【完結】僕ら二度目のはじめまして ~オフィスで再会した、心に残ったままの初恋~

葉影

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第一章

第4話:憩いの場との出会い①

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 昨日給湯室でレセプションパーティー同行の業務を言い渡されてから、久遠の緊張は増していた。

 あれほど長い間神永と言葉を交わしたということだけでも、夢なのではないかと疑ってしまう。

 それなのに、明日私は、神永と2人でパーティーに行くらしい。パーティーという浮かれた言葉が、久遠の緊張状態とあまりにも似合わない。

 昨日の神永の様子で、確証は得られた。神永は過去のことをなかったことにすると決めていること。神永は久遠のことを一派遣社員としてのみ見なして、関わってくれているということ。

「久遠ちゃん、ご飯食べた?」

 隣のデスクの溝口に声をかけられ、久遠は目を通していた資料からパッと顔を上げた。

 ごはん……。

 入社して4日目になるが、そういえばお昼ご飯を食べた記憶がない。
 メモとまとめに必死で、すっかり空腹感が追いやられてみたいだ。そこに緊張によるみぞおちの凝りも相まって、最近は空腹感を感じない。

「小島さんはお昼食べてましたかってチーム長が聞いてきたのよ」

 「直接聞けばいいのになぜか伝言ゲーム」と笑う溝口の横で、久遠は固まる。

 そのまま神永のデスクの方をちらりと見ると、そばに立つ中原が持ってきた資料に何やらコメントをしているところだった。

 これ以上見ていては目が合ってしまうリスクを上げるので、慌てて溝口に視線を戻す。

「またお昼休み勉強に費やしてたの?え、てかさ、小島ちゃんが何か食べてるとこまだ見てないんだけど。まさか何も食べてないとかないよね?」

「いやっ、えっと」

「 うわあそれはだめだわ。早くご飯買いに行って?ここの作業私やっとくから」

「でも、」

「ご飯は食べないとだめ。田舎のお母さん心配するでしょ~」

 この残りが限られた昼休みの時間を勉強にあてた場合の勉強の進捗と、母に心配をかけないこと、を天秤にかけたら、後者の方が重要のような気はする。

 まだ小さい息子さんがいる溝口に言われると、久遠も小さい子どもになったような気分になる。

「まだ食べてないんならさ、あそこおすすめだよ。下にあるキッチンカー。女性にとってちょ~どいい量だから、午後も眠くならないの。日替わりだから何を売ってるとかは言えないんだけどね」

 溝口のこの何気ない紹介が、久遠と、久遠の唯一の憩いの場をつなぐ、かぎ針となったのだった。
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