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第二章 王立学院中等部一年生
68 自由を満喫する② ※
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※アシェルがアークエイドを襲う描写があります。
無理やり、ノーマルカプなのに男装前提のせいでBLぽい展開、ちょっとマニアックな?プレイがありますので、苦手な方は飛ばしてください。
そのあとアークエイドのターンになりますが、いうほど絡みがあるわけじゃないです。
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Side:アシェル12歳 夏
アシェルは火照る身体を持て余したまま、用紙にペンを走らせていた。
自慰する趣味なんて持ち合わせていない。
本当に男ならまた違ったかもしれないが、何が悲しくて一人で性欲を発散しなくてはいけないのか。
「あーもう。調薬前に煎じた時から分かってたことだけど。フォアレン草って実は品種改良したのが野生になったんだって図鑑に書いてあったよ!なんなの、改良した人は馬鹿なの?温室にあった似た品種もそれなりだったけど、フォアレン草ほどじゃなかったよ。しかも元々きついフォアレン草の効果を、薬にしてわざわざ上げようとするなんて本当馬鹿だよね。うん、僕は馬鹿だな。」
やり場のない欲求を、愚痴を口にしながらレポートに所見を纏めることで誤魔化す。
それを昨日の夜から何度か繰り返していた。
ようやく今飲んでいた薬剤の影響が無くなったのを確認して、アシェルはシャワーで身体の汗を流し、冷たい水を浴びる。
頭はケアが大変なので、結局『クリーン』で不快感を取り除いた。
「あーやだなぁ。さっきのやつもかなり凶悪だったのに、想定ではこれが一番きついんだよなぁ……いや、本当馬鹿でしょ?なんでこんなもの作ったのかなぁ……いや、作ったの僕なんだけどさ。突き詰めたもの作らないと満足できなかった、僕が悪いんだけどさ。」
誰に言うでもなく独り言を呟きながら、試飲予定の最後の一本を手に取る。
薬瓶の蓋を開けただけで、どの試薬よりも濃くて甘い香りが部屋に立ち込めた。
意を決してティースプーンに乗せ、飲んだそれの蓋をしスタンドに立てる。
あとは布団の上でレポートを書きながら、ひたすら耐えるだけだ。
飲んですぐ、それも少量なのに、下腹部がじくじくと疼くような熱を持ち出したのが解る。
体温が上がり、心拍数が上がる。
じわりと身体の中が潤むのが解る。
「やっぱり馬鹿だろ、僕。ガムシロップみたいなトロミと甘さで、他の薬草のえぐみとか全くないから飲み物に混入しても解らないし。ティースプーン一杯分しか飲んでないのに、なんなのこれ、凶悪すぎるでしょ。なんでこの配合にしたかな……効果が高いと思ったからだよ。いや、ほんとただの馬鹿だよね。確かに即効性も高めたけど、こんなに早いことある?毒薬と言いほんと、マゾいことしてるよね。やらずにはいられないんだけどさ。」
言いながら口にしたことを用紙に書き殴る。
紙や布が肌に与える刺激でさえも、ゾクゾクとした快感が背中を駆け上がってくる。
これでまだ有効成分の血中濃度はMAXではないのだ。
時間が経てば、今よりももっと効果を強く感じるだろう。
「あぁ、流石にコレは……ヤバイ。なにもシてないのにイイとか……今までの比じゃない。頭沸騰しそう。娼館にでも行ってこようかな……いや、このままじゃ外に出れないか。確実に誰か襲う。っていうか、服が擦れるのもヤバいんじゃない……?うん、絶対無理。娼婦ってデリバリー出来るのかな。お金詰めばやってくれそうな気もするけど、通信の魔道具があるわけじゃないし無理だよね、無理だね。あーもうやだ、欲求の捌け口が欲しい!可愛い女の子めちゃくちゃにしたいよ……。」
「流石に、学院に娼婦は来てくれないと思うぞ?」
「!!?」
するはずのない声に、寝台に座って前かがみになり、必死にレポート用紙に向けていた顔を跳ね上げる。
そこには少し困った表情をしたアークエイドが立っていた。
「え、ちょっと待って、なんで寝室に?」
「扉を叩いても返事がなかったから、倒れてるんじゃないかと心配して来てみれば、娼館がどうのと言い出すから。」
さっき薬を飲む前にちゃんと時計を見ておけば良かったと思ったが、それでもまだ10時前だったはずだ。
いつもより二時間近く早く、アークエイドが様子を見にきたせいで、今この状況が起きたのかと思う。
「……ちなみに、僕の独り言どこから聞いてた?」
目の前に人が居ることを意識すると、それだけで襲いかかりたくなる衝動に、それまで文字を書きなぐっていたレポート用紙に目を落として、再度ペンを持った。
「ガムシロップの少し前あたりからだな。」
「くぅ、コレの試飲のほぼ最初から……気付かなかったなんて本当に馬鹿なんじゃないの。」
