の城への出入りは禁止なんだから。アナタはダメでしょ」
またオーランとエミリア姉上が口喧嘩を始めた。
毎回のことだから、止める必要ないよね。
意外と気が合ってるようなだし
僕は二人を放置して、少女と話をするとにした。
彼女の名はアーリアと言い、年齢は十九歳だという。
ちょっと童顔なので、エミリア姉上と同い年ぐらいと思っていたのに、予想以上にお姉さんだった。
エルファスト魔法王国の端の街で生まれ、五歳の時に「魔法士」の加護を授かり、十歳の時に王都に連行され、それから魔法研究所の中で、魔法陣の研究を行っていたらしい。
魔法研究所を脱走して、国境を超えた辺りから、追っ手が姿を現すようになり、王都に到着してから、殺されそうになったという。
そこへオーランが通りかかり、「黒鴉」に連れて行ってくれたそうだ。
たぶんアーリアが王都に逃げ込んだことで、身柄の確保から暗殺へ、エルファスト魔法王国が方針を変更したのかもしれない。
ということは、これからアーリアは命を狙われる危険性があるな。
王城との警備が厳重だけど、オーランが気軽に入って来られるくらいだから、暗殺者が城に潜入する可能性がある。
「オーラン、頼みがあるんだけど」
「何?」
「アーリアを守ってくれないかな?」
「やる。任せて」
オーランはコクコクと頷いた。
あまりの気軽さに、依頼した僕のほうが不安になるけど。
城の大門から入らず、僕達四人は城壁の穴から城の中へと入る。
まだ朝方前なので、僕の自室へと皆で向かった。
部屋の中に入った僕達は、仮眠を取ることにして、僕が長いソファに寝ることになり、女子三人は僕のベッドで眠ることになった。
朝、目覚めるとオーランが僕の体を寄せて寝ていた。
そして、それを発見したエミリア姉上と口喧嘩になったけど、なんだかそんな二人が微笑ましい。
皆で朝食を食べ終わった後に玉座の間へ赴くと、ローランド兄上とシルベルク宰相が椅子に座って談笑していた。
ペコリと頭を下げて、二人の向かいの席に座る。
「エルファスト魔法王国から脱走してきた魔導士は無事に保護したよ。今は僕の部屋で待機してる」
「え、もう確保したのか。私が相談してまだ間もないぞ」
「たまたま知り合いが、魔導士の隠れた場所を知ってたんだよ」
「そうだったのか。その経緯を詳しく聞かせてくれ」
ローランド兄上は興奮したように目を輝かせる。
僕は身振り手振りも使い、カーネルさんとオーランの二人と一緒に「義侠」のアジトへ行った一部始終を詳細に説明した。
それを聞いたローランド兄上は頭が痛くなったような表情をして額に片手を当てる。
「「黒鴉」のアジトへ行っただと。王都で「蜘蛛」と並ぶ名うての悪党共じゃないか。エミリアも一緒にいたのに、どうしてそんな危険な場所へ行ってるんだ。魔導士の捜索は依頼したが、危険なことをしてほしいとは頼んでないぞ」
「サイラス組長は思っているほど悪い人じゃなさそうだよ」
「そういう問題じゃない」
「あの「黒鴉」と協力関係になってくるとは……毎回のことながら開いた口が塞がりませんな」
シルベルク宰相も呆れた表情をする。
僕だってまさか「義侠」のアジトへ行くなんて想定してなかったよ。
でも「義侠」の所へ行かなければ、アーリアを保護できなかったわけだし、些細なことは許してほしい。
「僕のことより、アーリアの今後について考えたほうがいいと思うんだけど」
「そうだな。既に王都で暗殺者に狙われてもいる。「黒鴉」の推測が正しければ、エルファスト魔法王国の依頼で、王国内外の暗殺者ギルドが動いているだろう。それに魔法王国の諜報員も、王都の中を探って魔導士が発見できなかったら、城にいると考えるだろう。しばらくは城の警備を強化したほうが良さそうだな」
「では、そのように手配いたしましょう」
シルベルク宰相は椅子から立ち上がると、厳めしい表情をして玉座の間を去っていった。
「黒鴉」のアジトを出てから、カーネルさんとオーランへ礼をいう。
「今回もありがとうございます。」
「よいよい。また廃墟へ顔を出してくれ」
カーネルさんは朗らかに笑って、夜の暗がりの中へ消えていった。
そして僕、エミリア姉上、少女の三人が歩きはじめると、なぜかオーランも一緒についてくる。
