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第五章
人魚の国
しおりを挟むここは深海……
太陽の光が届かない場所に大きなドーム型の結界があった
その中に入るとそこは人魚や魚人が住む人魚の国……
人工的に作られた太陽に照らされ、植物が生えていたりと陸の大陸と何ら変わらない……
そんな平和な国のはずだが、何処となく人影が少ない……
そんな国の所持している神殿に大勢の人間達が集められていた
その人間達は陸から攫われて、ここに捕まった人達であった
そして祭壇を作られていて、その祭壇に上がり、ずっと何かをブツブツ唱えている大男が居た
彼はこの国の王である【アグロ・シース】だ
そして周りには大勢の近衛騎士の人魚達が居る
そんな彼らの前に大きな蛇の石像があった
「今ここに復活の呪符は完成した
さぁ これより生贄の血を持ち、大いなる神、オーシャンサーペントの復活である」
低い声と共にアグロは祭壇から立ち上がると振り返り、人間達を見た
「お前らの血肉を持って、今、陸の人間に報復を 我が娘を亡き者にした者達に復讐を「《カチコミキック》!!」ベポラァ!?」
そんな演説しているアグロの顔面を思いっきり《カチコミキック》で蹴り飛ばして、俺、華麗に登場!!
と言うのは置いておこう……
何故、俺がここにいるかと言うと、ニシェリスに俺を攫ってきた演技をさせて、ここに連れて来させたのだ
ちなみに今の俺は変装がてら、大体8歳くらいの姿をした子供になっている
何で子供の姿になっているのかと言うとスキルで《メタモルチェンジ》と言うのがあるからだ
《メタモルチェンジ
モンスターや子供、老人、ましてや性別さえ化けさせる擬態スキル》
それでここまでバレずに済んだのだ
子供だから力が無いと勘違いしてくれるから簡単に潜入出来ちまった
「こんな宗教じみた真似はここまで、だ」
俺はそう言い、指を鳴らすと集められていた大勢の人間達が次々に転移していき、遂には俺一人を残して、転移完了した
転移先はあのノットが居た村だ
あそこなら事情を知っているノットが転移させた人達を安全な場所に誘導するだろう
「やってくれたな…… ガキが……」
「それはお前の方だろうが
大事な家族を攫われた悲しさ、怒りは分かる
だが、それで逆恨みにも腹立たしいわ
何の調査もしてねぇで、何が粛清だ ドアホが」
ニシェリスから詳しい情報を尋問したところ、アグロはニシェリスの言葉を鵜呑みにし、ろくに信憑調査もせずにこの惨劇を企てたらしい……
娘の言葉を信じるのは親として、大事な事だがコイツの場合はその度が過ぎている
「黙れ!! 人間風情が!!
我が娘を奪い去った愚か者どもが!!」
アグロの言葉に周りの親兵達が動き出した
「やめてください!!」 「リーファ!?」
だが、すぐ近くで《召喚》の魔法陣が出てくるとリーファが飛び出し、俺を庇うように立った
「リー、ファ?」
「お父様!! こんなことはお辞めください!!
私はこの通り、無事です!!
何故、このような事になってしまったのですか!?」
アグロはリーファの登場に立ちろいでいる所をリーファが説得に入った
「以前、人間とは友好的な条約を結び、我々と利益を共にし、共存する事をお話ししてくれましたではありませんか!?
それなのにこのような事を起こし、ましてや、禁忌とされる儀式に手を出すなど、お父様らしくありません!!
一体、何があったのですか!?」
「だ、黙れぇ!! 貴様は、我が娘ではない!!」
「お父様ぁ!!」
リーファの決死の説得だがアグロが頭を押さえながらそう叫び、リーファは泣きながら説得を続けようとしているのを俺は止めた
「シモン様!? 何故、止めるのですか!?」
「何かがおかしい…… そう思っていたがやはりか
リーファ よく聞け
お前の親父さんは洗脳されてる」
「っ!? それは本当なのですか!?」
リーファが俺の言葉に驚きながら聞いてくると俺は頷きながらアグロを見ていた
アグロはまるで何かに抵抗している素振りを先程、リーファを娘では無いと言い放った時にした
と、なるとあの言葉はアグロの本心では無いとみる
なら何故、そう言い放ったのか?
