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第一章 非公式お茶会
27 アルフォードお兄様と城下町デート①
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Side:アシェル11歳 秋
アシェルは温室の一つの隣にある実験室にしている小屋で、ふんふんと鼻歌を歌いながら薬草や魔物素材をテーブルの上に並べていた。
鼻歌は前世の童謡だ。
部屋の中にはアルコールランプのようなものやフラスコ、試験管、蒸留器など。
錬金術師といえば!で思いつきそうな器具がごろごろしている。
ランプの炎で熱くなったフラスコの中には、ぽこぽこと泡を出すお湯と薬草が入れられている。
煎じたそれを一口含み、紙にさらさらと文字を書いていく。
それを何回にも分けて繰り返し。温度を変え、状態を変え、部位を変え。
何パターンも試しながらベストを探っていく。
いくつかの薬剤を混ぜ、味見し。さらにまたさらさらと考え付いたことを書いていく。
ペンを走らせていると、不意に部屋の中が眩しくなった。
「アシェ、また研究か?」
声をした方を見ると、アルフォードが立っていた。
今王立学院は夏季休暇中で、アルフォードは帰省中だ。
灯の魔道具に魔力を通してくれたようだ。
そして、灯が必要なくらい外は暗くなっていた。
「はい、昨日採ってきた素材で……つい集中しちゃって。」
ごめんなさい。と頭を下げた。
呼びに来たということは夕飯の時間だろう。
「いや、研究熱心なのは構わないんだけど……やっぱり冒険者は続けるのか?」
心配そうな表情で聞かれるが、アシェルは冒険者活動をやめるつもりはない。
「もちろん。欲しいものはできるだけ自分で採りに行きたいんです。それにアル兄様だって、冒険者登録してるでしょ。」
「う……まぁそうなんだが。」
「別にランクアップは狙ってないですし。冒険者タグがあれば素材買取もだけど、分け前をタグ管理してくれるから買い物でお財布出さなくてよくて楽なんですよね。」
冒険者に登録することでネックレスにプレートのついたタグを貰うことができる。
この冒険者証が身分証明書とお財布の代わりになっているのだ。名前の登録は“アシェル”とだけで、家名は入れていない。
イメージは証明書つきの、おサイフケータイみたいな位置づけだ。
ランクアップしようと思えばギルドの依頼をこなさなければならないが、アシェル達は戦闘と一部の素材が目的でランクアップは望んでいない。
そのため狩ってきた魔物から必要な部分だけ抜くか、解体を依頼したその場で必要部位だけ貰って、残りを買取に出している。
冒険者ギルド登録しておけば解体作業費を半額に抑えらえれるし、状態が良いものを卸せば買取価格に色を付けてもらえる。
「まぁ確かに楽だよな。王都内なら大体どこでも使えるし。」
「でしょ?」
話しながらささっと道具を片付けていく。
用紙は簡単にまとめ、最後に火の消し忘れがないか、再確認していく。
「お待たせしました。ご飯に行きましょう、アル兄様。」
「あぁ、行こうか。」
すっと差し出されたアルフォードの手をとり、手を繋いで歩く。
「そうだ、明日って予定空いてるか?」
「明日は習い事もお休みの日だから、何も予定はないですよ?」
「じゃあ俺と買い物に行かないか?最近美味しいケーキを出してくれるカフェができたらしくてな。さすがに男一人じゃ入りにくいんだよ。」
アルフォードは甘党なのでお店が気になるのだろう。
女性客の多いカフェだと、確かに男一人では入りにくいかもしれない。
「いいですよ。服装は?」
「ありがとう。街歩きにちょうどいいワンピースを部屋に送ってるから、明日はそれを着てくれ。サーニャとイザベルが知ってるから。」
ワンピースを用意してくれているということは、最初からアシェルが明日習い事がないことが分かった上で、このお誘いをかけてきたということだ。
