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第一章
21話:10年前の出会い②
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┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
仲が良くなるまでに時間はかからなかった。
学校と違って同世代と話すことがあまりない病院で、温室に行くという日課のような行動経路が重なっていた2人は、会話する機会が自ずと増えたからだ。
彼の好きな花や私の好きな花を知るところから始まって、自分たちがなぜ入院しているのかという事情だったり、学校に行ったら何がしたいかなどの希望だったりを共有しあった。時間はたっぷりあった。
はじめは顔の綺麗な男の子に緊張していたけれど、彼の威張らない態度や、久遠への温かな接し方に触れて、緊張も解けていった。
……とはいえ、単なる対人緊張とかわりばんこのように、他の緊張が現れた。
彼と話している時の顔がおかしくないか、声が変じゃないか、目を合わせられない時があるのを不審に思われていないかなどが、どうしてこんなに気になるのか。――はじめは自分でも分からなかったけれど、これが恋心なのだと気づいてからは、楽しかった。
よりドキドキは増してしまったものの、毎日一織くんに会うのが楽しみで楽しみで、最後の入院生活で彼と出会えたことは、長らく退屈な入院生活を耐えてきたことへのご褒美かとも思った。
これまで病院での容姿なんて気にしたことがなかったのに、母に「家からストレートアイロンを持ってきてほしい」と言った時があった。彼と会うために、前髪を巻きたかったから。仲良くしている男の子がいるということを看護師から聞いていたであろう母はニヤニヤして承諾してくれて、一方その隣の父は不思議そうにしていた。
メイクはしたことがないけれど、前髪を巻くというスキルを持っているくらいには発達している中学2年生の女子にとって、一織くんとの時間は本当にときめいて、少しでもかわいいと思われたかった。
院内のコンビニにも色付きのリップクリームが売っていることに気付いた時は、嬉しくてこっそり自分で買った。その成分が自分の唇には合わなかったらしく皮は剥けたので、今思えばむしろ害悪だった。けれど、彼に会う前はそれをつけていた。
着ているのは入院着だし、病院でできるオシャレなんてたかが知れていたけれど、少しでも可愛いと思われたかった。
ある時、彼から唇の色に気づかれて、嬉しいやら恥ずかしいやらで顔を覆ったことも覚えている。自分の顔をそんなに見てくれていることを初めて知ったから。
一織は基本的話をうんうんと笑って聞いてくれていたけれど、久遠から踏み込んで彼に関する質問をすれば、ちゃんと答えてくれた。そして、時々綺麗な顔で毒を吐くのが面白かった。
ただ、久遠に対しては一貫して優しくて、それが親密の証なのか、それとも壁なのかは、分かりかねていた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
ある日、彼の病気は『急性散在性脳脊髄炎』という難しい名前の病気であること、そして、突然の病いによって、これまで一生懸命練習してきた弓道の全国大会に出場できなかったことが語られた。
ある時熱や頭痛がして、単なる体調不良かと思っていたら、次第に手足の麻痺が出てきたそうだ。
一織は、プレイルームで目が合った時や、初めて話した時から杖を支えに歩行していた。でもあまり見てはいけないかと思って特に触れずにいた。
弓道が出来なくなったということが、彼の世界での一大事だということは分かった。――けれど、はじめ聞いた時、久遠はうまく反応ができなかった。
その原因には、久遠には幼い頃から医師からの運動制限があり、運動経験がないから共感ができなかった、というのもある。
けれど、それ以上に、運動をできる体だった相手のことを羨むような、もっと言えば妬むような、そんな思いが先行してしまって、彼の思いを等身大で受け取ることができなかったのだった。
だから、よく分からないまま「そうなんだ。大変だったんだね」とだけ返した覚えがある。
けれどその日、彼と別れてから、ぼーっと病室でテレビを見ていた時に自分の反応が恥ずかしくなった。
元々はできていたことが突然できなくなる喪失と、元々できないことと、どっちが苦しいだろう。
たとえば私は、今、喋ることができるけれど、それが突然できなくなったら?しかも、ただ喋ることができるだけではなくて、もしも私が、スピーチコンテスト常連者だとか、すべらない話で活躍している芸人さんだったら?