アークエイドが扉を叩いたことも、入ってきたことにも、音にも気配にも全く気付かなかった自分を罵りたくなる。
「部屋の匂いと娼館がどうのと言ってたから、大体予想はついてるが……何作った?」
呆れたような声に、顔も見ずに言葉だけ返す。
「フォアレン草って薬草を使った媚薬。大丈夫、液体も香も法には触れないから。」
「……香まで作ったのか?」
「仕方ないでしょ!素材がそこにあったら色々試したいし、作ってみたいんだよ!あーもういいから、早く出て行ってよ!!僕これでも結構ヤバいのっ。本気で娼婦呼びたいくらいなんだから!」
時間が経てば経つほど、耳に入ってくるアークエイドの声に理性が溶けていくのが解る。
早くアークエイドに出て行ってもらわないと、自分が何をするかが解らない。
余裕のない声が冷たい色を含んでいることも分かっているが、取繕う余裕もなく言い放つ。
効力は高いうえに即効性があって、更に長時間続くように調薬した自信作なのだ。
媚薬に自信作も何もないと思うが、それでも成分を上手く含有するように調整をした分、完成させたときの嬉しさもひとしおだった。
そんな最高傑作と言っても過言ではない薬の効力に抗っているというのに、ギシリと寝台の軋む音がする。
「ねぇ、僕の話聞いてた?出て行けって言ったんだけど。」
「聞いてた。でも娼婦を呼びたいくらいなんだろ?」
また一つギシっと、アークエイドが近寄ってくる音がする。
「ヤバいって言ってるのに聞いてた?僕は口説かれるより口説きたい派なの。襲われるより襲いたい派なの。なんで出ていかないの、襲われたいわけ?」
恐らく温もりに触れれば止まらないだろう欲求に抗い、辛うじてレポート用紙の束だけ枕の下に突っ込んだ。
理性の跳び具合次第で少し皺になるかもしれないが、バラバラになるよりマシだ。
「俺も襲われるより襲いたい派なんだがな。」
その声と共に耳元にアークエイドの指が伸びてきて触れた。
「ふぁっ!?」
布が擦れたのとは比べ物にならないくらい、甘くて熱い刺激が背中を走り抜ける。
それと同時に、理性がプツンと音を立てて切れる音を聞いた気がした。
「っ!?アシェ??」
慌てるようなアークエイドの声がする。
『拘束』でアークエイドの身体を仰向けに寝台に縛り付ける。
その上で部屋全体に『防音』をかけ、外に音が漏れないようにした。
「……もー知らないよ?だって僕は忠告したからね……忠告を無視したのアークなんだから、何されても文句言えないよね?」
アシェルはいつもの優しい声で言いながら膝立ちになり、寝台に縛り付けたアークエイドを見下ろした。
溶けそうなほどの熱を持ったアメジストの瞳が妖しい光を灯している。
「うん、手は上で縛ったほうがいいね。その方が襲ってる感じがする。」
言ってアシェルはバインドに流している魔力を操作して、夏休み前にクリストファーにそうされたように両手を頭の上で組むように移動させ固定する。
「アシェ……外してくれ。」
「ふふ、それで僕が解放してあげるなんて思ってないでしょ?自由に動きたいなら自分で解除してみてよ。出来たら何もせずに解放してあげる。」
クスクスと笑いながらアークエイドの身体に跨り、シャツの上からその胸板に指を滑らす。
「くっ、さっきから解除しようとしている。」
そう、確かにアークエイドはバインドがかかった瞬間から、どうにかしてアシェルのかけたバインドをキャンセルしようとしていた。
でもバインドには細々とだが、常に術者の魔力が流れ込むのだ。
魔力操作でアシェルが負けることは無い。
「うん、知ってるよ。一生懸命抵抗してて可愛いよね。ふふ。もっと抵抗してくれなきゃ楽しめないじゃない。死に物狂いで頑張って?」
身体を熱くする劣情が目の前の身体をむちゃくちゃにして、その綺麗な顔を歪ませたいと主張する。
それと同時に蕩けるほど甘やかしてドロドロの快楽の沼に落としたいとも。
その狭間で揺れ動く欲をどうにかして押し込める。
ほとんど機能していない理性が、辛うじて仕事をするが、果たしてどこまでこの細やかな理性は残るだろうか。
『ウィンドカッター』の小さなそよ風がアークエイドのシャツを切り裂き、その無駄な脂肪のない鍛えた男の胸元を暴いた。
羨ましいほど整った体幹の胸板を首から臍まで、ゆっくりと行き来しながら撫でる。
「…っ……それは、男に言うセリフじゃない。」
アークエイドは未だささやかな抵抗を続けている。
——無駄なのに。
「そう?でも本当に可愛いんだもの。嘘はつけないからね。」
胸板を撫でる指を上下の動きから、胴体のあちこちを移動させるように変える。
「うーん……さすがに初心な子じゃ胸は駄目だね?でも鎖骨はイイんだ?」
胸の突起を掠めても何の反応もなかったが、鎖骨のあたりを撫でるとピクッと小さな反応が返ってくる。
首筋に顔を埋めるように覆いかぶさり、その反応が良かった場所に舌を這わせる。
指先から感じる熱も心地よかったが、舌から感じるソレが脳を溶かす。
