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第一章
26話:月曜日
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┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
ピピピピピピピ……。
アラームの音を聞きながら、ぼんやり天井を見る。
じわじわと、さっきまで自分が見ていた一織と久遠の姿は夢の中の存在だったということを認識していく。
もう飽き飽きだ。付き合っていた頃の夢を見るのは。
金曜日のパーティーで神永と一緒にいた時間が長かったからだろうか。かなり鮮明に神永の顔が出てきた。
もし久遠の夢への出演料として神永に報酬を出すことになったら、これまでの蓄積を含めてかなりの額になってしまう。
そんなくだらないことを寝ぼけ眼で考えながら、なかなかベッドから出られない。
今日は月曜日。出社して、パーティー以来に一織と顔を合わせなければならないわけだ。
どうせなら土日のどちらかに夢に出てくればよかったのに、顔を合わせる日の朝になってからわざわざ出演してくるとは意地悪だ。
夢を見て、改めて、神永と2人になるような状況は意識的に避けようと決心した。過去との変化をひしひしと感じたり、不要な傷ついたりすることを未然に塞ぐためには、それが一番だ。
――と、思った矢先だった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「私が、チーム長と…………ですか?」
「です。すみませんお忙しい中……」
久遠の前で、普段とは違う敬語の口調で、申し訳なさそうに顔を歪める谷口。その顔を見ながら、瞬きを繰り返す久遠。
チームの中で唯一同い年の谷口が久遠のデスクへやって来たのは、毎週月曜日の朝に行われているというチーム会議開始前のことだった。メンバーがぽつぽつと席を立ち、すぐそばにある透明のブースになっている会議用の空間に移動を始めている。
谷口は、自身と神永が担当するはずだった医療展示会のブース設営に谷口が行けなくなってしまい、その代打を久遠に頼んでいるようだ。設営の日に、営業先との外せないアポが成り立ってしまったらしい。
今月末に東京ビッグサイトで開催されるその医療展示会に関する業務は、もともと産休に入った社員さんも関わっていたものらしく、今は絶賛人手不足なのだそうだ。
神永チームの開発サービス・ブリッジノートを紹介するブースの設営は、主に空間デザインの会社に委託するものの、こちらで用意して搬入する必要のあるポスター等があるのだという。その搬入作業や簡単な装飾などを、谷口が久遠に頼んでいる。
「チーム長も展示の経験はあるはずだし、ブース設営も多分慣れてる。だから、当日はチーム長に指示に従えば、なんとかなるはずだから」
ね、と念を押されるが、あまり内容が入って来ない。
「小島さんがその日都合OKなら、会議でチーム長に報告しちゃおうかなと思うんだけど……」
四の五の言っていても仕方がない。元彼だから出来ませんだとか、パーティーを経て2人きりはもう懲り懲りですだなんて、仕事の場で通用するわけがない。そもそも久遠は派遣社員であって、ここでは、割り当てられた人手不足の仕事をサポートするために存在するようなものなのだ。
「もちろんです。任せてください」
その後の会議で、神永から谷口からの提案が却下されれば願ったり叶ったりだったのだけれど、残念ながら神永・久遠ペアでの仕事として決まってしまった。
パーティー参加という難題をこなすことが出来たと思っていたら、一難去ってまた一難だ。
出来るだけ2人きりになることは避けたい、とわざわざ願っているのに、そう出来なくなる流れが連続するのは運命だろうか。
神永チームは少人数体制だからこれはある程度有りうることだと、冷静な考えがその空想をかき消すものの、どうしてもそう思ってしまう。
久遠が申し訳なさで縮こまる機会を作るべく、神様が導線をいじくっているんだろうか、なんて。
ピピピピピピピ……。
アラームの音を聞きながら、ぼんやり天井を見る。
じわじわと、さっきまで自分が見ていた一織と久遠の姿は夢の中の存在だったということを認識していく。
もう飽き飽きだ。付き合っていた頃の夢を見るのは。
金曜日のパーティーで神永と一緒にいた時間が長かったからだろうか。かなり鮮明に神永の顔が出てきた。
もし久遠の夢への出演料として神永に報酬を出すことになったら、これまでの蓄積を含めてかなりの額になってしまう。
そんなくだらないことを寝ぼけ眼で考えながら、なかなかベッドから出られない。
今日は月曜日。出社して、パーティー以来に一織と顔を合わせなければならないわけだ。
どうせなら土日のどちらかに夢に出てくればよかったのに、顔を合わせる日の朝になってからわざわざ出演してくるとは意地悪だ。
夢を見て、改めて、神永と2人になるような状況は意識的に避けようと決心した。過去との変化をひしひしと感じたり、不要な傷ついたりすることを未然に塞ぐためには、それが一番だ。
――と、思った矢先だった。
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「私が、チーム長と…………ですか?」
「です。すみませんお忙しい中……」
久遠の前で、普段とは違う敬語の口調で、申し訳なさそうに顔を歪める谷口。その顔を見ながら、瞬きを繰り返す久遠。
チームの中で唯一同い年の谷口が久遠のデスクへやって来たのは、毎週月曜日の朝に行われているというチーム会議開始前のことだった。メンバーがぽつぽつと席を立ち、すぐそばにある透明のブースになっている会議用の空間に移動を始めている。
谷口は、自身と神永が担当するはずだった医療展示会のブース設営に谷口が行けなくなってしまい、その代打を久遠に頼んでいるようだ。設営の日に、営業先との外せないアポが成り立ってしまったらしい。
今月末に東京ビッグサイトで開催されるその医療展示会に関する業務は、もともと産休に入った社員さんも関わっていたものらしく、今は絶賛人手不足なのだそうだ。
神永チームの開発サービス・ブリッジノートを紹介するブースの設営は、主に空間デザインの会社に委託するものの、こちらで用意して搬入する必要のあるポスター等があるのだという。その搬入作業や簡単な装飾などを、谷口が久遠に頼んでいる。
「チーム長も展示の経験はあるはずだし、ブース設営も多分慣れてる。だから、当日はチーム長に指示に従えば、なんとかなるはずだから」
ね、と念を押されるが、あまり内容が入って来ない。
「小島さんがその日都合OKなら、会議でチーム長に報告しちゃおうかなと思うんだけど……」
四の五の言っていても仕方がない。元彼だから出来ませんだとか、パーティーを経て2人きりはもう懲り懲りですだなんて、仕事の場で通用するわけがない。そもそも久遠は派遣社員であって、ここでは、割り当てられた人手不足の仕事をサポートするために存在するようなものなのだ。
「もちろんです。任せてください」
その後の会議で、神永から谷口からの提案が却下されれば願ったり叶ったりだったのだけれど、残念ながら神永・久遠ペアでの仕事として決まってしまった。
パーティー参加という難題をこなすことが出来たと思っていたら、一難去ってまた一難だ。
出来るだけ2人きりになることは避けたい、とわざわざ願っているのに、そう出来なくなる流れが連続するのは運命だろうか。
神永チームは少人数体制だからこれはある程度有りうることだと、冷静な考えがその空想をかき消すものの、どうしてもそう思ってしまう。
久遠が申し訳なさで縮こまる機会を作るべく、神様が導線をいじくっているんだろうか、なんて。
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