液晶の中で流暢に喋る芸能人を眺めていてそう思った。
それに、喪失と元からできないことを比べること自体間違いなのかもしれない。どちらにも異なる苦しみがあって、それは同じ土俵で捉えるべきじゃないのだ。
あの頃の未熟な脳ではそこまでの思考に至ったかは覚えていないけれど、そんな風なことを考えた。
――今すぐ彼のところへ行きたい。
久遠は病室を飛び出しそうになる衝動を、運動制限がある身として抑えつつ、一織の病室に向かった。
一織の病室の場所は知っていたけれど、久遠が訪れるのははじめてだった。入り口から「一織くん」と呼びかけた久遠の姿を見て、一織は目を丸くした。
読んでいた本にすぐにしおりを挟み、「どうしたの」と久遠のもとへ来てくれる。
「さっきはごめん!私、反応薄かったかもしれないと思って」
自分の病室とは異なるフロアにあるこの病室まで来るまでに、ずっと頭の中で繰り返していたセリフを放った。
しかし突然久遠の文脈に呼び込まれた一織には、なにがなんだかわからない。
困ったように微笑みながら、「なんだろう、どうしたの」と腰をかがめてくれる。彼の左手には、自分の体を支える杖がある。
「私、分からなくて、さっき一織くんが弓道できなくなったって話してくれた時、大変だったねとか軽々しく言ったけど、言っちゃったけど、あれ間違いだったなと思って」
ここまでのセリフは用意していなかった。紡ぐ言葉は乱雑でわかりにくくて、自分でも並べていて嫌になった。
一織はきっとまだ久遠の言いたいことをよく分かっていないはずなのに、何やら必死であるということは伝わったらしく、「大丈夫だよ、おいで」と言ってくれて、病室の中に入れてくれる。
一織は杖をつきながら久遠をベット脇の椅子に促すと、自分のベッドに腰かけた。
彼の病室は特に特徴はなかったけれど、ベット脇の棚に数学や古文の教科書やノート類が置かれているのが見えた。
「久遠が謝らなきゃいけないことなんてあったっけ?あんまりピンと来てないよ俺」
心地よい声が耳を撫でて、それに流されて甘えそうになるけれど、ぐっと耐える。ちゃんと謝るべきだ。
「ううん。さっき、弓道のこと話してくれたでしょ。たくさん賞とかもとってたんだよね?それなのに急にそれが出来なくなったら、きっと、すっごく……」
「大変」「苦しい」くらいしか思い浮かぶ語彙がなくて、また止まってしまう。
彼の苦しみを極力表現する言葉は他になかったか。年下向けの絵本ばかり読んでいないで、自分も読書をしておくべきだった。
「とにかく、私はあんまり一織くんが言ったことの大きさを想像できていなかったなって……。それで、簡単に『大変だね』とか言っちゃったけど、なんかそんなもんじゃなかったよなと思って」
恥ずかしくて、膝の上で握った自分の手に視線を落として、やや早口で言った。
一織はなんて言うだろう。今どんな顔をしているだろう。
「……だから、ごめんって言いたいなと思って、急に来ちゃった。ごめんね」
また一織の顔を見ることは出来なかったけれど、言うべきだと思っていたことは言い切った。
「……ふ」
聞き間違いかと思った。が、顔を上げるとやはり、一織は口元を手で隠して震えていた。
「え、どうして笑うの……」
拍子抜けしてしまい、久遠は情けない声を出す。
「ごめんごめん」と言うけれど一向に笑いはおさまらない様子の一織をぽかんと眺める。
「そんなこと考えてたの?一人で?それでわざわざここまで来たの?階も、違うのに……」
おさまるどころかどんどん笑いが止まらなくなっているようだ。綺麗な顔が、美しく歪む。
さっきまで真剣に彼を思っていたはずなのに、こうも笑われると若干腹が立つ。
久遠が一織をじとりと見つめて黙っていると、また一織は「ごめんごめん」と言った。真剣に謝った上に笑われてしまい、久遠の顔は耳まで真っ赤だ。
「俺、なんも思ってなかったよ。むしろ、急に重い話して申し訳なかったなとか思ってた」
「……重い、とか……」
思っていない。
あなたは重くない。
その話を打ち明けてくれて、の話をしてくれるのは私だから?なんて期待してしまう私の方が、重い。
「ひとりでそんなに考えさせちゃったんだね。ごめんね」
少しだけ困ったように、ふわりと笑った。
それから言った。
「久遠。もし、嫌だったり、怖かったら、正直に言ってほしいんだけど」
急な出だしだったので、一織の意図が読めず身構える。