「あれ? オーランはどこへ行くの? 僕達は王城へ向かうけど?」
「私も一緒。行く」
「どうして一緒に来るのよ。限られた者以外の城への出入りは禁止なんだから。アナタはダメでしょ」
またオーランとエミリア姉上が口喧嘩を始めた。
毎回のことだから、止める必要ないよね。
意外と気が合ってるようなだし
僕は二人を放置して、少女と話をするとにした。
彼女の名はアーリアと言い、年齢は十九歳だという。
ちょっと童顔なので、エミリア姉上と同い年ぐらいと思っていたのに、予想以上にお姉さんだった。
エルファスト魔法王国の端の街で生まれ、五歳の時に「魔法士」の加護を授かり、十歳の時に王都に連行され、それから魔法研究所の中で、魔法陣の研究を行っていたらしい。
魔法研究所を脱走して、国境を超えた辺りから、追っ手が姿を現すようになり、王都に到着してから、殺されそうになったという。
そこへオーランが通りかかり、「黒鴉」に連れて行ってくれたそうだ。
たぶんアーリアが王都に逃げ込んだことで、身柄の確保から暗殺へ、エルファスト魔法王国が方針を変更したのかもしれない。
ということは、これからアーリアは命を狙われる危険性があるな。
王城との警備が厳重だけど、オーランが気軽に入って来られるくらいだから、暗殺者が城に潜入する可能性がある。
「オーラン、頼みがあるんだけど」
「何?」
「アーリアを守ってくれないかな?」
「やる。任せて」
オーランはコクコクと頷いた。
あまりの気軽さに、依頼した僕のほうが不安になるけど。
城の大門から入らず、僕達四人は城壁の穴から城の中へと入る。
まだ朝方前なので、僕の自室へと皆で向かった。
部屋の中に入った僕達は、仮眠を取ることにして、僕が長いソファに寝ることになり、女子三人は僕のベッドで眠ることになった。
朝、目覚めるとオーランが僕の体を寄せて寝ていた。
そして、それを発見したエミリア姉上と口喧嘩になったけど、なんだかそんな二人が微笑ましい。
皆で朝食を食べ終わった後に玉座の間へ赴くと、ローランド兄上とシルベルク宰相が椅子に座って談笑していた。
ペコリと頭を下げて、二人の向かいの席に座る。
「エルファスト魔法王国から脱走してきた魔導士は無事に保護したよ。今は僕の部屋で待機してる」
「え、もう確保したのか。私が相談してまだ間もないぞ」
「たまたま知り合いが、魔導士の隠れた場所を知ってたんだよ」
「そうだったのか。その経緯を詳しく聞かせてくれ」
ローランド兄上は興奮したように目を輝かせる。
僕は身振り手振りも使い、カーネルさんとオーランの二人と一緒に「義侠」のアジトへ行った一部始終を詳細に説明した。
それを聞いたローランド兄上は頭が痛くなったような表情をして額に片手を当てる。
「「黒鴉」のアジトへ行っただと。王都で「蜘蛛」と並ぶ名うての悪党共じゃないか。エミリアも一緒にいたのに、どうしてそんな危険な場所へ行ってるんだ。魔導士の捜索は依頼したが、危険なことをしてほしいとは頼んでないぞ」
「サイラス組長は思っているほど悪い人じゃなさそうだよ」
「そういう問題じゃない」
「あの「黒鴉」と協力関係になってくるとは……毎回のことながら開いた口が塞がりませんな」
シルベルク宰相も呆れた表情をする。
僕だってまさか「義侠」のアジトへ行くなんて想定してなかったよ。
でも「義侠」の所へ行かなければ、アーリアを保護できなかったわけだし、些細なことは許してほしい。
「僕のことより、アーリアの今後について考えたほうがいいと思うんだけど」
「そうだな。既に王都で暗殺者に狙われてもいる。「黒鴉」の推測が正しければ、エルファスト魔法王国の依頼で、王国内外の暗殺者ギルドが動いているだろう。それに魔法王国の諜報員も、王都の中を探って魔導士が発見できなかったら、城にいると考えるだろう。しばらくは城の警備を強化したほうが良さそうだな」
「では、そのように手配いたしましょう」
シルベルク宰相は椅子から立ち上がると、厳めしい表情をして玉座の間を去っていった。
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