「準備がいいですね。わかりました、明日楽しみにしてますね。」
にこっと笑っているアルフォードに微笑み返し、メイドの手でさっと開かれた食堂の扉をくぐった。
(凄く久しぶりのお出かけだな、楽しみ。)
朝から魔道具で髪色と目の色を変え、アルフォードから贈られた淡い紫色のシンプルなワンピースを着る。
ウエストには落ち着いた紫の大きなリボンがついていて、ノースリーブの身頃についている半袖はオーガンジーで涼やかな雰囲気になっている。
髪の毛はツインテールにされ、毛先はくるんと巻かれた。
ツインテールの根元にも、腰のリボンと共布で作られたリボンが飾られていた。
(ツインテール巻き髪吊り目って、どこぞの悪役令嬢みたいね。)
鏡に映った自分の姿にそんな感想しか出てこない。
くるっと鏡の前でターンすると、亜麻色の髪の毛がふんわり揺れた。
「ベル、似合ってるかしら?おかしくない??」
普段淡い色合いは身につけないので聞いてみるが、イザベルは満面の笑みで太鼓判を押してくれた。
「アシェルお嬢様、とても良くお似合いですよ。このワンピースのお色はお好きですものね。アルフォードお義兄様のチョイスは素晴らしいです。」
さっと手渡されたレッグホルスターを、スカートに隠れた左右の太腿につける。
今日のお供はマナポーションにヒールポーション、催涙剤だ。
それとは別に片側に一本ずつダガーが刺さっている。これは護身用だ。
「本日は護衛を付けられないとのことですが、十分にお気をつけ下さいませ。普段男装されているのでご自覚がないと思いますが。アシェルお嬢様はお綺麗ですので、殿方の悪意に晒されないか心配ですわ。」
真顔で注意を促されるが、こんな性格がきつそうなご令嬢はお断りされそうな気がする。
アシェルは曖昧に頷いておいた。
多分に身内補正が入っているに違いない。
「大丈夫よ。それよりアル兄様が、ご令嬢達に囲まれてしまわないかの方が心配だわ。カフェって女性客が多いでしょう?ゆっくりお茶できるように祈ってて頂戴。」
冗談めかして言えばイザベルの顔も綻んだ。
「きっと美男美女カップルに見えますね。」
「もう。わたくし達は兄妹なんだから、カップルには見えないわよ。」
二人で笑い合っているとコンコンと扉を叩く音がする。
「アシェ、準備できたか?」
「えぇ、お待たせいたしました。」
さっとイザベルが扉を開けてくれて、入ってきたアルフォードにエスコートされる。
アルフォードは濃紺のスラックスに白いシャツ、濃紺のベストには一部アシェルの腰のリボンと同じ落ち着いた紫がアクセントに使われている。
ホルスターはベルト型ではなく、目立ちにくいようにベストの下に装着しているようだ。
お互い、ちょっと良いところのお嬢様とお坊ちゃんな格好だ。
「うん、やっぱり良く似合ってるよ。贈って良かった。」
「ありがとうございます。アル兄様もとてもお似合いですわ。」
アルフォードの腕に腕を絡めて歩きながら玄関まで歩く。
今日は馬車で高級商業エリアまで移動して、色々なお店を見ながらお目当てのカフェに行って、またお店を回って帰る予定だ。
アシェルはあまりお出かけも買い物もしないが欲しい物もないので、基本的にはウィンドウショッピングの予定だ。
ふわふわのクッションがついた馬車に揺られ、高級商業エリアで降ろされた。
御者と馬車は停留所で待機してくれるので、帰りはまたここまで歩いて帰ってくることになる。
久しぶりの高級商業エリアに目移りしつつ、他愛もない会話をしながらアルフォードと歩いていく。
キラキラした装飾品のお店。
比較的庶民寄りだが上等な生地を使った洋服店。
色とりどりのドレスが飾られたオーダーメイドの服飾店。
女性好みのお店が数多く並んでいるが、アシェルの興味を引くのはお洒落なカフェや、細かい細工を施した雑貨などの日用品を販売しているお店だ。
「ここに寄ろうか?」
文具店の前でアルフォードに声をかけられた。