「……んぅ……あぁ、コレほんと凄い……。シてあげてるほうなのに、舐めてるだけで意識とびそっ……。もっとアークのイイとこ探したいのに……んっ……。」
アークエイドの匂いを肺いっぱいに吸い込みながら、もっと舌から伝わる刺激が欲しくてピチャピチャと鎖骨を舐めていく。
びりびりとした舌先から伝わる快楽と、アシェルが跨ったその下でアークエイド自身が熱を持ち硬くなったのが解り、それがアシェルの身体の熱も高める。
鎖骨から首筋、耳へと徐々に上がっていけば、アークエイドの小さく荒く吐く息が大きくなっていく。
それすら可愛く思えて、耳をピチャピチャと舐めながらアークエイドの身体を抱き締める。
「ねぇ、あーく……ぼくね、これでも我慢してるの。チュッ。でもね、もー無理。キスさせてね。」
アークエイドの返事も聞かずに、その唇に貪りつき口腔内を犯す。
チュクチュクと舌と唾液が絡み合う音が、頭の中に響く。
どちらともいえない喘ぐ小さな声が部屋を満たす。
(……甘い、美味しい……。)
名残惜しさを感じながら唇を離せば、広がる黒髪の中で熱を持った瞳をしたアークエイドの表情が目に入る。
そのいつもとは違う煽情的な表情に、嗜虐心が刺激される。
「ねぇ、口開けて舌出して?」
戸惑うようにサファイアブルーの瞳が揺れる。
「口開けて舌出して?無理やりがいい??」
もう一度繰り返せば、アークエイドが言われたように唇を開き、その綺麗なピンク色の舌を突き出してくれる。
「あぁ、やっぱりエロい……。」
その突き出された舌を指で少し撫で、アシェルも唇を開いた。
口の中に溜めた唾液が糸を引きながらアークエイドの舌を伝い、その口腔内に滴り落ちた。
「!?」
「ふふ、もー口閉じていいよ?でも、ちゃんとごっくんしてね?」
驚きと戸惑いが消えない表情のまま、こくんとアークエイドが喉を鳴らしてアシェルの唾液を飲み込む。
直接的な刺激でないにも関わらず、そんな背徳的で淫靡な姿にゾクゾクとした快感が走る。
「ちゃんとごっくん出来てえらいよ。クスクス。イイ子にはご褒美あげないとね?」
するすると身体を下に移動しながら首筋、胸元、お臍へと舌を滑らせていく。
「……っん……ま、て。それ以上はっ!」
舌を滑らせながらズボンの前をくつろげ、窮屈そうな下着の中からアークエイド自身を解放してあげる。
止める声も無視して、その熱く滾る棒に舌を這わせペロリと舐めあげた。
「……っ……!」
緩々と扱きながら先走りの溢れる先端をチロチロと舐めれば、しょっぱい味が口の中に広がる。
そのまま唇をすぼめ、唾液で満たした口腔へゆっくりと誘うと、アークエイドの腰がもどかしいと言わんばかりに上下に揺れた。
(はぁ、凄いおっきい。奥まで入りきらない……熱いの、キモチイイ。)
「うっ、ふぅ、はぁっ、だめだ。アシェ……やめ、ンぅ!」
止めろという言葉に、喉の奥を締めれば腰が跳ねた。
じゅぷ、じゅぽと音を立てながら頭を上下に動かす。
アシェルが襲っているはずなのに、媚薬のせいかアシェルが口の中を犯されているような快感に、自然と上下運動が激しくなる。
「もぅ、っ……。離さないとっ!……お願いだ……。」
切ないアークエイドの声と、口の中で膨らむ感触に限界が近いことを知り、喉を締めながらグッと奥まで咥えこんだ。
喉の奥にドピュドピュッと白濁が吐き出される。
それを飲み込んでしまわないように注意しながら、尿道に残った白濁も吸い取るようにして口腔内からアークエイド自身を引き抜く。
「……ぅっ。……はぁ、はぁ……っ……なん、だ?」
射精の刺激でぼんやりとした瞳のまま、荒い息を吐くアークエイドの上から身体を避けたアシェルは、バインドに流れている魔力を操作してアークエイドの上体を起こして向かい合う。
そして、そこに吐き出された白濁を見せつけるように大きく口を開いた。
顔を赤くしたまま驚き、息を飲むアークエイドの反応に満足して口を閉じたアシェルは、食い入るように見つめるサファイアブルーの瞳の前で、こくんと喉を鳴らして飲み込んで見せた。
そしてもう一度口を開いて飲み込んだことを見せつける。
「ごちそうさま。」
「っ!!」
悪戯っぽく笑って言うアシェルに、アークエイドの顔がさらに赤くなる。
——その初心な反応が、アシェルの欲を少しだけ満たしてくれる。
水差しから水を飲み。粘つく喉を潤してから、クローゼットから新しいシャツを出しアークエイドに投げつける。
「もう身体、動くでしょ?満足したなら着替えて部屋に帰って。」
先程までの余韻を感じさせないほど冷たくそう言ったアシェルは、アークエイドの姿も見ずに、枕の下に押し込んだレポート用紙に再度向き合った。
(これでも……頑張った。うん、ちょっと初心者にはハードなプレイだったかもだけど、出して満足はしたでしょ?早く出て行ってよ。)
全く収まる気配のない身体の熱を、僅かに欲を満たしたことで戻ってきた理性で何とか抑え込む。
