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第一幕
パーティーが始まった
しおりを挟む太陽が沈み、空に星々が輝きを見せ始めた
この辺りから周りは暗くなってくが、魔道具の街灯が道を照らしている
そんな光景を見ながら俺は玄関で父上の隣に居た
「父上 今日は私とフローラの誕生日パーティーでもあり、お披露目パーティーなのですが、私がここに居てもいいのですが?」
俺がそう聞くと、父上は少し困ったように頬を掻いた
「本来ならパーティーの主役として、パーティーの開始で登場の予定だが、ユーリの婚約者である第一王女殿下のローリアス様がお見えになったのだ
ならば、ユーリはローリアス様をエスコートしなければならない
ゼアルは既に中で来場者の相手をしてもらっているので手が離せないのだ すまんな」
父上はそう言い、俺の頭を撫でてくれた
しかし父上の気持ちも分かるから俺は素直に頷いた
パーティーが始まる二時間前に王家の馬車がやってきて、馬車から【ローリアス・シルブェクト】第一王女殿下が来場した
ローリアス王女殿下は化粧をアッサリと簡単にしているが、絶世の美女と言われてもおかしくないくらいに綺麗だ
金髪のストレートの髪はまるで一本ずつが、シルクのようにサラサラとしているように見えた
そしてドレスもかなりシンプルな物になっている
ちなみにユーリ兄さんはローリアス様に会うと家族の前だと言うのにキスしていたが、まぁ、本人同士、愛し合ってるなら問題ないな……
ちなみにキスする際に俺はフローラの目を隠した
そしてこの時間帯まで、ずっと来場された貴族等の方々に挨拶をし、中へと誘導した
父上も会う人達に笑顔で話して、中には親しすぎて、今度、呑みに行こうと、誘っていたりしていた
そうした中、一際、大きな馬車が入ってくると父上が馬車が到着する前に膝を着き、頭を下げたのを見て、俺も同じようにした
馬車が止まり、中から豪華そうな男が出てきた
「久しいな、ガラルド」 「はい 陛下もお久しゅうございます」
男は父上を見て、微笑めば、父上は丁寧な言葉遣いで挨拶を返した
そう、目の前に居るのはこの国の王である【アーサー・シルブェクト】陛下だ
一目見ただけでも理解が出来る程、この人は強い……
今は正装しているが、その腰には剣が下がっていて、隙が見えない……
そして正装の下には鍛え上げられた肉体を隠しているように見える……
「して、そちらの子が」
「お初にお目にかかります
フェルストリー家が三男、シモン・フェルストリーと申します」
陛下が俺に視線を向けてきたので、挨拶をすると陛下は「ほぉ………」と声を漏らした
「三男の事はユーリの手紙より聞いておったが、確かに他の子と比べ、大人びておるな」
陛下は顎鬚を撫でながらそう告げて来て、俺は思いっきりドキッとした
(そりゃあ中身は二十歳超えた成人男性なんだからしゃあないけど……
鋭いな……)
バレてないか、ドキドキしていると父上が俺の頭に手を置いた
「はい、ユーリやゼアルと同じで私の誇れる息子です」
父上にそう言われるとなんか照れ臭くて、顔を下げるとふと、陛下の後ろに数名、居るのが見えた
「ワシ達も中へ、入る
あとでな、ガラルド」
そう言って、陛下達は使用人に案内され、中へ、入っていった
その時、視線を感じ、少し顔を上げ、見てみると同年代だろうか?
