氷の王子様と微笑みの男装令嬢

芯夜

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第一章 非公式お茶会

35 非公式お茶会と加護判別②

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Side:アシェル11歳 秋



昼食後。
非公式お茶会のメンバーと母親達はアンジェラに率いられて、北東の離宮から北西の離宮方面へと移動した。

活動範囲の森林エリアも抜けて少し歩いた開けたエリアに案内されると、そこには魔法庁のローブを着た男性が二人立っていた。

「準備はいいかしら?」

「はい、5人分で間違いなかったでしょうか?」

「えぇ、大丈夫よ。アシェル、マナポーションを預かってもいいかしら?」

魔法使いの男性とのやり取りを終えたアンジェラに言われ、アシェルは外したホルスターごと手渡す。

「合計20本、全てマナポーションがセットされています。」

「ありがとう。」

アンジェラに受け渡されたホルスターは、そのまま魔法使いへ渡された。

「まずは確率の高いマリクからいきましょう。」

マリクが魔法使いに誘導され、レジャーシートのようなビニールの上に座るように促される。
その目の前に術式が書かれたスクロール、透明な球体が置かれた。恐らく球体が魔道具なのだろう。

「マリクー頑張ってねー。」

ラビちゃんを腕に抱いたキルルが応援するが、珍しく浮かない顔のマリクは「頑張りたくないよー。」と涙声だ。
いつもはピンとしている耳や尻尾もしょんぼりと垂れ下がっている。

「ではテイル家のマリク殿。笛が鳴ったらこの球体に両手を置いて、魔力を流してください。流し始めたら一気に魔力が吸われますので、こちらに胡坐で座ったうえでお願いします。」

シートの上に座ったマリクから魔法使いが距離をとる。
城壁と魔道具に向かって座っているマリクの背後に、十分に距離をとったギャラリーが並んでる形だ。

ピーッと甲高い笛の音が鳴り、マリクが球体に両手を添えた。
眼を閉じ集中したように見えた瞬間。

魔道具から3Mほど先に人の背丈以上の氷柱が出現した。
秋風に氷からの冷たさがのり、一気に周囲の気温が下がる。

「マリク殿、意識はありますか?」

一歩も動かぬまま魔法使いが尋ねる。

「あるよーあるけど、これは駄目なやつー。」

情けないマリクの声とは裏腹に、その耳と尻尾はピンと上向きで、まるで魔物との戦闘中と同じだ。

キルルと魔法使いの一人が駆け寄ってマナポーションを飲ませたあと、マリクの腕の中にラビちゃんが抱かれた。

何かを我慢するようにぎゅっとラビちゃんに抱き着いたマリクを、キルルがお姫様抱っこでギャラリーの方へ連れてくる。

「そんなにやばいか?」

心配そうに顔を覗き込んだエラートに、マリクはふにゃっと笑って見せた。

「やばかったけど、大丈夫になってきてるかなー。今は衝動より、この状況の方がやばいよねー。」

キルルに抱かれたまま、冗談めかして軽口を叩ける程度には大丈夫なようだ。

「あんたが獣化したら、止めれるのはあたしだけだよ。ある程度魔力が回復するまで大人しくしてな。」

「はーい。」



「次はアスノーム家のノアール殿。先程のマリク殿と同じようにお願いします。」

魔法使いの一人がそう言い、もう一人が魔道具の下にあるスクロールを新しいものに交換する。

ピーッという音が鳴り、ノアールが両手を置いた魔道具に魔力を流すと、先程のマリクの氷柱の近くにもう一本の氷柱が生えた。

魔法使いが声をかけるより早く、ノアールの「『ストレージ』。」という呟きが聞こえ、バリバリと瑞々しい野菜が噛み砕かれる音が響いた。
無詠唱ではなかったのは、少しでも消費魔力量を抑えるためだろう。