(っていうか、絞ってるとはいえ解毒に魔力割いてるのに、魔法使ってまで襲うとか。本当に僕ってただの馬鹿じゃん……アークが帰ったらマナポーション飲まないと。)
さらさらとペンを走らせる。
これが飲みやすすぎるのは問題だ。
悪用防止のためにも飛び切り苦くした方がいいかもしれない。
今のままだと、甘い香り付きのガムシロップだと言われてしまえば解らない。
そんなことを書き込んでいると、肩を引かれぼふっとベッドの上に仰向けに倒された。
視界に入るのはまだボロボロに引き裂かれたシャツを着たまま、着替えてないアークエイドの姿。
「どうしたの?もしかして小さかった??10cm近く背が違うとそんなに体格変わるわけ?ほんと不公平だよね。」
ぶつぶつと文句を言いながら起き上がり、レポート用紙の束をまた枕の下に突っ込む。
書き上げた研究レポートなら見せるのもやぶさかではないが、今はただのメモだ。見られるのは流石に恥ずかしい。
「ちょっと待ってて。大き目のをって、わわ!?」
寝台の上で立ち上がった行儀の悪いアシェルの腕が引かれて、倒れ込んだ身体はアークエイドの腕の中で抱き留められる。
「ちょ、離してっ。行儀が悪かったのはあやまっ!ひゃぁ、なぁ、んゃっ!?」
アークエイドのごつごつとした手に撫でられた腕から、ゾクゾクとした快感が駆け上がってくる。
それこそ、先程アークエイドを満たした時の比ではない刺激に、身体に力が入り背中が反る。
軽くイってしまった視界がチカチカして、頭の芯が蕩けはじめる。
「やっぱり……俺だけ満足させたら終わると思ったんだろ?」
耳元で吐息と共に吐き出される低い声が下腹部に響く。
「な、何がやっぱりなのさ。ぁ、んんっう。」
抗議した声にまた腕を撫でられ、溢れてくる嬌声を何とかしたくて口を抑える。
「アシェが全然満足してないだろ?その証拠に……ほら。」
「あ、や、やめてぇ……あーくぅ、そ、それぇ!だめっ、やっあぁ!?」
アークエイドの指がアシェルの腕を、鎖骨を、腹を、その白い肌を撫で、耳元で喋るだけで耐えがたいほどの快感が突き上げる。
優しく撫でるだけの手から逃れて、枕の一つを抱え込みうつぶせで布団に伏せた。
性感帯でも何でもない場所ですら気持ちよくて、イってしまうのを止められない。
——行き過ぎた快楽は恐怖だというが、本当にそうだと思う。頭がおかしくなってしまいそうだ。
「こっちを触って欲しかったのか?」
「ひゃぁ、あぁぁ!だめ、だめっぇ、やらぁ……はぅ、んんっ。や、らめぇ!?」
背中やお尻、太腿を撫でられているだけで、何度も痺れるような快感の波が押し寄せる。
嬌声が止まらない。
ゾクゾクと駆け抜けるような快感と、チカチカふわふわする頭に呂律が怪しくなってくる。
「よがってるだけかと思ったが……もしかしてイってるのか?」
少し離れた場所から降ってくる耳に心地いい声に、枕を抱き締める腕に力を入れ頭をコクコク縦に振る。
「イってる、イってるからぁっ。それ、それやめぇ、あ、あぁっ!?やらぁ、これやぁ……しゅご、すぎてぇぇぇ!やぁん、あくぅ、あーくぅぅっ!」
枕に抱き着き身体をギュッと丸めるようにして、どうにかして快楽に抗おうと思うのに、アークエイドが撫でる肌から止まらない快楽の波が押し寄せてくる。
ゾクゾクが止まらない。
快楽が脳を焼き尽くして溶かしていく。
「っ……すごい薬だな。撫でてるだけなのに——そんなにイイのか?」
「ん、ぅんっ、すごいのっ。あーくぅ、ぃいの、止まんなっ、ぁ、あんんぅ!!」
背面を撫でる快楽にびくびくと動いていた背中が、耳元を掠めた快楽に大きく逸らされる。
「……ふ、っ……は、ぁ……んぅ……。」
余りにも大きな嬌声と反応に、アークエイドの指が離れたにも関わらず、余韻のような快楽が抜けきらない。
ビクビクと快楽の余韻に浸るアシェルの蕩けた顔に、チュッと優しいキスが降ってくる。
頬にされたそのキスすら気持ち良くてピクッと身体が跳ねる。
そして頬にキスをした流れのまま、その唇がかぷりと耳に嚙り付いた。
「——っあ!?」
ガジガジと甘噛みされしながら、ぬちゅぬちゅと舌が頭の中を犯してくる。
「ひゃぁ、あ、だめぇ!いま、いまぁぁ。イったばかりなのぉ……やぁ、っあん、おと、やらぁ!!……ぁ……んっ、んぅう……っ……はっ、っ……ん……。」
頭の中まで犯していた舌が離れれば、アシェルは薄くなった酸素を取り込むように浅い息を繰り返す。
そんな息も絶え絶えな蕩けた顔で涙を浮かべるアシェルに、アークエイドは問いかけた。
「これでもまだ……娼婦を呼びたいと思うか?」
「思わないっ!思わなぃからぁ、もぅ……やめてぇ……。頭も身体もぉ、オカシクなっちゃうぅ……。ゾクゾクとまらないのぉ……。」
もう刺激をしていないのに、何度も訪れた絶頂の余韻で甘い声のままアシェルは必死に言い募る。
「……っ!……さっきから、煽るようなことばっかり。男を悦ばせる言葉は媚薬のせいじゃないだろ……。」