そんなに物欲しそうな顔をしていただろうか。
「いいですか?来年は学院に入学ですから、少し中を見たいなって。」
「もちろん。」
アルフォードに連れられ入った店内は、万年筆やガラスペン、色とりどりのインクや便箋などが整然と並んでいた。
ゆっくりと店内を練り歩く。
意匠を凝らしたガラスペンにも惹かれるが、王立学院に入れば手紙を書く頻度は減るだろうか。
いや、メルティーに手紙を出すことを考えると、一本くらいガラスペンがあってもいいかもしれない。
あとは授業中にも使いやすい万年筆も欲しい。
家で使っているものもあるが、せっかくなら新しいものを入学に合わせて準備したかった。
幸い魔物討伐で得た報酬があるので、値段は気にせず気に入ったものを購入できるだろう。
「こちらと、このケースのこちら。あとはインクのこれとこれを頂けるかしら。」
店員を捕まえ、細身の螺旋が美しいガラスペンと、少し太軸の青のグラデーションの美しい万年筆を購入することにする。
インクは無難な黒と、葡萄色のものを選んだ。
財布を取り出そうとするアルフォードより先に、『ストレージ』から冒険者タグを出して会計を済ませる。
「アシェ……ここはお兄ちゃんに払わせてくれるところじゃないのか?」
しょんぼりしたアルフォードに言われるが、自分が欲しくて購入するのだ。
元より払ってもらうつもりはなかった。
「稼ぎがないわけじゃないんですもの。これくらは自分で払いますわ。」
にこっと笑って答えれば、アルフォードは複雑そうな顔をしている。
「んー妹がしっかりしすぎてて寂しいな。……カフェでは奢らせてくれよ?流石にそこまでレディに払わせたら、男が廃る。」
「くすくす、ではカフェではご馳走になりますわね。」
綺麗にラッピングされた品物を受け取り『ストレージ』に保管する。
魔法世界で便利なのは、ストレージさえ覚えてしまえば手ぶらで移動できることだろうか。
出し入れに魔力が必要なので庶民にはなかなか縁のない魔法かもしれないが、魔力量が十分にあるアシェルはしっかり活用している。
アシェルは温室の一つの隣にある実験室にしている小屋で、ふんふんと鼻歌を歌いながら薬草や魔物素材をテーブルの上に並べていた。
鼻歌は前世の童謡だ。
部屋の中にはアルコールランプのようなものやフラスコ、試験管、蒸留器など。
錬金術師といえば!で思いつきそうな器具がごろごろしている。
ランプの炎で熱くなったフラスコの中には、ぽこぽこと泡を出すお湯と薬草が入れられている。
煎じたそれを一口含み、紙にさらさらと文字を書いていく。
それを何回にも分けて繰り返し。温度を変え、状態を変え、部位を変え。
何パターンも試しながらベストを探っていく。
いくつかの薬剤を混ぜ、味見し。さらにまたさらさらと考え付いたことを書いていく。
ペンを走らせていると、不意に部屋の中が眩しくなった。
「アシェ、また研究か?」
声をした方を見ると、アルフォードが立っていた。
今王立学院は夏季休暇中で、アルフォードは帰省中だ。
灯の魔道具に魔力を通してくれたようだ。
そして、灯が必要なくらい外は暗くなっていた。
「はい、昨日採ってきた素材で……つい集中しちゃって。」
ごめんなさい。と頭を下げた。
呼びに来たということは夕飯の時間だろう。
「いや、研究熱心なのは構わないんだけど……やっぱり冒険者は続けるのか?」
心配そうな表情で聞かれるが、アシェルは冒険者活動をやめるつもりはない。
「もちろん。欲しいものはできるだけ自分で採りに行きたいんです。それにアル兄様だって、冒険者登録してるでしょ。」
「う……まぁそうなんだが。」
「別にランクアップは狙ってないですし。冒険者タグがあれば素材買取もだけど、分け前をタグ管理してくれるから買い物でお財布出さなくてよくて楽なんですよね。」
冒険者に登録することでネックレスにプレートのついたタグを貰うことができる。