フワッとしたドレススカートを揺らしながら歩いてる少女と目が合った
そして目が合った事に気付くと少女は顔を赤くして、足早に陛下達の後を追っていった
「つ、疲れた……………」
そしてそれから数分後、パーティーは開始された
俺はフローラをエスコートし、会場に入ると、かなりの視線を感じ、正直、妙に懐かしかったがそれは置いといて、先ずは挨拶をすれば、パーティーが始まった
最初は挨拶回りで、俺とフローラは父上に案内され、来てくれた方々に挨拶をしていく
全員に挨拶を終えるとようやく一息…………、つける間もなく、今度は貴族達に囲まれ、やれ、「良き関係を」とか、やれ、「ウチの娘をぜひ」とか、散々に迫ってきたが、俺はそれを簡単にあしらった
(まるで大学に入学した時のサークル勧誘みたいだったな……)
フローラには母上やゼアル兄さん、ローリアス様が対処していたから問題ないだろう……
ユーリ兄さんがローリアス様の傍を離れないから護衛も安心だろう
だけど、時々、兄さん達の視線を感じるから心配されてることが分かって、嬉しかった
そうして今、ようやく会場を抜け出し、一人になり、庭園のベンチに座って、一息ついたところだ
流石に大学の時に確か歓迎会とかでも何処か、借りて、大勢で交流したっけ……
あの時もすげえ大変だったけど、これはまた一味も、二味も違うな……
「……さて、そろそろ出てきてくれるか?」
一息もついた所で向かい側の茂みに声を掛けるとガサっと動けば、人影が出てきた
「も、申し訳、ございません……」
「貴女は……」
茂みから出てきたのは陛下の後ろを歩いていた王女殿下だった
「な、名乗るのが遅くなりました……
私は第三王女……、シャルロッテと申します………」
「これは失礼 シモン・フェルストリーといいます
ところで第三王女殿下は何故、私の後をつけるような真似を?」
そこまで言うとシャルロッテはモジモジとしながら、俺を見るとギュッと自分の手を握った
「わ、私、同じ歳の人とはあんまり交流が無くて……、よ、よろしければ……、私とお友達になってくだちゃい!!」
頬を赤らめ、シャルロッテはそう言ってくれば、俺は肩透かしを食らった気で少しポカンとした
シャルロッテの様子から見て、何か頼み事とかだと思ってたから意外だった
「それは私でよければ「でしたら、私の事は呼び捨てでお願いします!!」お、おぉふ……」
俺が全て言い切る前にシャルロッテに迫られ、圧倒されたがとりあえず隣に座っていただき、話を聞いてみた
シャルロッテはどうも第三王女と言う立場だが、本人はそんな気は無く、単純に普通の友人が欲しいと思ってたらしい
第三皇女と言う身分だけあって、他の子と同じようにただ遊び回りたいと思っても、なかなか自由には出来てなくて、友達が出来ず、城に篭りっきりになってしまったらしい……
それをローリアス様が部屋を蹴り破り、今日のパーティーに無理やり連れてきていたらしい
(ってか、第一王女様……、見た目の割にワイルドだな…
そりゃあユーリ兄さんが惹かれるのも分かる気がする……)
「シモン様 私、もっとシモン様のお話もお聞きしたいですし、シモン様が普段、どんなことをして遊んでるのかも知りたいです」
シャルロッテは初めての友達が出来たからか、グイグイと俺に話しかけてきてくれる
それに対して、俺も言葉を選びながら話していく
(下手すると転生前の事を話しそうだしな………)
そうして話してると王家の騎士の一人がやってきた
「第三王女様 陛下が探しておいでです」
「あっ……、はい……」
騎士がそう伝えるとシャルロッテの顔はまるでこの世の終わりみたいな顔になった
そして立ち上がれば、俺を名残惜しそうに見てきた
「……シャルロッテ様、お誘いがありましたら今度は私の方から訪れますので」
「ほ、ホント!?や、約束ですからね!!」
困ったから一応、そう言う風に言うとものすごい勢いで、食い付いてきて、俺が頷けば、満面の笑みで騎士と共に去っていった
「つ、疲れた……」
シャルロッテが去っていったのを見送ると俺はベンチに背をやり、溜息をついた
本当にあぁいうタイプは凄みが凄い……
ただ……
(少し懐かしかったな……)
大学時によく遊ぼうと絡まれていた後輩を思い出した
最初は嫌だったけど、なんだかんだ可愛い後輩だったからな
(……………皆、何してんだろうな)
大学の友人、後輩、両親に、だった一人の妹……
そして大事なゲーム仲間達……
ふと、心に寂しさが襲ってきたが、フッと笑った
「きっと大丈夫だ」
俺がもし仮に死んでいたとしても、大丈夫なはずだ……
ちゃんと前を向いてくれる……
「なら、俺も前に進まねえとな……」
頬を叩いて、立ち上がると中へ戻っていく
パーティーは終わりに向かっている
その後は……、俺達の戦いだ……
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