「撫でてもいい?」
仲が良くなるまでに時間はかからなかった。
学校と違って同世代と話すことがあまりない病院で、温室に行くという日課のような行動経路が重なっていた2人は、会話する機会が自ずと増えたからだ。
彼の好きな花や私の好きな花を知るところから始まって、自分たちがなぜ入院しているのかという事情だったり、学校に行ったら何がしたいかなどの希望だったりを共有しあった。時間はたっぷりあった。
はじめは顔の綺麗な男の子に緊張していたけれど、彼の威張らない態度や、久遠への温かな接し方に触れて、緊張も解けていった。
……とはいえ、単なる対人緊張とかわりばんこのように、他の緊張が現れた。
彼と話している時の顔がおかしくないか、声が変じゃないか、目を合わせられない時があるのを不審に思われていないかなどが、どうしてこんなに気になるのか。――はじめは自分でも分からなかったけれど、これが恋心なのだと気づいてからは、楽しかった。
よりドキドキは増してしまったものの、毎日一織くんに会うのが楽しみで楽しみで、最後の入院生活で彼と出会えたことは、長らく退屈な入院生活を耐えてきたことへのご褒美かとも思った。
これまで病院での容姿なんて気にしたことがなかったのに、母に「家からストレートアイロンを持ってきてほしい」と言った時があった。彼と会うために、前髪を巻きたかったから。仲良くしている男の子がいるということを看護師から聞いていたであろう母はニヤニヤして承諾してくれて、一方その隣の父は不思議そうにしていた。
メイクはしたことがないけれど、前髪を巻くというスキルを持っているくらいには発達している中学2年生の女子にとって、一織くんとの時間は本当にときめいて、少しでもかわいいと思われたかった。
院内のコンビニにも色付きのリップクリームが売っていることに気付いた時は、嬉しくてこっそり自分で買った。その成分が自分の唇には合わなかったらしく皮は剥けたので、今思えばむしろ害悪だった。けれど、彼に会う前はそれをつけていた。
着ているのは入院着だし、病院でできるオシャレなんてたかが知れていたけれど、少しでも可愛いと思われたかった。
ある時、彼から唇の色に気づかれて、嬉しいやら恥ずかしいやらで顔を覆ったことも覚えている。自分の顔をそんなに見てくれていることを初めて知ったから。
一織は基本的話をうんうんと笑って聞いてくれていたけれど、久遠から踏み込んで彼に関する質問をすれば、ちゃんと答えてくれた。そして、時々綺麗な顔で毒を吐くのが面白かった。
ただ、久遠に対しては一貫して優しくて、それが親密の証なのか、それとも壁なのかは、分かりかねていた。
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ある日、彼の病気は『急性散在性脳脊髄炎』という難しい名前の病気であること、そして、突然の病いによって、これまで一生懸命練習してきた弓道の全国大会に出場できなかったことが語られた。
ある時熱や頭痛がして、単なる体調不良かと思っていたら、次第に手足の麻痺が出てきたそうだ。
一織は、プレイルームで目が合った時や、初めて話した時から杖を支えに歩行していた。でもあまり見てはいけないかと思って特に触れずにいた。
弓道が出来なくなったということが、彼の世界での一大事だということは分かった。――けれど、はじめ聞いた時、久遠はうまく反応ができなかった。
その原因には、久遠には幼い頃から医師からの運動制限があり、運動経験がないから共感ができなかった、というのもある。
けれど、それ以上に、運動をできる体だった相手のことを羨むような、もっと言えば妬むような、そんな思いが先行してしまって、彼の思いを等身大で受け取ることができなかったのだった。
だから、よく分からないまま「そうなんだ。大変だったんだね」とだけ返した覚えがある。
けれどその日、彼と別れてから、ぼーっと病室でテレビを見ていた時に自分の反応が恥ずかしくなった。
元々はできていたことが突然できなくなる喪失と、元々できないことと、どっちが苦しいだろう。
たとえば私は、今、喋ることができるけれど、それが突然できなくなったら?しかも、ただ喋ることができるだけではなくて、もしも私が、スピーチコンテスト常連者だとか、すべらない話で活躍している芸人さんだったら?