この冒険者証が身分証明書とお財布の代わりになっているのだ。名前の登録は“アシェル”とだけで、家名は入れていない。
イメージは証明書つきの、おサイフケータイみたいな位置づけだ。
ランクアップしようと思えばギルドの依頼をこなさなければならないが、アシェル達は戦闘と一部の素材が目的でランクアップは望んでいない。
そのため狩ってきた魔物から必要な部分だけ抜くか、解体を依頼したその場で必要部位だけ貰って、残りを買取に出している。
冒険者ギルド登録しておけば解体作業費を半額に抑えらえれるし、状態が良いものを卸せば買取価格に色を付けてもらえる。
「まぁ確かに楽だよな。王都内なら大体どこでも使えるし。」
「でしょ?」
話しながらささっと道具を片付けていく。
用紙は簡単にまとめ、最後に火の消し忘れがないか、再確認していく。
「お待たせしました。ご飯に行きましょう、アル兄様。」
「あぁ、行こうか。」
すっと差し出されたアルフォードの手をとり、手を繋いで歩く。
「そうだ、明日って予定空いてるか?」
「明日は習い事もお休みの日だから、何も予定はないですよ?」
「じゃあ俺と買い物に行かないか?最近美味しいケーキを出してくれるカフェができたらしくてな。さすがに男一人じゃ入りにくいんだよ。」
アルフォードは甘党なのでお店が気になるのだろう。
女性客の多いカフェだと、確かに男一人では入りにくいかもしれない。
「いいですよ。服装は?」
「ありがとう。街歩きにちょうどいいワンピースを部屋に送ってるから、明日はそれを着てくれ。サーニャとイザベルが知ってるから。」
ワンピースを用意してくれているということは、最初からアシェルが明日習い事がないことが分かった上で、このお誘いをかけてきたということだ。
「準備がいいですね。わかりました、明日楽しみにしてますね。」
にこっと笑っているアルフォードに微笑み返し、メイドの手でさっと開かれた食堂の扉をくぐった。
(凄く久しぶりのお出かけだな、楽しみ。)
朝から魔道具で髪色と目の色を変え、アルフォードから贈られた淡い紫色のシンプルなワンピースを着る。
ウエストには落ち着いた紫の大きなリボンがついていて、ノースリーブの身頃についている半袖はオーガンジーで涼やかな雰囲気になっている。
髪の毛はツインテールにされ、毛先はくるんと巻かれた。
ツインテールの根元にも、腰のリボンと共布で作られたリボンが飾られていた。
(ツインテール巻き髪吊り目って、どこぞの悪役令嬢みたいね。)
鏡に映った自分の姿にそんな感想しか出てこない。
くるっと鏡の前でターンすると、亜麻色の髪の毛がふんわり揺れた。
「ベル、似合ってるかしら?おかしくない??」
普段淡い色合いは身につけないので聞いてみるが、イザベルは満面の笑みで太鼓判を押してくれた。
「アシェルお嬢様、とても良くお似合いですよ。このワンピースのお色はお好きですものね。アルフォードお義兄様のチョイスは素晴らしいです。」
さっと手渡されたレッグホルスターを、スカートに隠れた左右の太腿につける。
今日のお供はマナポーションにヒールポーション、催涙剤だ。
それとは別に片側に一本ずつダガーが刺さっている。これは護身用だ。
「本日は護衛を付けられないとのことですが、十分にお気をつけ下さいませ。普段男装されているのでご自覚がないと思いますが。アシェルお嬢様はお綺麗ですので、殿方の悪意に晒されないか心配ですわ。」
真顔で注意を促されるが、こんな性格がきつそうなご令嬢はお断りされそうな気がする。
アシェルは曖昧に頷いておいた。
多分に身内補正が入っているに違いない。
「大丈夫よ。それよりアル兄様が、ご令嬢達に囲まれてしまわないかの方が心配だわ。カフェって女性客が多いでしょう?ゆっくりお茶できるように祈ってて頂戴。」
冗談めかして言えばイザベルの顔も綻んだ。
「きっと美男美女カップルに見えますね。」
「もう。わたくし達は兄妹なんだから、カップルには見えないわよ。」