ぼそりと苦しそうに呟くアークエイドの声は、アシェルの中で意味のある言葉にならない。
ふわふわとした意識の中に溶けて消えていく。
※アシェルがアークエイドを襲う描写があります。
無理やり、ノーマルカプなのに男装前提のせいでBLぽい展開、ちょっとマニアックな?プレイがありますので、苦手な方は飛ばしてください。
そのあとアークエイドのターンになりますが、いうほど絡みがあるわけじゃないです。
********
Side:アシェル12歳 夏
アシェルは火照る身体を持て余したまま、用紙にペンを走らせていた。
自慰する趣味なんて持ち合わせていない。
本当に男ならまた違ったかもしれないが、何が悲しくて一人で性欲を発散しなくてはいけないのか。
「あーもう。調薬前に煎じた時から分かってたことだけど。フォアレン草って実は品種改良したのが野生になったんだって図鑑に書いてあったよ!なんなの、改良した人は馬鹿なの?温室にあった似た品種もそれなりだったけど、フォアレン草ほどじゃなかったよ。しかも元々きついフォアレン草の効果を、薬にしてわざわざ上げようとするなんて本当馬鹿だよね。うん、僕は馬鹿だな。」
やり場のない欲求を、愚痴を口にしながらレポートに所見を纏めることで誤魔化す。
それを昨日の夜から何度か繰り返していた。
ようやく今飲んでいた薬剤の影響が無くなったのを確認して、アシェルはシャワーで身体の汗を流し、冷たい水を浴びる。
頭はケアが大変なので、結局『クリーン』で不快感を取り除いた。
「あーやだなぁ。さっきのやつもかなり凶悪だったのに、想定ではこれが一番きついんだよなぁ……いや、本当馬鹿でしょ?なんでこんなもの作ったのかなぁ……いや、作ったの僕なんだけどさ。突き詰めたもの作らないと満足できなかった、僕が悪いんだけどさ。」
誰に言うでもなく独り言を呟きながら、試飲予定の最後の一本を手に取る。
薬瓶の蓋を開けただけで、どの試薬よりも濃くて甘い香りが部屋に立ち込めた。
意を決してティースプーンに乗せ、飲んだそれの蓋をしスタンドに立てる。
あとは布団の上でレポートを書きながら、ひたすら耐えるだけだ。
飲んですぐ、それも少量なのに、下腹部がじくじくと疼くような熱を持ち出したのが解る。
体温が上がり、心拍数が上がる。
じわりと身体の中が潤むのが解る。
「やっぱり馬鹿だろ、僕。ガムシロップみたいなトロミと甘さで、他の薬草のえぐみとか全くないから飲み物に混入しても解らないし。ティースプーン一杯分しか飲んでないのに、なんなのこれ、凶悪すぎるでしょ。なんでこの配合にしたかな……効果が高いと思ったからだよ。いや、ほんとただの馬鹿だよね。確かに即効性も高めたけど、こんなに早いことある?毒薬と言いほんと、マゾいことしてるよね。やらずにはいられないんだけどさ。」
言いながら口にしたことを用紙に書き殴る。
紙や布が肌に与える刺激でさえも、ゾクゾクとした快感が背中を駆け上がってくる。
これでまだ有効成分の血中濃度はMAXではないのだ。
時間が経てば、今よりももっと効果を強く感じるだろう。
「あぁ、流石にコレは……ヤバイ。なにもシてないのにイイとか……今までの比じゃない。頭沸騰しそう。娼館にでも行ってこようかな……いや、このままじゃ外に出れないか。確実に誰か襲う。っていうか、服が擦れるのもヤバいんじゃない……?うん、絶対無理。娼婦ってデリバリー出来るのかな。お金詰めばやってくれそうな気もするけど、通信の魔道具があるわけじゃないし無理だよね、無理だね。あーもうやだ、欲求の捌け口が欲しい!可愛い女の子めちゃくちゃにしたいよ……。」
「流石に、学院に娼婦は来てくれないと思うぞ?」
「!!?」
するはずのない声に、寝台に座って前かがみになり、必死にレポート用紙に向けていた顔を跳ね上げる。
そこには少し困った表情をしたアークエイドが立っていた。
「え、ちょっと待って、なんで寝室に?」
「扉を叩いても返事がなかったから、倒れてるんじゃないかと心配して来てみれば、娼館がどうのと言い出すから。」
さっき薬を飲む前にちゃんと時計を見ておけば良かったと思ったが、それでもまだ10時前だったはずだ。
いつもより二時間近く早く、アークエイドが様子を見にきたせいで、今この状況が起きたのかと思う。
「……ちなみに、僕の独り言どこから聞いてた?」
目の前に人が居ることを意識すると、それだけで襲いかかりたくなる衝動に、それまで文字を書きなぐっていたレポート用紙に目を落として、再度ペンを持った。
「ガムシロップの少し前あたりからだな。」
「くぅ、コレの試飲のほぼ最初から……気付かなかったなんて本当に馬鹿なんじゃないの。」
アークエイドが扉を叩いたことも、入ってきたことにも、音にも気配にも全く気付かなかった自分を罵りたくなる。
「部屋の匂いと娼館がどうのと言ってたから、大体予想はついてるが……何作った?」
呆れたような声に、顔も見ずに言葉だけ返す。
