18禁ゲームの貴族に転生したけど、ステータスが別ゲーのなんだが? えっ? 俺、モブだよね?

ライカ

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第一幕

パーティー当日になったがその前に一波乱ありそうだ

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「いよいよこの日が来てしまった…………」

自室で、俺は着せられた正装を鏡で眺めながらそっと呟いた
そう……、今日は俺とフローラの誕生日及びお披露目パーティー当日だ…

今日が終われば、いよいよ決戦だ……
そのことを頭に入れつつ、俺は深呼吸をした

(大丈夫、万が一にも備えは十分過ぎるほどした
あとは明日のみ だから今日はパーティーを成功させないと………)

頭で無理やり思考を今日のパーティーに変え、気合いを入れ直せば、扉がノックされた

「シモン様 おられますか?
婚約者のフォルティナ様がお見えです」

「えっ?」

メルの言葉に思わず声が漏れた
パーティーまでまだ時間はある……
それなのに訪れるのは意外だった……
この二か月……、一度も屋敷に訪れなかったから急に来てらびっくりだ
もちろんコチラから行こうとしたが、父上に止められたから行けなかった

(……パーティー前に何かありそうだな)

俺は改めて乱れが無いかを確認すれば、すぐに扉に向かった

客室に入るとそこに居たのは同い年と思えないほどの美少女がそこに居た
髪は綺麗なストレートの白銀、鮮やかなスカーレットの目は宝石のようで、綺麗なドレスを身に纏っている少女こそ、俺の婚約者【フォルティナ・ガザードル】だ

「お待たせしました フォルティナ嬢」

「いいえ 私こそ、今日まで来れずに申し訳ございません
シモン様」

彼女の前で挨拶するとフォルティナはフワッとした笑顔を見せた
そして彼女の前に座ると俺はフォルティナを見て、思考を働かせた
それはあの友人から聞かされた内容だが……

『いいよなぁ~
フォルティナ・メリストちゃん、ゲームだけじゃなくて、リアルでも抱きたい!!』

そう……
ルミナス・エルドの攻略キャラは、フォルティナ・【ガザードル】では無く、フォルティナ・【メリスト】だ……
そして設定を聞かされたのを聞き流していたが、俺はしっかりと思い出した

「フォルティナ嬢 そのドレス、お美しいですね
新品を卸したのですか?」

「ふふふ えぇ、今日は貴方とフローラ様の誕生日パーティーですもの
少し気合いを入れましたわ」

ドレスを褒めれば、フォルティナは口元を隠し、微笑めばドレスを手で指した

「このドレスの色、私の領土で栽培した薔薇の色を抽出して、生地に染み込ませて、色をつけたら赤と白のコントラストが人気になってしまったのです」

そう言いつつ、誇らしげに話すフォルティナを見ながら頷いた

「確かにそのドレスの色合いはフォルティナ嬢の髪の色を引き立てるのにいいですな」

「まぁ、シモン様
随分と褒めるのが上手になりましたね」

お互いに笑いながら俺はボードをテーブルに置いた
フォルティナがそれを見て、何か聞こうとしたがすぐに口を閉じた
俺がそう合図を送ったからだ

そして板に魔力を纏わせた指を走らせ、確認してからフォルティナに見せた

「っ!?」

フォルティナはそれを見て、思わず口元を押さえて、声を殺してから俺を見た
そのボードには俺が書いた文字が出ている

[魔力を纏った指で触れれば、簡単に文字が出てくる
安全だから安心してくれ
質問に答えてくれ 盗聴の魔法がかけられてる
本当なら目の前のマカロンを食べてくれ
嘘なら紅茶を飲んでくれ]

そう、コレはゲームとかでもある個人チャットを真似して俺が作ったモノ……
似てもいないが、魔力を流せば文字が出て来るし、魔力を止めれば消える…
物凄く便利な秘密会話用のアイテムだ

フォルティナはしばらく俺を見てから、そっとマカロンを口にした

(やはり盗聴されてるか)

フォルティナの表情は変わらず笑顔だ
貴族の令嬢だからか、表情を顔に出ないように訓練しているのだろう

「ところで、今日は庭園の薔薇を見ましたか?
今日はいつにも増して、元気に咲いてましてね」
[適当に話題を振る 話を合わせてくれ]

「まぁ、それはとても良い事ですわね
ぜひ、あとで案内してもらいたいですわ」
[えぇ、分かったわ]

適当に話題を振りながらボードにやり方を実演し見せてるからか、フォルティナも見よう見まねだがボードを使ってくれた
ボードに自分の意思が出てくると興味深々でボードを見ている

「えぇ、あとで私がエスコートさせていただきます」
[早速だが本題に入らせてもらう
フォルティナ嬢 貴女、ガザードル男爵に良からぬことをされてますね?]