二人で笑い合っているとコンコンと扉を叩く音がする。
「アシェ、準備できたか?」
「えぇ、お待たせいたしました。」
さっとイザベルが扉を開けてくれて、入ってきたアルフォードにエスコートされる。
アルフォードは濃紺のスラックスに白いシャツ、濃紺のベストには一部アシェルの腰のリボンと同じ落ち着いた紫がアクセントに使われている。
ホルスターはベルト型ではなく、目立ちにくいようにベストの下に装着しているようだ。
お互い、ちょっと良いところのお嬢様とお坊ちゃんな格好だ。
「うん、やっぱり良く似合ってるよ。贈って良かった。」
「ありがとうございます。アル兄様もとてもお似合いですわ。」
アルフォードの腕に腕を絡めて歩きながら玄関まで歩く。
今日は馬車で高級商業エリアまで移動して、色々なお店を見ながらお目当てのカフェに行って、またお店を回って帰る予定だ。
アシェルはあまりお出かけも買い物もしないが欲しい物もないので、基本的にはウィンドウショッピングの予定だ。
ふわふわのクッションがついた馬車に揺られ、高級商業エリアで降ろされた。
御者と馬車は停留所で待機してくれるので、帰りはまたここまで歩いて帰ってくることになる。
久しぶりの高級商業エリアに目移りしつつ、他愛もない会話をしながらアルフォードと歩いていく。
キラキラした装飾品のお店。
比較的庶民寄りだが上等な生地を使った洋服店。
色とりどりのドレスが飾られたオーダーメイドの服飾店。
女性好みのお店が数多く並んでいるが、アシェルの興味を引くのはお洒落なカフェや、細かい細工を施した雑貨などの日用品を販売しているお店だ。
「ここに寄ろうか?」
文具店の前でアルフォードに声をかけられた。
そんなに物欲しそうな顔をしていただろうか。
「いいですか?来年は学院に入学ですから、少し中を見たいなって。」
「もちろん。」
アルフォードに連れられ入った店内は、万年筆やガラスペン、色とりどりのインクや便箋などが整然と並んでいた。
ゆっくりと店内を練り歩く。
意匠を凝らしたガラスペンにも惹かれるが、王立学院に入れば手紙を書く頻度は減るだろうか。
いや、メルティーに手紙を出すことを考えると、一本くらいガラスペンがあってもいいかもしれない。
あとは授業中にも使いやすい万年筆も欲しい。
家で使っているものもあるが、せっかくなら新しいものを入学に合わせて準備したかった。
幸い魔物討伐で得た報酬があるので、値段は気にせず気に入ったものを購入できるだろう。
「こちらと、このケースのこちら。あとはインクのこれとこれを頂けるかしら。」
店員を捕まえ、細身の螺旋が美しいガラスペンと、少し太軸の青のグラデーションの美しい万年筆を購入することにする。
インクは無難な黒と、葡萄色のものを選んだ。
財布を取り出そうとするアルフォードより先に、『ストレージ』から冒険者タグを出して会計を済ませる。
「アシェ……ここはお兄ちゃんに払わせてくれるところじゃないのか?」
しょんぼりしたアルフォードに言われるが、自分が欲しくて購入するのだ。
元より払ってもらうつもりはなかった。
「稼ぎがないわけじゃないんですもの。これくらは自分で払いますわ。」
にこっと笑って答えれば、アルフォードは複雑そうな顔をしている。
「んー妹がしっかりしすぎてて寂しいな。……カフェでは奢らせてくれよ?流石にそこまでレディに払わせたら、男が廃る。」
「くすくす、ではカフェではご馳走になりますわね。」
綺麗にラッピングされた品物を受け取り『ストレージ』に保管する。
魔法世界で便利なのは、ストレージさえ覚えてしまえば手ぶらで移動できることだろうか。
出し入れに魔力が必要なので庶民にはなかなか縁のない魔法かもしれないが、魔力量が十分にあるアシェルはしっかり活用している。
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