「フォアレン草って薬草を使った媚薬。大丈夫、液体も香も法には触れないから。」
「……香まで作ったのか?」
「仕方ないでしょ!素材がそこにあったら色々試したいし、作ってみたいんだよ!あーもういいから、早く出て行ってよ!!僕これでも結構ヤバいのっ。本気で娼婦呼びたいくらいなんだから!」
時間が経てば経つほど、耳に入ってくるアークエイドの声に理性が溶けていくのが解る。
早くアークエイドに出て行ってもらわないと、自分が何をするかが解らない。
余裕のない声が冷たい色を含んでいることも分かっているが、取繕う余裕もなく言い放つ。
効力は高いうえに即効性があって、更に長時間続くように調薬した自信作なのだ。
媚薬に自信作も何もないと思うが、それでも成分を上手く含有するように調整をした分、完成させたときの嬉しさもひとしおだった。
そんな最高傑作と言っても過言ではない薬の効力に抗っているというのに、ギシリと寝台の軋む音がする。
「ねぇ、僕の話聞いてた?出て行けって言ったんだけど。」
「聞いてた。でも娼婦を呼びたいくらいなんだろ?」
また一つギシっと、アークエイドが近寄ってくる音がする。
「ヤバいって言ってるのに聞いてた?僕は口説かれるより口説きたい派なの。襲われるより襲いたい派なの。なんで出ていかないの、襲われたいわけ?」
恐らく温もりに触れれば止まらないだろう欲求に抗い、辛うじてレポート用紙の束だけ枕の下に突っ込んだ。
理性の跳び具合次第で少し皺になるかもしれないが、バラバラになるよりマシだ。
「俺も襲われるより襲いたい派なんだがな。」
その声と共に耳元にアークエイドの指が伸びてきて触れた。
「ふぁっ!?」
布が擦れたのとは比べ物にならないくらい、甘くて熱い刺激が背中を走り抜ける。
それと同時に、理性がプツンと音を立てて切れる音を聞いた気がした。
「っ!?アシェ??」
慌てるようなアークエイドの声がする。
『拘束』でアークエイドの身体を仰向けに寝台に縛り付ける。
その上で部屋全体に『防音』をかけ、外に音が漏れないようにした。
「……もー知らないよ?だって僕は忠告したからね……忠告を無視したのアークなんだから、何されても文句言えないよね?」
アシェルはいつもの優しい声で言いながら膝立ちになり、寝台に縛り付けたアークエイドを見下ろした。
溶けそうなほどの熱を持ったアメジストの瞳が妖しい光を灯している。
「うん、手は上で縛ったほうがいいね。その方が襲ってる感じがする。」
言ってアシェルはバインドに流している魔力を操作して、夏休み前にクリストファーにそうされたように両手を頭の上で組むように移動させ固定する。
「アシェ……外してくれ。」
「ふふ、それで僕が解放してあげるなんて思ってないでしょ?自由に動きたいなら自分で解除してみてよ。出来たら何もせずに解放してあげる。」
クスクスと笑いながらアークエイドの身体に跨り、シャツの上からその胸板に指を滑らす。
「くっ、さっきから解除しようとしている。」
そう、確かにアークエイドはバインドがかかった瞬間から、どうにかしてアシェルのかけたバインドをキャンセルしようとしていた。
でもバインドには細々とだが、常に術者の魔力が流れ込むのだ。
魔力操作でアシェルが負けることは無い。
「うん、知ってるよ。一生懸命抵抗してて可愛いよね。ふふ。もっと抵抗してくれなきゃ楽しめないじゃない。死に物狂いで頑張って?」
身体を熱くする劣情が目の前の身体をむちゃくちゃにして、その綺麗な顔を歪ませたいと主張する。
それと同時に蕩けるほど甘やかしてドロドロの快楽の沼に落としたいとも。
その狭間で揺れ動く欲をどうにかして押し込める。
ほとんど機能していない理性が、辛うじて仕事をするが、果たしてどこまでこの細やかな理性は残るだろうか。
『ウィンドカッター』の小さなそよ風がアークエイドのシャツを切り裂き、その無駄な脂肪のない鍛えた男の胸元を暴いた。
羨ましいほど整った体幹の胸板を首から臍まで、ゆっくりと行き来しながら撫でる。
「…っ……それは、男に言うセリフじゃない。」
アークエイドは未だささやかな抵抗を続けている。
——無駄なのに。
「そう?でも本当に可愛いんだもの。嘘はつけないからね。」
胸板を撫でる指を上下の動きから、胴体のあちこちを移動させるように変える。
「うーん……さすがに初心な子じゃ胸は駄目だね?でも鎖骨はイイんだ?」
胸の突起を掠めても何の反応もなかったが、鎖骨のあたりを撫でるとピクッと小さな反応が返ってくる。
首筋に顔を埋めるように覆いかぶさり、その反応が良かった場所に舌を這わせる。
指先から感じる熱も心地よかったが、舌から感じるソレが脳を溶かす。
「……んぅ……あぁ、コレほんと凄い……。シてあげてるほうなのに、舐めてるだけで意識とびそっ……。もっとアークのイイとこ探したいのに……んっ……。」
アークエイドの匂いを肺いっぱいに吸い込みながら、もっと舌から伝わる刺激が欲しくてピチャピチャと鎖骨を舐めていく。