ボードの文字を見て、一瞬、フォルティナの目が見開いたがすぐに平常に戻り、ボードに指を置いた

[えぇ、私はお父様にまるで奴隷のようにされております]

その言葉を見て(やっぱり……)と思った
あのエロゲー野郎の話の内容から察するに……

[少し辛い事を聞きますが、その奴隷と言うのは性奴隷ですね?]

[はい]

俺の質問に素早く答えた彼女を見て、俺は顎に手を当てた
そう……、フォルティナは実の父親に手を出され、その身を汚された
今の段階だと処女だと言うことは明確……
だが、設定の話を聞いた時に恐らくだが、フェルストリー家が盗賊で壊滅させられた後、屋敷に戻った時、彼女は父親に強姦された

「シモン様 今日はパーティーにとっても良い陽気になりましたね」
[シモン様 見てもらいたいモノがございます]

そうボードに書き込んだ彼女に目線を向けるお彼女はソッと音を立てず、俺の傍に来れば、ソッと前屈みになり、胸元から体を見せた

「っ……」

彼女の体を見た瞬間、俺は息を呑み、思わず拳を握った
彼女の体には無数の痣、火傷の跡があった

[私はお母様が亡くなって、しばらくしてからお父様は私を襲ったのです
抵抗しましたが縛られ、鞭で何度も叩かれ、しまいには火の魔法で私の体を痛ぶり、何度も……]

彼女の手は震えながらボードを触っていて、顔を見ると笑顔だが、涙目になっていた

[シモン様との婚約もお母様がお決めになられましたが今、あの人が何を考えてるのかは分かりません
こんな私はシモン様に迷惑でしょう
だから、このパーティーが終わったら婚約を解]

彼女が何を思って、ボードに書き込んでいるのかを理解しているからこそ、全部は書かせず、途中で彼女の手を掴み、離させれば、俺はボードに手を置いた

[お前との婚約は解消はしない]

その文字を見て、彼女は目を見開き、俺を見てきたが俺は構わず、ボードに書き込む

[既にガザードル男爵の汚職及び様々なモノは調べ上げている
フォルティナ お前がどう思ってるかは理解している
だからこそ言う それは全て終わってからにしろ]

俺はそう書き込んで、反対の手で彼女の頬に触れた

[今日から一週間、俺の屋敷に泊まる手筈をしろ そして三日ぐらいは屋敷から出ないでくれ
ガザードル男爵は盗賊達に俺たちを殺すよう依頼している 明日がその当日だ]

フォルティナは文字を見て、震えて、俺の手を掴むが俺はその手を握り返した

[そこでケリをつける
盗賊のアジトにはガザードル男爵が自ら手配した誓約書が置いてある
盗賊どもを迎撃し、その証拠を引っ提げてガザードル男爵を捕まえれば、全て終わる
だから最後に言う お前はどうしたい?]

そこまで書き込めば、ボードから手を離した
フォルティナは震える手でボードに触った

「シモン様 私は貴方の婚約者になれて幸せです」
[助けて!!]

声は平常だが、その表情はぐずれ泣き顔を見せながら彼女の本心がやっと書き込まれた

「そうか」
[任せろ お前の専属メイドも纏めて救う]

彼女が涙が引っ込むまで待って、泣き止んだのを確認すれば彼女の専属メイドに静かにサインを送り、彼女達専用の部屋に行く背中を見送った後、俺は息を吐き、思わず首元を緩めた

「負けられねえ理由が増えたな……」

ボソッと呟きながら俺は外を見た
外は丁度、二時あたりだろうか、ポカポカと日が部屋に差し込んでくる

決戦の日は……、迫ってきている……
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