そこにそっとサマンサが近寄り、背後からひょいっと抱えてギャラリーの方へ連れ帰ってくる。
連れ帰られた先に魔法使いがやってきて、ノアールにマナポーションを飲ませた。

氷柱を生やした直後より食べる勢いは落ち着いてきたが、それでもノアールはちょこちょこ『ストレージ』を開き、キュウリやトマトなんかの生で食べられる野菜を口に運んでいた。

「えぇ、ノアがめっちゃ野菜食べてる……。(加護が)発現しない方向で嫌な予感しかしないんだけど。」

「ノアが終わったら次はトワの番よね?お母さんがついてるから大丈夫ですよ。」

おっとりとしたサマンサの言葉は、その口調とは裏腹に有無を言わせない響きを含んでいて、エトワールがおずおずと魔道具に近寄っていく。

魔道具の下のスクロールが交換され、エトワールがその前に座った。



「アスノーム家のエトワール殿、お願いします。」

ピーッと音が鳴り、えいっと魔道具にエトワールが両手を乗せる。
と同時に、二つの氷柱の隣にさらに氷柱が生えた。丁度三角形だ。

そして氷柱が出現したと同時に、エトワールが魔道具に向かって倒れ込んだ。

魔法使いは慌てて駆け寄り、意識を確認してからマナポーションを飲ませる。
そこに優雅に歩いて近寄ったサマンサが、ひょいっとエトワールをお姫様抱っこで戻ってきた。

「……おろ……し、て……。」

ぐったりとしたエトワールが、それでも恥ずかしさから抗議したが、サマンサはにっこりと微笑むだけだ。
動けない以上降ろす気はないらしい。

双子の片割れはだいぶ魔力が回復してきたようで、食べる勢いは無くなり、ストレージから出したであろうディップソースをつけながらのんびり野菜を食べていた。



「次はメイディー家のアシェル殿、お願いします。」

アシェルが呼ばれ、ふと思う。

「これ、僕が倒れたらどうしたら?」

残念ながらメアリーもメルティーも帰宅してしまっていて身内がこの場にいない。
マナポーションを飲めば回復はするだろうが、エトワールを見る限り魔力枯渇はすぐに動けなさそうなので、誰かに回収してもらう必要があるのだ。

「あら、それなら問題ないわよ。アシェルちゃんはわたくしが引き受けることになってるわ。」

フィアフィーが名乗りを上げ、分かりましたと頷く。
大人テーブルの方で既に役割が決まっていたのだろう。

ちなみにフィアフィーは他家の子供達全員をちゃん付するので、このアシェルちゃんに男だとか女だとかいう意味は籠っていない。

「すみません。マナポーションを一本だけ、シートの上に置いてもらってもいいですか?流石に魔力使うのに身近にポーションがないのは不安で。」

魔法使いにそう言えば、一本マナポーションを手渡してくれる。
家を出たら肌身離さず持っているマナポーションがない状態で、魔力を使うのは抵抗があったのだ。

意識を失って手間をかけたらごめんなさい、と心の中で呟き、芝生の上に広げられたシートの上に胡坐をかいて座る。

ピーッという笛の甲高い音が鳴った。

球体に両手を乗せ、手の平からゆっくり魔力を流した——のだが、魔道具に魔力が伝わったと感じた瞬間、身体の中からごっそり魔力が吸い出されたのを感じる。

目の前には三角形の氷柱の隣奥に、もう一本氷柱が増えていた。

(サイコロの5の目にでもなるのかな。)

などとぼんやり思いながら、脇に置いていたマナポーションの蓋を開け中身をあおった。

「……足りない……。」

身体が渇いていると、何か飲ませろと必死に訴えかけていると感じるほどに、喉の渇きを感じていた。

慌てて駆け寄ってきた魔法使いにマナポーションを渡され、それも一気にあおる。

「大丈夫ですか?次を飲むには少し開けたほうが……。」

「ありがとうございます。少し時間を置いたらまた貰いに行きます。」

マナポーションはがぶ飲みしたからと言って、即時魔力を回復するようなものではない。
ゆっくりと魔力が回復するはずなので、マナポーションの在庫に限りがある以上、この渇きには耐えるべきだと考えた。
魔法使いも同意見のようだった。