びりびりとした舌先から伝わる快楽と、アシェルが跨ったその下でアークエイド自身が熱を持ち硬くなったのが解り、それがアシェルの身体の熱も高める。
鎖骨から首筋、耳へと徐々に上がっていけば、アークエイドの小さく荒く吐く息が大きくなっていく。
それすら可愛く思えて、耳をピチャピチャと舐めながらアークエイドの身体を抱き締める。
「ねぇ、あーく……ぼくね、これでも我慢してるの。チュッ。でもね、もー無理。キスさせてね。」
アークエイドの返事も聞かずに、その唇に貪りつき口腔内を犯す。
チュクチュクと舌と唾液が絡み合う音が、頭の中に響く。
どちらともいえない喘ぐ小さな声が部屋を満たす。
(……甘い、美味しい……。)
名残惜しさを感じながら唇を離せば、広がる黒髪の中で熱を持った瞳をしたアークエイドの表情が目に入る。
そのいつもとは違う煽情的な表情に、嗜虐心が刺激される。
「ねぇ、口開けて舌出して?」
戸惑うようにサファイアブルーの瞳が揺れる。
「口開けて舌出して?無理やりがいい??」
もう一度繰り返せば、アークエイドが言われたように唇を開き、その綺麗なピンク色の舌を突き出してくれる。
「あぁ、やっぱりエロい……。」
その突き出された舌を指で少し撫で、アシェルも唇を開いた。
口の中に溜めた唾液が糸を引きながらアークエイドの舌を伝い、その口腔内に滴り落ちた。
「!?」
「ふふ、もー口閉じていいよ?でも、ちゃんとごっくんしてね?」
驚きと戸惑いが消えない表情のまま、こくんとアークエイドが喉を鳴らしてアシェルの唾液を飲み込む。
直接的な刺激でないにも関わらず、そんな背徳的で淫靡な姿にゾクゾクとした快感が走る。
「ちゃんとごっくん出来てえらいよ。クスクス。イイ子にはご褒美あげないとね?」
するすると身体を下に移動しながら首筋、胸元、お臍へと舌を滑らせていく。
「……っん……ま、て。それ以上はっ!」
舌を滑らせながらズボンの前をくつろげ、窮屈そうな下着の中からアークエイド自身を解放してあげる。
止める声も無視して、その熱く滾る棒に舌を這わせペロリと舐めあげた。
「……っ……!」
緩々と扱きながら先走りの溢れる先端をチロチロと舐めれば、しょっぱい味が口の中に広がる。
そのまま唇をすぼめ、唾液で満たした口腔へゆっくりと誘うと、アークエイドの腰がもどかしいと言わんばかりに上下に揺れた。
(はぁ、凄いおっきい。奥まで入りきらない……熱いの、キモチイイ。)
「うっ、ふぅ、はぁっ、だめだ。アシェ……やめ、ンぅ!」
止めろという言葉に、喉の奥を締めれば腰が跳ねた。
じゅぷ、じゅぽと音を立てながら頭を上下に動かす。
アシェルが襲っているはずなのに、媚薬のせいかアシェルが口の中を犯されているような快感に、自然と上下運動が激しくなる。
「もぅ、っ……。離さないとっ!……お願いだ……。」
切ないアークエイドの声と、口の中で膨らむ感触に限界が近いことを知り、喉を締めながらグッと奥まで咥えこんだ。
喉の奥にドピュドピュッと白濁が吐き出される。
それを飲み込んでしまわないように注意しながら、尿道に残った白濁も吸い取るようにして口腔内からアークエイド自身を引き抜く。
「……ぅっ。……はぁ、はぁ……っ……なん、だ?」
射精の刺激でぼんやりとした瞳のまま、荒い息を吐くアークエイドの上から身体を避けたアシェルは、バインドに流れている魔力を操作してアークエイドの上体を起こして向かい合う。
そして、そこに吐き出された白濁を見せつけるように大きく口を開いた。
顔を赤くしたまま驚き、息を飲むアークエイドの反応に満足して口を閉じたアシェルは、食い入るように見つめるサファイアブルーの瞳の前で、こくんと喉を鳴らして飲み込んで見せた。
そしてもう一度口を開いて飲み込んだことを見せつける。
「ごちそうさま。」
「っ!!」
悪戯っぽく笑って言うアシェルに、アークエイドの顔がさらに赤くなる。
——その初心な反応が、アシェルの欲を少しだけ満たしてくれる。
水差しから水を飲み。粘つく喉を潤してから、クローゼットから新しいシャツを出しアークエイドに投げつける。
「もう身体、動くでしょ?満足したなら着替えて部屋に帰って。」
先程までの余韻を感じさせないほど冷たくそう言ったアシェルは、アークエイドの姿も見ずに、枕の下に押し込んだレポート用紙に再度向き合った。
(これでも……頑張った。うん、ちょっと初心者にはハードなプレイだったかもだけど、出して満足はしたでしょ?早く出て行ってよ。)
全く収まる気配のない身体の熱を、僅かに欲を満たしたことで戻ってきた理性で何とか抑え込む。
(っていうか、絞ってるとはいえ解毒に魔力割いてるのに、魔法使ってまで襲うとか。本当に僕ってただの馬鹿じゃん……アークが帰ったらマナポーション飲まないと。)
さらさらとペンを走らせる。
これが飲みやすすぎるのは問題だ。