答えは簡単だ……
洗脳されて操られているからだ
それに《狩人の目》を使い、アグロのステータスを確認した時に《洗脳》と出たから仕様が変わっていなければ間違いないだろう
《狩人の目
プレイヤーが唯一敵モンスターのステータスを確認できるスキル
初歩でこのスキルを取得できるが大半のプレイヤーはこのスキルを捨てている》
親兵騎士もアグロの様子に疑惑を抱きつつあると見た時、人魚の国を覆っていた結界にヒビが走るとパリンと割れて、その穴から巨人が入ってきた
「すまん!! シフォン
ここの上から潜ってきたんだけどかなり深くて、しかも地味に結界が強靭すぎて破るのに時間がかかった」
その巨人を脇目で見ていると俺の側にアルバートが飛んできた
しかもフォルティア達のオマケもついている……
「お前…… フォルティア達にバレずに来いって言ったろ?」
「仕方ねえだろ!?
深夜になったからそろそろ行くかと思ったら部屋の外でガン待ちされてたんだからよ!?」
俺が元の姿に戻り、文句を言うとアルバートはフォルティア達を指差しながら子供のように言い訳をしてきた
まぁ、確かにガン待ちされてたんなら無理だな
「ぐっ!? うぅぅぅ!?」
視線をアグロに戻すとアグロをユキが拘束し、ネロが親兵騎士達を近づけさせないと大盾を振り、吹き飛ばしていた
「ミュレーヌ 頼めるか?」
「はい 聖女の力でどれだけ行けるか分かりませんが」
ミュレーヌは大杖を構え、アグロの額に当てるとブツブツと呪文を唱え始めた
その瞬間、アグロの真下に魔法陣が展開され、アグロの体から黒い煙みたいなオーラが出てきた
そして魔法陣に吸い込まれていく
ミュレーヌを見るとブツブツと呪文を唱え続けているが額に汗を流し、集中している
そしてアグロの体から黒いオーラが全部、抜け切ったのか、知らないけれどアグロの体から黒いオーラが出てこなくなり、魔法陣が消えるとアグロはドサっと倒れ込んだ
「お父様!?」
リーファとその姉妹達がアグロに駆け寄る中、俺は倒れそうになったミュレーヌを抱き止めた
「お疲れ」 「はい…… えへへ…… ご主人様の腕の中、あったかい……」
ミュレーヌは疲労困憊と言った状態なのか、俺の腕の中でそう呟くとクテッと眠りに落ちた
「ネロ すまんがミュレーヌを頼む」
「えぇ、任せて」
ミュレーヌをネロに渡し、任せるとオーシャンサーペントの石像を見る
「さて、ボロネーゼ卿
この後の流れ、分かってるよな?」
「分かってる
大体、いつものパターンだと」
俺がアルバートに聞くとアルバートは準備運動しながらそう答えた
そして次の瞬間、地響きが起きるとオーシャンサーペントの石像にヒビが入った
「「あー、やっぱりテンプレだ」」
そう言うと俺達、二人でこの場に居る全員を転移させると神殿が崩落した
転移した場所は人魚の国の城でここからなら神殿の方まで見えると思ってたがその通りだった
神殿の方はまるで爆弾が落とされたかの如き、キノコ雲を爆雲を作っていた
そしてその土煙の中で何かが蠢いていると高音の鳴き声と共に土煙が散った
そこに居たのは鮮やかな鱗を持った巨大な蛇だった
見るからに猛毒を使ってきそうな見た目をしている……
「意外に小せえな 小型か?」 「いやいや、まだ赤ん坊の蛇かもよ」
二人でそんな会話をしているとニズアルトがやってきた
「主人様!! 言われた通り、人魚の国の住民を全て!!
ここに避難させました!!」
ニズアルトの報告を受け、頷き、オーシャンサーペントを見るとこちらに向かって、迫ってきていた
「やれやれ、やるしかなさそうだな」
俺はそう言うと右手を出した
「《召喚 リヴァイアサン》」
召喚を行うと俺の前に大きな渦潮が現れ、そこからリヴァイアサンが飛び出してきた
「行くぞ リヴァイアサン」 「暴れるぜ!! タイタン!!」
俺とアルバートの足元に魔法陣が展開されると視界が急に空中になった
いや 今、俺はリヴァイアサンと意識をコンタクトし、共有し合ってる状態だ
リヴァイアサンの反対にオーシャンサーペントを挟むようなタイタンが勢いよく駆けて、突っ込んで行ってるのが見えると俺達も突っ込んで行った
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