そっと隣に立ったフィアフィーの手を借りて立ち上がり、自分の足でギャラリーの方へ——厳密にはノアールの元へ向かう。

「大丈夫?」

「大丈夫じゃない。ノア、なんか水分多いの頂戴。」

先程から喉がカラカラだ。
マナポーションのがぶ飲みが意味ないと分かっていても、耐えられるようなものではなかった。

いきなり野菜を貪り出したノアールの気持ちが解るな、なんて思いながら『ストレージ』から取り出された多量のキュウリを貰った。

「キュウリはほぼ水分だから、少しは乾きがましになるといいんだけど。」

心配そうなノアールに笑って見せる。

「ありがとう。水が出せればいいんだけど、魔力使っちゃうと本末転倒だからね、ありがたくいただくよ。」

パリッとしたキュウリを齧れば、その瑞々しさに喉の渇きが幾分か癒えるような気がする。

最後のアークエイドを残して、リリアーデ、デューク、エラートは見守り。アシェルとノアールは野菜を食べていて、エトワールとマリクは母親にお姫様抱っこされているという。
加護判定会場は何とも言えない混沌さを醸し出していた。



「最後にナイトレイ家、アークエイド殿下。よろしくお願いいたします。」

僅かに丁寧な言葉遣いになった魔法使いに促され、アークエイドが魔道具の前に座った。

ピーッという音が響き、深呼吸したアークエイドが球体に両手を乗せ、最後の氷柱が出現する。

5つの氷柱はそれぞれ太さや高さに若干の差があったが、アークエイドの氷柱は太さも高さも大きいものと較べて謙遜がなかった。
恐らく保有する魔力量が一番多いのだろう。

アークエイドの様子は——胡坐をかいたまま、自身の身体を抱き締めるようにして蹲っていた。

そんなアークエイドにすたすたと近づいたアンジェラが「『ストレージ』。」と呟き、取り出した真っ黒な布でアークエイドをすっぽり覆いつくした。
そしてやはりというべきか、ひょいっとお姫様抱っこで連れ帰ってくる。

「珍しくほぼ加護持ちね。早めに学院の方へ伝達しないとだわ。」

何事もなかったかのようなアンジェラに、近くに立っていたアシェルとノワール、エラートだけが震えている塊に目を向ける。
リリアーデはマリクの腕の中に居るラビちゃんを撫でていて、デュークはエトワールを慰めている。アークエイドのことも気になるようだが、チラチラと視線が飛んでくるだけだ。

「あの……アークは大丈夫なんでしょうか?」

何もしていないエラートが問いかける。

「ふふ、あとで回復部屋に突っ込んでおくから大丈夫よ。」

そういうアンジェラの手元にある暗幕のような布をちらりと上げ、魔法使いがアークエイドにマナポーションを飲ませている。
普段は無表情なのに、アークエイドははっきりと怯えた表情を浮かべていて、加護の衝動とは本当に厄介なものだと改めて実感した。

「最初のポーションを飲んで30分経った子は、二本目のマナポーションを飲んで頂戴ね。配るのはフィフィに任せるわ。アシェル、もう少しだけホルスターはお預かりするわね。二本目を飲む頃にはほとんど衝動はなくなっているはずだけれど、今日は魔力を使わないようにね。」

アンジェラがそういい、北東の離宮へと戻った。
戻る途中で歩けるようになったマリクとエトワールは、母親の腕の中から逃れていた。

魔法使い二人を引き連れたアンジェラは離宮の二階へと上がっていったので、恐らく回復部屋はこの離宮にあるのだろう。





離宮に戻ってきてすぐに皆マナポーションの追加を貰い、普段通りに動けるようにはなったものの。その半分以上が魔力使用禁止とあって、今日の残りの時間は大人しく過ごすことになった。