悪用防止のためにも飛び切り苦くした方がいいかもしれない。
今のままだと、甘い香り付きのガムシロップだと言われてしまえば解らない。
そんなことを書き込んでいると、肩を引かれぼふっとベッドの上に仰向けに倒された。
視界に入るのはまだボロボロに引き裂かれたシャツを着たまま、着替えてないアークエイドの姿。
「どうしたの?もしかして小さかった??10cm近く背が違うとそんなに体格変わるわけ?ほんと不公平だよね。」
ぶつぶつと文句を言いながら起き上がり、レポート用紙の束をまた枕の下に突っ込む。
書き上げた研究レポートなら見せるのもやぶさかではないが、今はただのメモだ。見られるのは流石に恥ずかしい。
「ちょっと待ってて。大き目のをって、わわ!?」
寝台の上で立ち上がった行儀の悪いアシェルの腕が引かれて、倒れ込んだ身体はアークエイドの腕の中で抱き留められる。
「ちょ、離してっ。行儀が悪かったのはあやまっ!ひゃぁ、なぁ、んゃっ!?」
アークエイドのごつごつとした手に撫でられた腕から、ゾクゾクとした快感が駆け上がってくる。
それこそ、先程アークエイドを満たした時の比ではない刺激に、身体に力が入り背中が反る。
軽くイってしまった視界がチカチカして、頭の芯が蕩けはじめる。
「やっぱり……俺だけ満足させたら終わると思ったんだろ?」
耳元で吐息と共に吐き出される低い声が下腹部に響く。
「な、何がやっぱりなのさ。ぁ、んんっう。」
抗議した声にまた腕を撫でられ、溢れてくる嬌声を何とかしたくて口を抑える。
「アシェが全然満足してないだろ?その証拠に……ほら。」
「あ、や、やめてぇ……あーくぅ、そ、それぇ!だめっ、やっあぁ!?」
アークエイドの指がアシェルの腕を、鎖骨を、腹を、その白い肌を撫で、耳元で喋るだけで耐えがたいほどの快感が突き上げる。
優しく撫でるだけの手から逃れて、枕の一つを抱え込みうつぶせで布団に伏せた。
性感帯でも何でもない場所ですら気持ちよくて、イってしまうのを止められない。
——行き過ぎた快楽は恐怖だというが、本当にそうだと思う。頭がおかしくなってしまいそうだ。
「こっちを触って欲しかったのか?」
「ひゃぁ、あぁぁ!だめ、だめっぇ、やらぁ……はぅ、んんっ。や、らめぇ!?」
背中やお尻、太腿を撫でられているだけで、何度も痺れるような快感の波が押し寄せる。
嬌声が止まらない。
ゾクゾクと駆け抜けるような快感と、チカチカふわふわする頭に呂律が怪しくなってくる。
「よがってるだけかと思ったが……もしかしてイってるのか?」
少し離れた場所から降ってくる耳に心地いい声に、枕を抱き締める腕に力を入れ頭をコクコク縦に振る。
「イってる、イってるからぁっ。それ、それやめぇ、あ、あぁっ!?やらぁ、これやぁ……しゅご、すぎてぇぇぇ!やぁん、あくぅ、あーくぅぅっ!」
枕に抱き着き身体をギュッと丸めるようにして、どうにかして快楽に抗おうと思うのに、アークエイドが撫でる肌から止まらない快楽の波が押し寄せてくる。
ゾクゾクが止まらない。
快楽が脳を焼き尽くして溶かしていく。
「っ……すごい薬だな。撫でてるだけなのに——そんなにイイのか?」
「ん、ぅんっ、すごいのっ。あーくぅ、ぃいの、止まんなっ、ぁ、あんんぅ!!」
背面を撫でる快楽にびくびくと動いていた背中が、耳元を掠めた快楽に大きく逸らされる。
「……ふ、っ……は、ぁ……んぅ……。」
余りにも大きな嬌声と反応に、アークエイドの指が離れたにも関わらず、余韻のような快楽が抜けきらない。
ビクビクと快楽の余韻に浸るアシェルの蕩けた顔に、チュッと優しいキスが降ってくる。
頬にされたそのキスすら気持ち良くてピクッと身体が跳ねる。
そして頬にキスをした流れのまま、その唇がかぷりと耳に嚙り付いた。
「——っあ!?」
ガジガジと甘噛みされしながら、ぬちゅぬちゅと舌が頭の中を犯してくる。
「ひゃぁ、あ、だめぇ!いま、いまぁぁ。イったばかりなのぉ……やぁ、っあん、おと、やらぁ!!……ぁ……んっ、んぅう……っ……はっ、っ……ん……。」
頭の中まで犯していた舌が離れれば、アシェルは薄くなった酸素を取り込むように浅い息を繰り返す。
そんな息も絶え絶えな蕩けた顔で涙を浮かべるアシェルに、アークエイドは問いかけた。
「これでもまだ……娼婦を呼びたいと思うか?」
「思わないっ!思わなぃからぁ、もぅ……やめてぇ……。頭も身体もぉ、オカシクなっちゃうぅ……。ゾクゾクとまらないのぉ……。」
もう刺激をしていないのに、何度も訪れた絶頂の余韻で甘い声のままアシェルは必死に言い募る。
「……っ!……さっきから、煽るようなことばっかり。男を悦ばせる言葉は媚薬のせいじゃないだろ……。」
ぼそりと苦しそうに呟くアークエイドの声は、アシェルの中で意味のある言葉にならない。
ふわふわとした意識の中に溶けて消えていく。
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