【完結】深窓の公爵令息は溺愛される~何故か周囲にエロが溢れてる~

芯夜

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本編

9 ミラという少女

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毎日朝と晩、必ずシリウスと口付けを交わして魔力を貰って、日中もガントとフィリスに周辺を見張ってもらって、隠れてこっそりとキスをする。

そのお陰で、エディフィールは人並みかどうかは分からないが、倒れることなく授業に参加できていた。

一年生の間は大体皆同じような授業内容だ。
選択授業が増えて授業が分かれるようになってくるのは二年生からで、一年生の間はどちらかというと集団授業に慣れることが目標のように思える。

エディフィールはシリウスとガントとフィリスという、体調のことを十分に理解してくれている友人達と過ごしている。
のだが、ミラという少女は毎日毎日、めげずにシリウスと行動を共にしようとする。

エディフィールとしては、平民というだけで虐めにあうこともあると聞いてしまえば、確実に他の生徒が手を出しにくいこのグループに擦り寄ってくるのは分かる気がした。

どうやら魔法の才で入学したらしいのだが、後見人が居ないらしい。

平民でも才能を買われて貴族の後見人が付いていれば、学院内で身分を理由に見下されることはない。
何かあれば後見人が出てくるから。

でも後見人の居ない平民は、学費が免除になると言っても生活費を自分で稼がなくてはいけない。

学院の敷地外には許可なく出れないので、学生向けのアルバイト掲示板のようなものがある。
そこで主に掃除などのお手伝いをして、お小遣いを稼ぐのだ。

ちなみに平民だけでなく、家計の苦しい下級貴族もお世話になるそうだ。

そんな事情をミラ本人から聞いてしまったので、エディフィールは多すぎる食堂のご飯をミラに分け与えていた。
そうしないと、いつもパン一個しか食べていないのだ。

エディフィールとしては食べかけを食べさせてしまって申し訳ないのだが、かと言って小食すぎるので残してしまうのも勿体ない。

ミラは美味しい美味しいと喜んで食べてくれるので、小皿にエディフィールが食べれそうな分だけ選り分けて、残りのトレイに乗った食事をあげている。

餌付けした形になってしまったが、そのせいでエディフィールはミラに懐かれてしまった気がする。

放課後になるとエディフィールは寮へ、シリウスは生徒会へ仕事に、ガントは剣術クラブに身体を動かしに、フィリスは魔術研究会へ学びに行ってしまう。
言ってしまえばクラブ活動をしに行っている。

だがエディフィールは体力に難ありなので、放課後は寮で大人しくするくらいしかやることがないのだ。

そこに目を付けたのか、ミラのアルバイトが無い日は彼女に付き合ってお茶をすることが多くなった。

話の内容は主にミラの身の上話だ。

「私も後見人が付いたらって思うんですけど、元々身寄りが無かったせいか、だーれも後見人になってくれなかったんですよね。自分に魔力があるって分かってはいたけど、まさか王立学院に入れるくらいあるとは思ってなかったし、これなら私も一人で生きていけるって思ったんですけど。ちゃんと、他の候補者と一緒に皆の前で試験したんですよ?その中で一番優秀だって褒めてくれたのに、私の経歴を聞いた途端に無視されちゃって。酷いと思いません?」

ぷりぷりと怒りながら、ミラは甘い果実のジュースに口を付ける。

「孤児って言っても、市民権は持ってたんでしょ?」

「あったり前よ。たまたま叔父様と叔母様が、スラム街で私を拾ってくれて育ててくれたの。ちゃんとあちこちで働いて、自分のお金で市民権を獲得したわ。税金だって自分の分は自分で払ってたわよ。叔母様は身籠っていたから、下手に養子縁組すると相続がどうのとかでややこしいと思ったから、養子縁組はしなかったのに。それを何か後ろめたいことがあるんじゃないのかですって。失礼しちゃうわ。親の顔も知らない孤児が、何の陰謀を企てるって言うのよ。養子縁組を申し入れてくれた叔母様達にも申し訳ないわ。」

「ミラ嬢が何か陰謀を……無理じゃないかな?」

短い付き合いのエディフィールにも分かるくらい、ミラは表裏が無いのだ。
思ったことはズバッというし、自分が間違っていない限り謝りもしない。

それが一部の権力を笠に着て歩いている貴族には嫌われているのだが、権力に媚びへつらうのではなく、自分の意見をしっかり持っているミラは好ましいと思う。

世渡りはしにくそうだが、それがミラの良いところだと思うのだ。
華憐で打たれ弱そうな見た目からは想像の付かない芯の強さではあるが。

「私も無理だと思う。けど、エディフィール様に言われるとちょっともにょる。はー……後見とかもうどうでも良いから、能力だけ見てどっかに拾い上げて貰えたらなー。やっぱりコネが無いと魔法師団に入るとかって無理かしら?」

ぐでーっとテーブルに突っ伏したミラに、はしたないよと声を掛けると背筋がしゃんと伸びる。

「もしかして……シルに声を掛けたのはコネ狙い?周囲は王子妃狙いって思ってるみたいだけど。」

「あーそう見えてもおかしくないのかしら?別に王子妃なんて狙ってないわ。だって、平民どころか出自の分からない孤児よ?そりゃあ絵本の王子様みたいでときめかないかと言われたらときめくけど。それとこれは別でしょ?それに……私は多分恋愛はしないわ。好きな人は唯一人で十分だもの。……だから、シリウス様の近くで成果を出せば、もしかしたらって思ってね。これでもフィリス様に続いて魔法学では二位だもの。これからも頑張って成果を出すわ。」

少し遠くを見て寂しそうな顔をしたミラは、取り繕う様に元気に言い切った。

その様子が気になりながらも、どこかホッとした自分が居る。
大好きな友人が取られそうとでも思ったのだろうかと疑問に思いつつ、ミラとの会話に戻る。

「シルは実力主義だから、シルが認めてくれると良いね。それよりは、教員たちが色眼鏡じゃなく推薦してくれるのが一番だけど。」

「無理じゃないかしら?それこそコネの世界でしょ?まぁ、私は私に出来ることを頑張るだけよ。絶対後見人になってくれなかった貴族たちを見返してやるんだから!」

決意を新たにしたミラとのお茶会が終わる。

ミラもお金を出すと言ってくれるが、いつも会計はエディフィールがしている。

エディフィールは少しずつお菓子を食べさせて貰えれば満足するし、残すよりはいい。
なにより紅茶もポットサービス一回分なので、一人でお茶をする金額しかかかっていないのだ。

レディに払わせるなんて出来ないよというと、ミラは少し照れる。

今まで自立するために頑張っていたんだろうなと思うから、細やかなエディフィールなりの甘やかしだ。
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