アンジェラも戻り、大人達はサロンでお喋りに花を咲かせている。

本来であれば身体を動かしたいエラート、マリク、エトワールは応接間のソファへ。
魔物討伐の話をしたいようで、そこに領地で討伐に参加しているリリアーデとデュークも加わった。
もちろんラビちゃんも参加である。

対してゆっくり本を読みたいアシェルとノアールは、お互いローテーブルを挟んで向かい合うような形で書庫のソファーに座っていた。

ペラと紙をめくる音だけが響く。

「ねぇ、アシェ。」

「どうしたの?」

いつもより集中力の落ちている耳にノアールの声が聞こえ、アシェルは顔を上げた。

アシェルが読書中周りの様子が分からなくなるように、ノアールも同じように集中してしまうと周りの音が全く入ってこなくなるタイプだった。

そのため読書中に声をかけられたのは初めてだ。

「恋愛の好きって、どういうことを言うんだろう?」

急に何を、と思ってノアールの手に持つ本のタイトルを見れば、最近巷で流行っている恋愛小説だった。

「それを婚約者もいない僕に聞くの?」

苦笑して見せれば。

「アシェって沢山本を読んでるでしょ。勉強になるものから、こういった娯楽系のものまで。だから何かいい考えを持ってないかなって。」

「んー。恋愛をしたことがないから、僕の考えを言うと、多分、すっごく現実味のない話になると思うよ?リリィとかデュークの方が詳しそうな気がするけど。僕らの中で唯一婚約者がいるし。」

「それも思ったんだけど、デューク達は加護の影響も強いでしょ。差し入れのご令嬢達から向けられてる好意とかでもいいから。」

「なるほど。あと、朝のご令嬢達のは恋愛っていうより、憧れとかじゃないかな。」

アイドルの追っかけみたいな、と心の中で補足しておく。

「あわよくば高位貴族の仲間入りをっていう子もいるかもしれないけど、恋愛とはまた違う気がする。」

うーんと悩む間、ノアールは真剣な目でじっとアシェルを見つめてくる。
恐らくアビゲイルとの関係性に迷っているのだと思うのだが。

「アビー王女の一目惚れについてはよく分からないから置いておくね。友達でも一緒にいて楽しいとか、人柄が好きとか、何かあれば助けてあげたいとか思うと思うんだよね。」

こくんと頷いたのを見て話を続ける。

「恋愛としての好きっていうのは、その先に進みたいかどうかじゃないかなぁ。」

「その先?」

「例えば、触れたいとかキスしたいとか、そういうの。あ、でも成長期でどうしても性欲に傾くことがあるから、それじゃ一概に好きとは言えないか……。よく好きな人を前にするとドキドキするとかって表現を見るけど、ドキドキする時って恋愛関係なくあるし……。」

一人で考察モードに入りブツブツ言うアシェルだが、ノアールは考えが落ち着くまで待ってくれる。
アークエイドを加えよく三人で議論することがあるので、この光景自体は珍しくなかった。

「つまりだよ。アビー王女のアタックを受けるかどうか、なんだよね?」

恋愛感情云々より聞きたいのはそこでしょ?と問えば「うん。」と返事がある。

「アビー王女とお喋りしたり手紙のやり取りをするのは楽しい?」

「うん。」

「お茶会でお別れする時、もっと一緒に居たいな、喋りたいなって思う?」

「うん。」

もうこれで好きでいいのではないかと思うが、もう一歩踏み込んでみる。

「領地で一緒に生活するのを想像できる?」

「……。」

貴族社会は政略結婚がほとんどなため、恋愛感情に重きを置く必要はないと思う。
しかし将来的な生活を想像できるかどうかは、結婚に於いて大切な気がしたので聞いたのだが返事がない。