液晶の中で流暢に喋る芸能人を眺めていてそう思った。
それに、喪失と元からできないことを比べること自体間違いなのかもしれない。どちらにも異なる苦しみがあって、それは同じ土俵で捉えるべきじゃないのだ。
あの頃の未熟な脳ではそこまでの思考に至ったかは覚えていないけれど、そんな風なことを考えた。
――今すぐ彼のところへ行きたい。
久遠は病室を飛び出しそうになる衝動を、運動制限がある身として抑えつつ、一織の病室に向かった。
一織の病室の場所は知っていたけれど、久遠が訪れるのははじめてだった。入り口から「一織くん」と呼びかけた久遠の姿を見て、一織は目を丸くした。
読んでいた本にすぐにしおりを挟み、「どうしたの」と久遠のもとへ来てくれる。
「さっきはごめん!私、反応薄かったかもしれないと思って」
自分の病室とは異なるフロアにあるこの病室まで来るまでに、ずっと頭の中で繰り返していたセリフを放った。
しかし突然久遠の文脈に呼び込まれた一織には、なにがなんだかわからない。
困ったように微笑みながら、「なんだろう、どうしたの」と腰をかがめてくれる。彼の左手には、自分の体を支える杖がある。
「私、分からなくて、さっき一織くんが弓道できなくなったって話してくれた時、大変だったねとか軽々しく言ったけど、言っちゃったけど、あれ間違いだったなと思って」
ここまでのセリフは用意していなかった。紡ぐ言葉は乱雑でわかりにくくて、自分でも並べていて嫌になった。
一織はきっとまだ久遠の言いたいことをよく分かっていないはずなのに、何やら必死であるということは伝わったらしく、「大丈夫だよ、おいで」と言ってくれて、病室の中に入れてくれる。
一織は杖をつきながら久遠をベット脇の椅子に促すと、自分のベッドに腰かけた。
彼の病室は特に特徴はなかったけれど、ベット脇の棚に数学や古文の教科書やノート類が置かれているのが見えた。
「久遠が謝らなきゃいけないことなんてあったっけ?あんまりピンと来てないよ俺」
心地よい声が耳を撫でて、それに流されて甘えそうになるけれど、ぐっと耐える。ちゃんと謝るべきだ。
「ううん。さっき、弓道のこと話してくれたでしょ。たくさん賞とかもとってたんだよね?それなのに急にそれが出来なくなったら、きっと、すっごく……」
「大変」「苦しい」くらいしか思い浮かぶ語彙がなくて、また止まってしまう。
彼の苦しみを極力表現する言葉は他になかったか。年下向けの絵本ばかり読んでいないで、自分も読書をしておくべきだった。
「とにかく、私はあんまり一織くんが言ったことの大きさを想像できていなかったなって……。それで、簡単に『大変だね』とか言っちゃったけど、なんかそんなもんじゃなかったよなと思って」
恥ずかしくて、膝の上で握った自分の手に視線を落として、やや早口で言った。
一織はなんて言うだろう。今どんな顔をしているだろう。
「……だから、ごめんって言いたいなと思って、急に来ちゃった。ごめんね」
また一織の顔を見ることは出来なかったけれど、言うべきだと思っていたことは言い切った。
「……ふ」
聞き間違いかと思った。が、顔を上げるとやはり、一織は口元を手で隠して震えていた。
「え、どうして笑うの……」
拍子抜けしてしまい、久遠は情けない声を出す。
「ごめんごめん」と言うけれど一向に笑いはおさまらない様子の一織をぽかんと眺める。
「そんなこと考えてたの?一人で?それでわざわざここまで来たの?階も、違うのに……」
おさまるどころかどんどん笑いが止まらなくなっているようだ。綺麗な顔が、美しく歪む。
さっきまで真剣に彼を思っていたはずなのに、こうも笑われると若干腹が立つ。
久遠が一織をじとりと見つめて黙っていると、また一織は「ごめんごめん」と言った。真剣に謝った上に笑われてしまい、久遠の顔は耳まで真っ赤だ。
「俺、なんも思ってなかったよ。むしろ、急に重い話して申し訳なかったなとか思ってた」
「……重い、とか……」
思っていない。
あなたは重くない。
その話を打ち明けてくれて、の話をしてくれるのは私だから?なんて期待してしまう私の方が、重い。
「ひとりでそんなに考えさせちゃったんだね。ごめんね」
少しだけ困ったように、ふわりと笑った。
それから言った。
「久遠。もし、嫌だったり、怖かったら、正直に言ってほしいんだけど」
急な出だしだったので、一織の意図が読めず身構える。
「撫でてもいい?」
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