そもそも恋愛感情を抜きにすれば、ノアールはアビゲイルにかなり好意的だと思っていた。

「じゃあさ、アビー王女と一緒に領地で暮らすとしたら不安だな、心配だなって思うことはある?」

「それはある。」

ということは、実際は領地で一緒に暮らすことは想像できているのだろうと仮定して、質問を続ける。

「例えばどんなこと?」

「うちは辺境伯爵家だから、魔物の出現率や脅威度が高い。」

「でもシルコットと違ってアスノームの場合、大魔素溜まりは海にあるから、陸地なら二の森程度じゃない?」

まだ一の森にしかい行ったことはないが、アシェル達パーティーの実力であれば二の森も問題ないと言われている。
領地には私兵団もいるだろうし、冒険者もいるだろうからそこまで気にすることは無い気がする。

「港町は確かに発展してるけど、その他の大部分は農村地帯なんだ。」

「そんなのアビー王女が知らないわけないし、覚悟の上だと思うよ?」

「……貴族だからって綺麗な事ばかりじゃなくて、領民と一緒に畑を耕したりするんだよ?」

「まぁそこは本人に確認しないとだけど……領主様ってそれと別に執務もあるんだから、そっちを手伝ってもらってもいいんじゃない?王女だからそういうのは得意だと思うよ。」

相手が王女だから悩んでいるのだろう。きっとそこら辺の貴族ならここまで悩んでいなかったんだろうなと思う。

「……今はたまに会うのと手紙だけだけど、長く一緒に居たら嫌いなところもでてくるかもしれない。」

「うーん、そこは人間だからお互い嫌に思うところもあると思うけど、そこらへんを擦り合わせて生活していくのが夫婦じゃないかな。もし一緒にいる時間がーっていうなら、王立学院に入れば同じ敷地内で生活することになるし、もう少し答えが出しやすくなるんじゃない?」

確かアビゲイルは三歳年上なので、三年間は同じ学校に通うことになる。
中等部と高等部で分けられているとはいえ、行き来は普通にあるらしいので過ごす時間も長くなるだろう。

「でもアシェのお兄さんが婚約者候補なんでしょう?」

去年アシェルが焚きつけようとしたのが原因のようだ。

「あーごめんね、僕が急かしたせいだね。アル兄様は別に他に好きな人がいるわけでもないし、婚約者候補であることを良いことにご令嬢避けにしてるから、そこまで急がなくていいよ。もし結婚するつもりがあるなら、アビー王女が在学中に婚約はしてほしいなーってだけ。」

「そっか……。うん。そうだね。学院に入学して、もっとアビー王女と一緒に過ごす時間を作ってみて考えるよ。」

「それがいいと思う。ごめんね、最初の質問には上手く答えが出せなかったけど。」

「ううん、ありがとう。」

そういったノアールの顔は少しすっきりした表情をしていた。

あと一時間ほどだろうかと懐中時計で時間を確認して、本に目を落とそうとしたら書庫の扉が開いた。
すたすたと入ってきたアークエイドは、いつものようにアシェルの隣にぴったりと腰を下ろす。

「アーク、もう大丈夫なの?」

ノアールの問いにこくんと頷くアークエイド。
いつもの無表情に戻っているように見えるが、ちょっぴり眉根が寄っていて渋い顔をしている。

「衝動とは厄介なものだな。気合や理性でどうこうできるものじゃない。」

「確かに。野菜はいつもより美味しく感じたけど、流石にお腹いっぱいだよ。」

「少し寝たい……流石に疲れた。」

精神的なもので摩耗したのだろうか。

「あと一時間くらいだから膝貸してあげるよ。少し横になってたら?」

「……いいのか?」

「どうぞ。」

少し戸惑った様子のアークエイドに膝枕をしてあげると、少ししてすやすやと寝息が聞こえてきた。
よっぽど疲れていたらしい。

ノアールと二人、顔を見合わせてふふふと笑って、それぞれ帰る時間まで読書をして過ごした。

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